所変わり、真選組屯所。
その場には珍しく真選組局長の弟、鷹臣の姿があった。
今日はオフらしく昨日から真選組に帰っていた。
「ねえ総くん、アイス食べたくない?」
「食べたいでさァ…そういえば冷蔵庫にアイスが一本あったはず…」
身支度を済ませ朝食も済ませた鷹臣は休日というのもあり着流しを着ていた。
しかし真選組に休みはなく、沖田はオフでもないため鷹臣の隣をキープしている沖田は制服に身を包んでいる。
因みに、すでに勤務時間なのだが…恒例のサボリでさァ。
鷹臣は沖田のサボリなど咎めることなく『あ。』と思い立ったように沖田に問う。
沖田は鷹臣の問いに頷き、冷蔵庫の中にアイスが一本残っていたのを思い出す。
沖田の言葉に『じゃあそれを食べよう』と誰のか分からないのに躊躇することも考える事もなく鷹臣は笑顔でそう呟き、食堂へ向かう鷹臣の後を沖田が続けた。
「おさき、いる?」
食堂につくとまず探すのが食堂の主である少女のおさきの姿。
しかしいつもならいるはずの少女の姿はなく、どうやらタイミングを外してしまったようである。
何十人もいる隊士達の食糧を買いに行くのは無理というものがあり、大抵業者の人が来て注文通りの数を置いてくれる。
だが、たまに足りない物などの様々な理由で買い出しに行くこともあり、今回のおさきの不在はそれだろう。
おさきの他にパートがいるのだが、みんな時間が限られている短時間のパートで、住み込みなのはおさきのみである。
そのおさきも買い出しでおらず、まだ昼前なためパートのおばさんもおらず、2人は仕方なく…そう、仕方なく、冷凍庫を開けて人のであろう1個しかないアイスを手にする。
「これ、十四郎さんのじゃない?」
「昨日買って入れてたの見たんでさァ」
甘い物を好まないイメージの土方でも、人と言う生き物はふと何かが無性に食べたくなる生き物である。
昨日土方は無性に何故かアイスが食べたくなり買ってきたのはいいが沖田がサボリ、近藤のストーカーで雪に呼び出され…色々な事が重なり結局食べず仕舞いだった。
今日、風呂から出たら食べよう…土方はもう別にアイスが食べたい気持ちがなくなったのだが何だか負けた気がして何が何でも今日の夜食べるつもりでいた。
だが…
「これしかないし、おさき居ないし、買いに行くの面倒だし、食べちゃおうか」
「おう。」
そんな土方の意地が仇となったのか……鷹臣の手によって土方のアイスは他人の手に渡ってしまった。
しかも丁度一袋に二本入っているアイスだったため、鷹臣は袋から取り出し繋がっている部分を切り離してから沖田に1つ渡した。
アイスはチョコ味で、鷹臣は別にチョコ味を食べたいとは思っていなかったが無いのだから我儘は言えず、2人は『チョコ味かぁ…チョコっていう気分じゃないんだけどなぁ』『俺ァ、バニラっていう気分でさァ…土方の野郎気が利かねえでいけねえや』『そうだねぇ、俺もバニラがいいなぁ』と文句を言いながらもアイスを食べていた。
そこで文句があるなら食べるなよ、という突っ込みをしてくれる人は、一人もいなかった。
「あれ、みんな何してるの?」
「あっ…鷹臣さんに沖田さん…実は、うちにあの星海坊主が来てるんですよ!」
「星海坊主?誰でぃ、そりゃ…」
アイスを食べながら歩いているとふと人のヒソヒソと小声が聞こえ、その声の方へ2人は向かった。
そこには少し開いた襖を覗き込んでいる隊士達がおり、鷹臣は不思議に思いながらその一人に声を掛ける。
鷹臣の問いかけに隊士の一人が説明するも聞き慣れない名前に2人は同時に首を傾げた。
