場所を変え、銀時達はファミレスにいた。
エイリアンの後始末は来ていたらしい真選組に任せ、4人は呑気に星海坊主持ちで好きな物をそれぞれ頼む。
神楽は父親の金だろうが誰の金だろうが遠慮なく食べ物を大量に頼み、銀時は人の金だからという理由で普段(雪の財布の紐の固さから)頼めないであろう特大パフェを頼み、雪は飲みモノだけに留めていた。
当然のように頼む銀時と雪に『お前らの分もおごるとはいってねえぞ』とバーコードハゲは呟いたが、都合の悪い言葉は聞こうとしない銀時に無視され、雪には申し訳なさそうに『すみません…』と呟かれる。
着物の上でも分かる巨乳と幼げなで(銀時と神楽の世話のおかげで最近出てきた)若妻オーラにバーコードハゲは『ま、まあ…神楽がお世話になってたらしいしな、構わねえが…』とコロリといきそうな自分の気持ちを立て直そうと咳払いしながら雪から目をそらしそう呟いた。
そんなエロオヤジなバーコードハゲに銀時は『おいバーコードハゲ、ゴラ。なに俺の雪を見て鼻の下伸ばしてんだゴラ。殺すぞゴラ』と睨み付け、神楽は『なに鼻の下伸ばしてるアルか。気持ち悪い。死ねヨ』とゴミを見るかのような目で見られてしまう。
娘からそんな目線を貰い若干(どころではないが)へこみながらも銀時の態度にカチンと来たのか対抗しようし、険悪なムードでいつ喧嘩が始まっても可笑しくないその場に雪は慌てて間を取り持ち、それぞれ自己紹介が始まった。
必死な雪から始まり最後はバーコードハゲとなるのだが…
「う、星海坊主ゥゥ!?星海坊主って…あの…!?えっ!?神楽ちゃんのお父さんが!?」
最後にバーコードハゲの自己紹介に雪は目をこれでもかと丸くさせ立ち上がって声を上げた。
身を乗りだし星海坊主をマジマジと見つめる雪だったが、星海坊主などの単語を初めて聞いたらしい銀時からは怪訝とした声が出た。
「星海坊主?なにそれ妖怪?坊主じゃねえぞ。薄らってるぞ、頭。」
「おい、薄らってるってなんだ。人の頭をさすらってるみたいな言い方するな。」
銀時はチラリ…というかマジマジとバーコード型のハゲを見つめ、その目線の先と言葉に星海坊主はカチンとさせる。
だが神楽の手前大人気ない態度は見せたくないと言う父親のプライドがあるのか睨み付けるだけで済んでいた。
雪は喧嘩を売っているようにしか見えない銀時に『ちょっとやめてくださいよ!神楽ちゃんのお父さんですよ!』と軽く叱りながら、本当に星海坊主の名前を聞いたことがないらしい銀時に説明してやる。
「星海坊主と言えば銀河に名を轟かす最強のエイリアンハンター。さすらいの掃除屋ですよ」
「あー、はいはい、聞いたことあるわ。薄らいの掃除屋」
「…おい、薄らいの掃除屋ってなんだ。ただの駄目なオッさんじゃねえか!カチンときた!お父さんカチンときたよ!!ガチンとやっちゃっていい!?」
「落ち着くネ、ウスラー」
「ウスラーって!……ってアレ?でもハスラーみたいでカッコいいかも…」
雪ですら知っている名前を銀時が知らないという事が雪には信じられなかった。
しかし銀時の反応からして本当に知らないようで、知っている星海坊主の説明をするも銀時は雪に鼻の下を伸ばしたことがどうも頭に来ているようで、一々喧嘩越しで放し駆けれなかった。
いや…雪関連じゃなくても同族嫌悪並に仲は良くないのだろう。
銀時が薄らってると言うと無性に腹立たしい単語なのに、愛娘からウスラーと呼ばれると態度をコロッと変え、雪はそんな星海坊主を見て『やっぱり夜兎族でもこう見ると普通のお父さんだなぁ』と内心思った。
「ふん…なんかよからぬ事でも考えてたんじゃねえの?夜兎の力を悪用しようって輩が巷にゃ溢れてるからな…」
