朝ごはんは昨日の報酬が良かったのもあり、白米と味噌汁に焼き魚に納豆と質素ながら坂田では豪華な朝ごはんとなった。
仕事がない時期は最悪パンだけ、良くて卵かけごはんだけなため今日は本当に豪華な物だった。
本来家事は当番制で、最初は銀時・神楽・雪と順番が回っていたのだが、いつの間にか雪が家事をすることになり、雪が気づいた頃はもうすっかり万事屋の奥さんが板につき時すでに遅かったとか。
「ね、神楽ちゃん」
「なんネ」
朝食も終え、今日は予定の仕事もなくのんびりしていた。
いや、のんびりはしてはいけないのだが…家長がやる気がないため仕方なくのんびりしていた。
そう、雪も『お腹いっぱいだなぁ今日は何もしたくないなぁ』とか思っているが仕方なく、のんびりしていのだ。
銀時が『トイレ』と言って一々報告しなくても報告しながらその場から姿を消し、トイレへと向かった銀時を見送りながら雪はテレビを見ていた神楽に声を掛けた。
「今度、パジャマ買いに行こうか」
「パジャマ?」
「そう、神楽ちゃん、パジャマ一枚しかないでしょ?」
まだお金が余っており、多少の出費もあまり響かないから雪は神楽のパジャマを買おうと思った。
『こんな時じゃないと買えないし…』と遠い目をしながらの雪の言葉はどこか悲しそうに聞こえた。
稼ぎ頭があんなんだから仕方ない事なのだろうが、神楽は考えるそぶりを見せた。
「面倒アル。雪が買ってこいヨ」
「あの、私パシリじゃないかね?ちゃんと神楽ちゃんの同僚だからね?」
「違うアル、雪はマミーアル」
「違うから!私子供産んだ覚えないから!!ほんっとその弄りネタやめてくれない!?」
神楽は考え、その結果、面倒だという意見に行き着いた。
まるでパシリのように顎に使う神楽に雪は弱弱しく突っ込んだのだが、神楽の家族ネタに思いっきり突っ込んだ。
周りにはすっかり若奥様と認識され、それもこれも銀時が周りに『これ、俺の奥さんだから』と広めたのが原因だった。
神楽も神楽で平然と二歳しか変わらない年の雪を『マミー』だとみんなの前で言っていた。
実は家族を知らない銀時、そして母を幼くして亡くし父は家に寄りつかず兄は出ていったっきり帰ってこない家庭事情の神楽が手を取っていたのだ。
16歳とは思えない母ちゃん素質の雪に2人は甘えていた。
しかし雪は『奥さん・母ちゃん』発言を聞いた姉との一悶着あったのもあり、正直そのネタにはうんざりするばかりだった。
しかしちょっぴり家族として見てくれるのは嬉しくも思ったが、思春期真っ盛りな雪にこのネタは少々辛いものがあった。
最初こそ『何馬鹿な事を言ってるんですか』と呆れていたが、それが何度もあると嫌気が差すというもの。
まだ、雪は銀時への想いを自覚していないのも原因の一つであろう。
立ち上がって突っ込んだ雪は溜息とともに座り直す。
「別に、私が買いに行ってもいいよ?その代わり神楽ちゃんのパジャマは可愛い可愛いウサギさんの着ぐるみパジャマで、更には銀さんとお揃いになるけどね」
「雪、私前から狙ってたパジャマがあったアル。それを買いに行くネ。」
ムスッとさせ頬を膨らませながら雪は拗ねたように呟き、雪の言葉に神楽は即座に待ったをかけた。
可愛いウサギの着ぐるみパジャマは別にいい。
女の子だから神楽も可愛いのは大好きだ。
着ぐるみパジャマは問題ではなかった。
ただ、銀時とお揃い、というのが問題だった。
美少女である自分がオッサンである銀時と同じパジャマを着て並んでいる姿を想像したのか…神楽はうんざりとした表情を浮かべていた。
神楽の言葉に雪は『そ?』と小首を傾げニッコリと笑い、その笑みに神楽は分かっていたが『嵌められたアル…』とガクリと肩を落とした。
『じゃあ早い方がいいから今日行こう!』と時間までに片づけようと台所へ向かい洗い物を済ますため神楽の前から消える雪を見送り、神楽は気を取り直そうとまだ飲みかけのお茶へと手を伸ばしかけた。
その瞬間、いつもはうんともすんとも言わない電話が突然鳴りだした。