首を傾げる2人に隊士達は『知らないんすか!?』と驚いた表情を浮かべた。
常識よ?常識、とまで言われ、沖田が興味を持ったのか『俺にも見せてくれィ』と堂々と隊士達を押しのけど真ん中を陣取った。
そんな沖田の後ろから鷹臣もついでに、と隙間から中を覗く。
身長差から顔は沖田の頭上である。
隙間から覗けば、そこには鷹臣の兄、近藤と…その近藤と向い合せに座る一人の男がいた。
その男は顔を包帯のような物で巻き、マント姿のいかにも、な恰好をしていた。
「早い話、エイリアンバスターというやつですよ。第一級危険生物を追い駆除する宇宙の掃除人です…奴はその中でも最強とうたわれる掃除人で、いち掃除人でありながらあちこちの惑星国家の政府にも頭がきく大物です。数多の星を渡り数多くの化け物を狩ってきた男…ついた仇名が星海坊主…生ける伝説ですよ」
「ほう…それでその伝説が何故ここに?」
「なんでもエイリアンが江戸に逃げ込んだとか…」
隊士の説明を聞きながら2人はその星海坊主を見つめていた。
見れば見るほど謎ばかりが残る。
それは素顔が見えないからかもしれない。
小声で話しているため近藤と星海坊主には届いていないが、2人とも実力はあるため存在は気づいているだろうなぁと隊士の説明を聞きながらアイスを食べながらそう心の中で呟き、星海坊主を見つめていた。
そうしている内に星海坊主の要件を聞いた近藤が口を開く。
「わざわざご忠告感謝します。後のことは我々がなんとかしますのでご安心を!しかしあれですな…まさかあの星海坊主殿とお会いできるとは感激の極みであります!地球へはやっぱりエイリアン狩りですか?」
「キノコ狩りみたいな言い方やめてくんない?」
星海坊主がここに来たのは江戸に逃げ込んだ事を知らせるためである。
地球を信頼しているわけではないが、今回は仕事で来たわけではないからと一応報告をしたらしい。
だが近藤の気楽な言葉に呆れたように突っ込んだ。
「野暮用でね。エイリアンなんぞよりよっぽど手のかかる奴を追ってきたのよ。」
「ほう…星海坊主殿が手こずる程の相手とは…さてはコレですか?」
そう言って近藤は小指を立てて見せ、そんな兄に鷹臣は『兄上古い』とポツリと呟いた。
そんな弟など気づかず近藤の立てた指に星海坊主は『女には違いねえがな』、と笑って見せた。
星海坊主が去った後、近藤の行動は早かった。
無線を使いエイリアンが江戸に逃げ込んだ事を隊士達に知らせる。
中を覗き込んでいた隊士達も捜索に加わったが、そんな隊士達を鷹臣は沖田と共にアイスを食べながら見送った。
「総くん、行かないの?」
「興味ないでさァ。そういうタッキーこそどうなんでィ」
「俺も興味ないなぁ…エイリアンなんてどれも同じだし」
見送りながら一応隊士の1人である沖田を横目に聞けば、返ってきた答えに鷹臣は『総くんらしいや』と笑った。
逆に沖田に問われ、鷹臣は考える暇もなく笑みを浮かべたまま返す。
最後の言葉に沖田は見送っていた隊士から鷹臣へと視線を送る。
鷹臣は相変わらず沖田の好きな優しげな笑みを浮かべており、その感情までは見えない。
『どれも』はエイリアン全てだけが入っているのか、それとも『天人』も含まれているのか、はたまた言葉通り『全て』なのかを読み取ることができなかった。
沖田は『ま、テレビでも見てのんびりしましょうや』と肩を竦めるだけにし、沖田の誘いに『たまにはのんびりとぼうっとした休日もいいね』と返した。
自分に向ける笑顔は先ほどとは違い本当に微笑んでおり、沖田はその笑みと返ってきた言葉にニッと笑って返した。
その場には珍しく真選組局長の弟、鷹臣の姿があった。
