(6 / 16) 子作りは計画的に (6)
≪あー、あー、エイリアンに告ぐ。お前は完全に包囲されている。無駄な抵抗はやめて大人しく投降しなさい、エイリアン。故郷のお袋さんも泣いてるぞ。そんなエイリアンにするために産んだんじゃないってな。≫


キーンと共に沖田の声が辺りに響く。
沖田は鷹臣とテレビを見て寛いでいたのだが、チャンネルを変えた際映ったニュースに江戸に逃げ込んだエイリアンの特徴である隈がある坊主が人質を取って銀行に立てこもっているのを見てここに駆けつけたのである。
超展開に面白そうだと沖田は仕事をしに重石のように重たい腰を上げ、鷹臣も面白そうだと重い腰を上げた。
沖田は現場に向かいまず真っ先に行ったのが銀行強盗によく見られる説得である。
沖田のまるで人間のような説得内容に傍にいた山崎が『どんなエイリアン?』と突っ込んだが、やっぱり無視される。


≪エイリアンだろうが人間だろうが母ちゃん泣かす奴は最低だ。―――ねぇ?お袋さん。なんか言ってやってください。」

「え!?来てんの!?お袋さん来てんの!?」


山崎はエイリアンのお袋さんを連れてきたらしい沖田に驚いて沖田が見たパトカーを沖田越しに覗き込むように見る。
するとカチャリと音を立てドアが開かれた。
山崎は強盗エイリアンのお袋さんだというエイリアンが現れるのを喉を鳴らして待つ。
だが現れたのは―――怪獣の着ぐるみを着た鷹臣だった。
それも怪獣の着ぐるみを着ているのにキラキラと輝き美男子イケメンが半減するどころか増しているようにも見える。
残念なイケメンこと、鷹臣は優しくタレ下がっている瞳に涙を浮かべ、ふいっと銀行から顔を逸らす。


「っお母さん…もう知らないから…!お母さん…もう、3年前のあの時から息子はいないものだと思って――――」


ノリが悪ふざけやら漫才やらのノリだが…彼らは…沖田と鷹臣は至って真面目である。
まだ10代後半の沖田は分かるだろう。
悪ノリしたいお年頃だろう。
だが、鷹臣はもう20代。
悪ノリしてもいい年齢ではない。
ぶっちゃけ、お前いい年して何してんだよ、と突っ込まれる鷹臣だったが、言葉を切り突然飛び上がった。
その瞬間、一台のパトカーが突っ込んできた。
鷹臣は暗殺を請け負うほどの実力だからか、ものすごい勢いで突っ込んできた車の気配を察知し、反射的に避けようと着ぐるみを着ているのも忘れさせるかのような動きで飛び上がったらしい。
その後、ピタッと沖田の前で止まったパトカーの上に鷹臣は着地した。


「エイリアンがなんぼのもんじゃァァァい!!」

「なんぼのもんじゃァァァァい」


鷹臣が着地したパトカーの中からは巡回していた土方と原田が出てきた。
何故かヤクザのようなセリフを吐きながら出てきた土方達に鷹臣は『あれ、十四郎さんに原田さんだ』と呑気にそう呟きながら車の上から下りる。


「土方さんのおかげで作戦が台無しでィ、タッキー」

「いやー、まさか十四郎さんが来るとは予想外だったねぇ、総くん。後少しだったんだけど。」

「いや…2人とも後少しもなにもその着ぐるみでエイリアンを騙せると思ったんですか?馬鹿ですか?あんたら本物の馬鹿ですか?」


隣に歩み寄ってきた沖田の言葉に、鷹臣は『失敗失敗』、と、てへ☆と惚けて見せるが、即座に山崎に突っ込まれてしまう。
エイリアンの母親、というので気になって見ているとそれが鷹臣で更には人ですら騙されないであろう着ぐるみを着ていたため、誰だって山崎のように突っ込まざるを得ないであろう。
それに慣れているのか山崎はすぐに自動ドアに人影が写ったのに気づく。
誰かが出てくるのを沖田も目で確認し、後にいる部下の隊士達に『構えろ!』と手を上げた。
沖田の合図に隊士達は持っていたバズーカを肩に担ぎ、エイリアンが出てくるのを待つ。
しかし出てきたのは――…


「いいから来いってんだよ!アレだ!マロンパフェ食わしてやっから!なっ!?」


バーコードハゲのオッサンだった。
エイリアンではなく、バーコードハゲのオッサンの登場に沖田も真選組の隊士達も目が点となり、バズーカを打つ合図をするのも忘れ、沖田はオッサンと宿敵である神楽のやり取りを見送っていた。


「ちょ、放してヨ!離れて歩いてヨ!!」

「なんだ!お父さんと歩くのが恥ずかしいのか!?どこだ!!どの辺が恥ずかしい!?具体的に言え!お父さん直すから!!」

「もうとり返しのつかないところだヨ」

「神楽ちゃん、人間にはとり返しのつかない事なんてないぞ!!どんな過ちも必ず償える!!」

「無理だヨ〜一度死んだ毛根は帰ってこないヨ」

「すいませーん。僕もマロンパフェ、いいっすかね〜。いや、ちょっと待て。やっぱフルーツパフェにしようかな?そうしよう!」


沖田にはどうして宿敵である神楽がオッサンに手を引っ張られているかは分からない。
分かっていても宿敵なため助ける気は更々なく、どちらかといえばオッサンごとバズーカで打つ性格である。
だがエイリアンだと思っていたのがバーコードハゲだった衝撃からか、そんな気も起こらずただただバーコードハゲに連れられて行く神楽を見送ることしかできなかった。
だからだろう…
後から続いた銀時と雪を見て隣の鷹臣が嬉しそうに『あっ!お雪さん!』と零した声など沖田には届いていなかった。


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