電話が鳴った事を『雪−、電話ヨー』と雪に知らせるも自分は出ようと言う気はないらしい。
「神楽ちゃん!電話出て!」
しかし返ってきたのは『あっ!はーい!』という言葉ではなかった。
台所から雪の言葉に神楽は『お前が出ろヨー』と文句を言いながらも重い腰を浮かせて電話へと向かった。
その姿や、やり取りが銀時と同じで、最近本当にこの2人は似てき始めている。
一緒に暮らすようになると赤の他人でも似るようになるのだろうか…
「はいもしもし、万事屋アル」
≪もしもし!拙者拙者!!≫
電話に出て雪から口が酸っぱくなるほど言われやっと覚えた言葉を言えば、返ってきたのはよくわからない返答だった。
何度か客からくる電話に対応したが、今回は全く異なり、名前を言う事もなければ依頼らしい用件でもなかった。
拙者しか言わない電話の相手に神楽は頭に思い描いた人物を口ずさむ。
「銀ちゃん…?」
≪そうだよ!!銀ちゃんだよ!銀ちゃん!!さっき事故で妊婦はねちゃって…!大変な事に…!!≫
「止めさして逃げて来いヨ」
≪オイイイイ!!何言ってんの!!駄目だよ!そんな事言っちゃ!!――とにかく金が入用なんだ!!早くしないと拙者捕まっちゃうよ!≫
「マジでか!」
≪早く指定する口座に金を振り込んでくれ!!≫
神楽はトイレに向かった銀時の事はすっかり頭から離れていたのか、数少ない知り合いの中から何故か銀時をチョイスする。
そのチョイスに電話の相手は頷き、事故を起こしたからお金を振り込んでくれと神楽に頼み込んだ。
切羽詰まったような声に神楽はハッとさせ、走って外に出てしまった。
「あら?今誰か出てかなかった?」
神楽とはすれ違いに銀時がトイレから出てきた。
丁度雪も洗い物も終えたらしく手を吹きながら銀時の言葉に首を傾げ部屋を見渡す。
部屋を見渡せば先ほど電話の対応をしていた神楽がいないことに気づく。
「多分神楽ちゃんじゃないですかね。さっき電話を取ってたので…なんか慌てて出ていったみたいですけど…」
「慌てて?あいつが電話出て慌てる用事でもあんのかよ。」
「もしかして、実家からじゃないですか? 帰ってこいって電話きたのかも…神楽ちゃんまだ14歳です…」
台所にいたため神楽がどんな会話をしていたかは雪も聞こえなかった。
慌てて出ていったのは知っていたが、その内容までは分からなかったため適当に予想する。
まだ14歳というのもあり家族構成は分からないが、親からの電話や手紙がないわけではないだろうと雪は予想し、そう話す。
まぁ、雪も本気で話てはおらず、銀時も『うるせえのがいなくなってせいせいする』と言ってソファにふんぞり返るように座る。
その言葉に苦笑いを浮かべながら雪も定春が一つのソファを占領してしまったので銀時の隣に座り、ふと、テレビを見る。
その画面には『検証!これが拙者拙者詐欺!』という文字が浮かんでいた。
「それよりも、銀さんも気をつけてくださいよ?」
「拙者拙者詐欺?」
「電話で名前を名乗らずに拙者拙者を連呼して近しい人を装い今ピンチだから金が入用なんだと大金を振り込ませる新手の詐欺です。」
テレビを指差され銀時も画面を見れば今丁度電話機だけが映り端にはアナウンサーらしき人が見切れていた。
声の音を変え相手と話していた。
相手は若干切れ気味である。
雪の説明に銀時は大きな声で笑った。
「俺ァ誰がピンチになろうが振り込まねえぞ!覚えとけ、雪。んなもん引っかかるのはどっかのバカな怪力娘だけ………」
世の中進化しなくてもいいモノまで進化しているようで、詐欺も新たな方法が生み出され続けているらしい。
それも方法は大胆だった。
それをテレビで見ながら気をつけようと心掛ける雪だったが…銀時の言葉に2人は固まった。
たとえ話に出たその馬鹿な怪力娘が一人…坂田家にいるのだ。
2人は何も語らず無言で立ち上がり、無言でその場を立ち去った。
「アウ?」
その2人の無言の背中を、ソファで昼寝していた定春が首を傾げながら見送る。
