(12 / 14) 親子ってのは嫌なとこばかり似るもんだ (12)
「神楽ちゃーん!帰るよー!」


あの後項垂れていた平賀を銀時達は逃がした。
平賀の気持ちも十分に分かっていたから雪は何も言わず平賀を逃がす銀時の背を見るだけだった。
暴れ足りない神楽が沖田と争ってくれているお蔭で平賀は真選組にバレずに姿を眩ます事ができ、雪はそろそろ大丈夫だろうと神楽を止める。
神楽は沖田と髪やら服やら頬やら引っ張り合いっこしていた手を止め舞台から手を振る雪とその隣に立つ銀時の元へ飛んで向かう。


「終わったアルか?」

「うん、終わったよ…神楽ちゃんもお疲れ様」


文字通り飛んできた神楽を雪は手を広げて待ってやり、いつものように雪のおっぱいに顔を埋めて抱き付く神楽の頭を撫でて労ってやる。
沖田と出会った時点で綺麗なままでいることを諦めた雪は神楽のボロボロな髪の毛を整えるように撫でる。


「なんでィ、もう終わりで?」

「終わりですよ…もう時間も時間ですし、これ以上戦ったらせっかくの浴衣姿が台無しですもん」


神楽が雪に抱き付いたため喧嘩も強制終了し不満なのか沖田が文句を言いに歩み寄ってきた。
沖田の言葉に雪は苦笑いを浮かべ、沖田は『こんな暴力女の浴衣なんて見ても誰も得はねえと思いやすけどねェ』と憎まれ口を叩き神楽の髪を引っ張る。
髪を引っ張られた神楽は当然『痛いネ!!何するアルか!』と怒り返しに雪から離れ沖田の髪を掴み、喧嘩がまた勃発してしまう。


「ああもう!なんであんたらはそうすぐに喧嘩するの!!」


『一々おめぇが雪に抱き付くのが気に入らねえでさァ』と沖田が空いてる片方の手で神楽の頬を引っ張り、そんな沖田に『悔しかったらお前もやればいいネ!まあお前がやったらきょーせーわいせつ罪とかで刑務所行きだけどナ!!』と負けじと神楽も空いてる手で沖田の頬を引っ張る。
愛らしい顔の神楽と、整っている顔の沖田の顔がとてつもない事になっており雪は止めようとしても止まらない2人の子供の喧嘩に溜息をつく。


「おい、首謀者はどこにいやがる」


溜息をついていた雪だったが、沖田に続き歩み寄ってきた人物の言葉に息を呑んだ。
沖田の後ろへ目をやればそこには土方がおり、土方は雪を鋭い目で見つめていた。
雪は思わず銀時へ目をやってしまい、土方は雪に釣られたように雪から銀時へ目を移す。
銀時は先ほどから口を閉ざしていたが、2人の視線に『あー』と気の抜けた声を零し頭を掻く。


「逃げられた。」

「はああ!?逃げられただぁ!?」

「ああ。」

「何してんだてめえは!なんで首謀者を逃がすんだよ!!」

「ああ!?んなこと言ったって逃げられちまったのはしゃあねえだろ!!大体俺らは一般市民だぞ!?犯罪者を捕まえるのはてめえらの仕事だろうが!!てめえらこそ何してやがったんだ!?ああ?真選組さんよぉ!」

「ぐ…ッ!」


今度は土方と銀時が争いはじめ、雪は溜息をつく暇もない。
土方は珍しくも銀時の言葉に言い返すこともできず苦しげに言葉を飲み込む。
いつもは引き分けで終わる2人の言い合いは今日、銀時の勝利に収まったらしい。
ぐうの音も出ない土方をよそに銀時は雪の腕を掴み歩き出す。


「銀さん?」

「神楽ぁー、帰るぞ!」


銀時達の子供の喧嘩に呆れていた雪は銀時に突然腕を掴まれ目を丸くする。
ついには足を踏み始めた神楽に銀時は一声かけ舞台から降り、神楽は銀時の声掛けに慌てたように追いつく。
雪は着慣れていない浴衣のせいと体型と足の長さが違うためいつもの歩幅で歩けばこけてしまう。
だから駆け足になってしまい、それに何度も銀時に『待って』やら『手を放してください!』と言うも銀時は何も言わないどころか雪を見ることもなかった。
一見怒っているように見える銀時の様子に雪は首を傾げ、後ろに続く神楽は何も言わずただ銀時の背を見つめるだけだった。


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