今日はオフらしく昨日から真選組に帰っていた。
「ねえ総くん、アイス食べたくない?」
「食べたいでさァ…そういえば冷蔵庫にアイスが一本あったはず…」
身支度を済ませ朝食も済ませた鷹臣は休日というのもあり着流しを着ていた。
しかし真選組に休みはなく、沖田はオフでもないため鷹臣の隣をキープしている沖田は制服に身を包んでいる。
因みに、すでに勤務時間なのだが…恒例のサボリでさァ。
鷹臣は沖田のサボリなど咎めることなく『あ。』と思い立ったように沖田に問う。
沖田は鷹臣の問いに頷き、冷蔵庫の中にアイスが一本残っていたのを思い出す。
沖田の言葉に『じゃあそれを食べよう』と誰のか分からないのに躊躇することも考える事もなく鷹臣は笑顔でそう呟き、食堂へ向かう鷹臣の後を沖田が続けた。
「おさき、いる?」
食堂につくとまず探すのが食堂の主である少女のおさきの姿。
しかしいつもならいるはずの少女の姿はなく、どうやらタイミングを外してしまったようである。
何十人もいる隊士達の食糧を買いに行くのは無理というものがあり、大抵業者の人が来て注文通りの数を置いてくれる。
だが、たまに足りない物などの様々な理由で買い出しに行くこともあり、今回のおさきの不在はそれだろう。
おさきの他にパートがいるのだが、みんな時間が限られている短時間のパートで、住み込みなのはおさきのみである。
そのおさきも買い出しでおらず、まだ昼前なためパートのおばさんもおらず、2人は仕方なく…そう、仕方なく、冷凍庫を開けて人のであろう1個しかないアイスを手にする。
「これ、十四郎さんのじゃない?」
「昨日買って入れてたの見たんでさァ」
甘い物を好まないイメージの土方でも、人と言う生き物はふと何かが無性に食べたくなる生き物である。
昨日土方は無性に何故かアイスが食べたくなり買ってきたのはいいが沖田がサボリ、近藤のストーカーで雪に呼び出され…色々な事が重なり結局食べず仕舞いだった。
今日、風呂から出たら食べよう…土方はもう別にアイスが食べたい気持ちがなくなったのだが何だか負けた気がして何が何でも今日の夜食べるつもりでいた。
だが…
「これしかないし、おさき居ないし、買いに行くの面倒だし、食べちゃおうか」
「おう。」
そんな土方の意地が仇となったのか……鷹臣の手によって土方のアイスは他人の手に渡ってしまった。
しかも丁度一袋に二本入っているアイスだったため、鷹臣は袋から取り出し繋がっている部分を切り離してから沖田に1つ渡した。
アイスはチョコ味で、鷹臣は別にチョコ味を食べたいとは思っていなかったが無いのだから我儘は言えず、2人は『チョコ味かぁ…チョコっていう気分じゃないんだけどなぁ』『俺ァ、バニラっていう気分でさァ…土方の野郎気が利かねえでいけねえや』『そうだねぇ、俺もバニラがいいなぁ』と文句を言いながらもアイスを食べていた。
そこで文句があるなら食べるなよ、という突っ込みをしてくれる人は、一人もいなかった。
「あれ、みんな何してるの?」
「あっ…鷹臣さんに沖田さん…実は、うちにあの星海坊主が来てるんですよ!」
「星海坊主?誰でぃ、そりゃ…」
アイスを食べながら歩いているとふと人のヒソヒソと小声が聞こえ、その声の方へ2人は向かった。
そこには少し開いた襖を覗き込んでいる隊士達がおり、鷹臣は不思議に思いながらその一人に声を掛ける。
鷹臣の問いかけに隊士の一人が説明するも聞き慣れない名前に2人は同時に首を傾げた。
首を傾げる2人に隊士達は『知らないんすか!?』と驚いた表情を浮かべた。