仕事がない時期は最悪パンだけ、良くて卵かけごはんだけなため今日は本当に豪華な物だった。
本来家事は当番制で、最初は銀時・神楽・雪と順番が回っていたのだが、いつの間にか雪が家事をすることになり、雪が気づいた頃はもうすっかり万事屋の奥さんが板につき時すでに遅かったとか。
「ね、神楽ちゃん」
「なんネ」
朝食も終え、今日は予定の仕事もなくのんびりしていた。
いや、のんびりはしてはいけないのだが…家長がやる気がないため仕方なくのんびりしていた。
そう、雪も『お腹いっぱいだなぁ今日は何もしたくないなぁ』とか思っているが仕方なく、のんびりしていのだ。
銀時が『トイレ』と言って一々報告しなくても報告しながらその場から姿を消し、トイレへと向かった銀時を見送りながら雪はテレビを見ていた神楽に声を掛けた。
「今度、パジャマ買いに行こうか」
「パジャマ?」
「そう、神楽ちゃん、パジャマ一枚しかないでしょ?」
まだお金が余っており、多少の出費もあまり響かないから雪は神楽のパジャマを買おうと思った。
『こんな時じゃないと買えないし…』と遠い目をしながらの雪の言葉はどこか悲しそうに聞こえた。
稼ぎ頭があんなんだから仕方ない事なのだろうが、神楽は考えるそぶりを見せた。
「面倒アル。雪が買ってこいヨ」
「あの、私パシリじゃないかね?ちゃんと神楽ちゃんの同僚だからね?」
「違うアル、雪はマミーアル」
「違うから!私子供産んだ覚えないから!!ほんっとその弄りネタやめてくれない!?」
神楽は考え、その結果、面倒だという意見に行き着いた。
まるでパシリのように顎に使う神楽に雪は弱弱しく突っ込んだのだが、神楽の家族ネタに思いっきり突っ込んだ。
周りにはすっかり若奥様と認識され、それもこれも銀時が周りに『これ、俺の奥さんだから』と広めたのが原因だった。
神楽も神楽で平然と二歳しか変わらない年の雪を『マミー』だとみんなの前で言っていた。
実は家族を知らない銀時、そして母を幼くして亡くし父は家に寄りつかず兄は出ていったっきり帰ってこない家庭事情の神楽が手を取っていたのだ。
16歳とは思えない母ちゃん素質の雪に2人は甘えていた。
しかし雪は『奥さん・母ちゃん』発言を聞いた姉との一悶着あったのもあり、正直そのネタにはうんざりするばかりだった。
しかしちょっぴり家族として見てくれるのは嬉しくも思ったが、思春期真っ盛りな雪にこのネタは少々辛いものがあった。
最初こそ『何馬鹿な事を言ってるんですか』と呆れていたが、それが何度もあると嫌気が差すというもの。
まだ、雪は銀時への想いを自覚していないのも原因の一つであろう。
立ち上がって突っ込んだ雪は溜息とともに座り直す。
「別に、私が買いに行ってもいいよ?その代わり神楽ちゃんのパジャマは可愛い可愛いウサギさんの着ぐるみパジャマで、更には銀さんとお揃いになるけどね」
「雪、私前から狙ってたパジャマがあったアル。それを買いに行くネ。」
ムスッとさせ頬を膨らませながら雪は拗ねたように呟き、雪の言葉に神楽は即座に待ったをかけた。
可愛いウサギの着ぐるみパジャマは別にいい。
女の子だから神楽も可愛いのは大好きだ。
着ぐるみパジャマは問題ではなかった。
ただ、銀時とお揃い、というのが問題だった。
美少女である自分がオッサンである銀時と同じパジャマを着て並んでいる姿を想像したのか…神楽はうんざりとした表情を浮かべていた。
神楽の言葉に雪は『そ?』と小首を傾げニッコリと笑い、その笑みに神楽は分かっていたが『嵌められたアル…』とガクリと肩を落とした。
『じゃあ早い方がいいから今日行こう!』と時間までに片づけようと台所へ向かい洗い物を済ますため神楽の前から消える雪を見送り、神楽は気を取り直そうとまだ飲みかけのお茶へと手を伸ばしかけた。
その瞬間、いつもはうんともすんとも言わない電話が突然鳴りだした。
電話が鳴った事を『雪−、電話ヨー』と雪に知らせるも自分は出ようと言う気はないらしい。
「神楽ちゃん!電話出て!」
しかし返ってきたのは『あっ!はーい!』という言葉ではなかった。
台所から雪の言葉に神楽は『お前が出ろヨー』と文句を言いながらも重い腰を浮かせて電話へと向かった。
その姿や、やり取りが銀時と同じで、最近本当にこの2人は似てき始めている。
一緒に暮らすようになると赤の他人でも似るようになるのだろうか…
「はいもしもし、万事屋アル」
≪もしもし!拙者拙者!!≫
電話に出て雪から口が酸っぱくなるほど言われやっと覚えた言葉を言えば、返ってきたのはよくわからない返答だった。
何度か客からくる電話に対応したが、今回は全く異なり、名前を言う事もなければ依頼らしい用件でもなかった。
拙者しか言わない電話の相手に神楽は頭に思い描いた人物を口ずさむ。
「銀ちゃん…?」
≪そうだよ!!銀ちゃんだよ!銀ちゃん!!さっき事故で妊婦はねちゃって…!大変な事に…!!≫
「止めさして逃げて来いヨ」
≪オイイイイ!!何言ってんの!!駄目だよ!そんな事言っちゃ!!――とにかく金が入用なんだ!!早くしないと拙者捕まっちゃうよ!≫
「マジでか!」
≪早く指定する口座に金を振り込んでくれ!!≫
神楽はトイレに向かった銀時の事はすっかり頭から離れていたのか、数少ない知り合いの中から何故か銀時をチョイスする。
そのチョイスに電話の相手は頷き、事故を起こしたからお金を振り込んでくれと神楽に頼み込んだ。
切羽詰まったような声に神楽はハッとさせ、走って外に出てしまった。
「あら?今誰か出てかなかった?」
神楽とはすれ違いに銀時がトイレから出てきた。
丁度雪も洗い物も終えたらしく手を吹きながら銀時の言葉に首を傾げ部屋を見渡す。
部屋を見渡せば先ほど電話の対応をしていた神楽がいないことに気づく。
「多分神楽ちゃんじゃないですかね。さっき電話を取ってたので…なんか慌てて出ていったみたいですけど…」
「慌てて?あいつが電話出て慌てる用事でもあんのかよ。」
「もしかして、実家からじゃないですか? 帰ってこいって電話きたのかも…神楽ちゃんまだ14歳です…」
台所にいたため神楽がどんな会話をしていたかは雪も聞こえなかった。
慌てて出ていったのは知っていたが、その内容までは分からなかったため適当に予想する。
まだ14歳というのもあり家族構成は分からないが、親からの電話や手紙がないわけではないだろうと雪は予想し、そう話す。
まぁ、雪も本気で話てはおらず、銀時も『うるせえのがいなくなってせいせいする』と言ってソファにふんぞり返るように座る。
その言葉に苦笑いを浮かべながら雪も定春が一つのソファを占領してしまったので銀時の隣に座り、ふと、テレビを見る。
その画面には『検証!これが拙者拙者詐欺!』という文字が浮かんでいた。
「それよりも、銀さんも気をつけてくださいよ?」
「拙者拙者詐欺?」
「電話で名前を名乗らずに拙者拙者を連呼して近しい人を装い今ピンチだから金が入用なんだと大金を振り込ませる新手の詐欺です。」
テレビを指差され銀時も画面を見れば今丁度電話機だけが映り端にはアナウンサーらしき人が見切れていた。
声の音を変え相手と話していた。
相手は若干切れ気味である。
雪の説明に銀時は大きな声で笑った。
「俺ァ誰がピンチになろうが振り込まねえぞ!覚えとけ、雪。んなもん引っかかるのはどっかのバカな怪力娘だけ………」
世の中進化しなくてもいいモノまで進化しているようで、詐欺も新たな方法が生み出され続けているらしい。
それも方法は大胆だった。
それをテレビで見ながら気をつけようと心掛ける雪だったが…銀時の言葉に2人は固まった。
たとえ話に出たその馬鹿な怪力娘が一人…坂田家にいるのだ。
2人は何も語らず無言で立ち上がり、無言でその場を立ち去った。
「アウ?」
その2人の無言の背中を、ソファで昼寝していた定春が首を傾げながら見送る。
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