常識よ?常識、とまで言われ、沖田が興味を持ったのか『俺にも見せてくれィ』と堂々と隊士達を押しのけど真ん中を陣取った。
そんな沖田の後ろから鷹臣もついでに、と隙間から中を覗く。
身長差から顔は沖田の頭上である。
隙間から覗けば、そこには鷹臣の兄、近藤と…その近藤と向い合せに座る一人の男がいた。
その男は顔を包帯のような物で巻き、マント姿のいかにも、な恰好をしていた。
「早い話、エイリアンバスターというやつですよ。第一級危険生物を追い駆除する宇宙の掃除人です…奴はその中でも最強とうたわれる掃除人で、いち掃除人でありながらあちこちの惑星国家の政府にも頭がきく大物です。数多の星を渡り数多くの化け物を狩ってきた男…ついた仇名が星海坊主…生ける伝説ですよ」
「ほう…それでその伝説が何故ここに?」
「なんでもエイリアンが江戸に逃げ込んだとか…」
隊士の説明を聞きながら2人はその星海坊主を見つめていた。
見れば見るほど謎ばかりが残る。
それは素顔が見えないからかもしれない。
小声で話しているため近藤と星海坊主には届いていないが、2人とも実力はあるため存在は気づいているだろうなぁと隊士の説明を聞きながらアイスを食べながらそう心の中で呟き、星海坊主を見つめていた。
そうしている内に星海坊主の要件を聞いた近藤が口を開く。
「わざわざご忠告感謝します。後のことは我々がなんとかしますのでご安心を!しかしあれですな…まさかあの星海坊主殿とお会いできるとは感激の極みであります!地球へはやっぱりエイリアン狩りですか?」
「キノコ狩りみたいな言い方やめてくんない?」
星海坊主がここに来たのは江戸に逃げ込んだ事を知らせるためである。
地球を信頼しているわけではないが、今回は仕事で来たわけではないからと一応報告をしたらしい。
だが近藤の気楽な言葉に呆れたように突っ込んだ。
「野暮用でね。エイリアンなんぞよりよっぽど手のかかる奴を追ってきたのよ。」
「ほう…星海坊主殿が手こずる程の相手とは…さてはコレですか?」
そう言って近藤は小指を立てて見せ、そんな兄に鷹臣は『兄上古い』とポツリと呟いた。
そんな弟など気づかず近藤の立てた指に星海坊主は『女には違いねえがな』、と笑って見せた。
星海坊主が去った後、近藤の行動は早かった。
無線を使いエイリアンが江戸に逃げ込んだ事を隊士達に知らせる。
中を覗き込んでいた隊士達も捜索に加わったが、そんな隊士達を鷹臣は沖田と共にアイスを食べながら見送った。
「総くん、行かないの?」
「興味ないでさァ。そういうタッキーこそどうなんでィ」
「俺も興味ないなぁ…エイリアンなんてどれも同じだし」
見送りながら一応隊士の1人である沖田を横目に聞けば、返ってきた答えに鷹臣は『総くんらしいや』と笑った。
逆に沖田に問われ、鷹臣は考える暇もなく笑みを浮かべたまま返す。
最後の言葉に沖田は見送っていた隊士から鷹臣へと視線を送る。
鷹臣は相変わらず沖田の好きな優しげな笑みを浮かべており、その感情までは見えない。
『どれも』はエイリアン全てだけが入っているのか、それとも『天人』も含まれているのか、はたまた言葉通り『全て』なのかを読み取ることができなかった。
沖田は『ま、テレビでも見てのんびりしましょうや』と肩を竦めるだけにし、沖田の誘いに『たまにはのんびりとぼうっとした休日もいいね』と返した。
自分に向ける笑顔は先ほどとは違い本当に微笑んでおり、沖田はその笑みと返ってきた言葉にニッと笑って返した。
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