愛娘からあだ名(?)を貰い少しはご機嫌になったらしい星海坊主だったが、やっぱり気に入らないものは気に入らず、更には自分達の種族が周りにどう見られているのか星海坊主が一番知っているからか、辛辣な言葉を吐き2人…特に銀時を警戒する。
そんな星海坊主の言葉に今度は銀時がカチンと来たらしく星海坊主を睨み付ける。
「なんだァ!?悪用ってどういうことだゴルラァ!てめえの頭で大根でもすりおろすことを指すのか!?――大体長い間娘ほったらかしにしてた親父がとやかく言えた義理かよ!!」
「なんだァ!?。こちとら必死に捜し回ってたっつーんだよ!ちょっと目を離してたら消えてたんだよ!!難しいんだよ!この年頃の娘は!!ガラス細工のように繊細なんだよ!!」
「なァに言ってやがんだ!ガラス細工のような危なげな頭しやがって!!」
「てめえ…!!今のうちだけだぞ強気でいられるのは!!三十過ぎたら急にくるんだよ!!いつの間にか毛根の女神が実家に帰ってたんだよ!!」
「ちょ、ちょっと!やめてくださいよ!2人とも!!」
パフェを食べるのをやめ立ち上がり難癖つける親父に銀時は声を上げて反論するも、その言葉にもカチンと来た星海坊主も銀時同様立ち上がり胸ぐらを掴み同じく声を上げる。
危惧していた喧嘩勃発をしそうになる2人を雪が止めに入ろうとするも2人は止まる気配はない。
「とにかくてめえのような奴にうちの娘は任せてられねぇ!!神楽ちゃんは俺が連れて帰るからな!!」
「なに勝手に決めてんだアアア!!」
胸ぐらを掴む星海坊主の頭を銀時はフーフーと息を吹きかける。
銀時の息によりギリギリある毛がひらひらと舞うも毛が薄くなっている事を気にしている星海坊主は銀時のそれに怒りゲージを上げた。
問答無用で神楽を連れて帰るつもりの星海坊主だったが、その神楽本人から背後からの蹴りを貰ってしまった。
ついでに銀時も巻き込まれてしまう。
「神楽ちゃん!何すんの!!ドメスティックバイオレンス!?」
背中を蹴られた星海坊主は先ほどの怒りはどこへやらで神楽の蹴りに困惑を見せる。
雪はとりあえず銀時対星海坊主が収拾したのもあってか慌てて倒れた銀時へ駆けつける。
銀時に怪我がない事にホッとしながら神楽を見上げれば、神楽は星海坊主を冷たい眼差しで見下ろしていた。
「今まで家庭ほったらかして好き勝手やってたパピーに今さら干渉されたくないネ!パピーも勝手、私も勝手!私勝手に地球に来た!!帰るのも勝手にするネ!!」
星海坊主は全宇宙に名を轟かせていたが、家にはあまり寄り付かなかったらしい。
家出をしてきたと言っていたから色々あるのだろう、と雪は家族の事は神楽が言わない限り聞き出そうとしなかった。
だから一人っ子なのか、兄妹がいるのかは分からない。
しかし夜兎族とはいえまだ14歳の少女が1人で故郷から遠く離れたこの星に来たのだから相当寂しさを感じていたのだろう。
寂しくて、でもそれを告げる相手もいなくて…だから神楽は家を出たのだろう。
だから余計に今更になって父親に干渉されたくはないのだろう。
しかしこの世の中、夜兎だからと言って一人旅立てるほど甘い世の中ではないのを星海坊主は知っている。
だから神楽の言葉に星海坊主は首を振った。
「…神楽ちゃん、家族ってのは鳥の巣のようなもんだ。鳥はいつまでも飛び続けられるわけじゃねえ…帰る巣がなくなればいずれ地におっこっちまうようなもんさ」
「パピーは渡り鳥…巣なんて必要ないアル。……私もそう…巣なんて止まり木があれば十分ネ。」
「それじゃあなんでこの止まり木にこだわる?ここでしか得られねえもんでもあるってのか。」
「…またあそこに帰ったところで何が得られるネ……私は好きな木に止まって好きに飛ぶネ!」
宇宙に名を轟かせるという事はそれなりに経験しているという事。
いくら保護者のような人間の元で暮らそうと、愛している娘を危険ばかりの外の世界に放り込めるほど星海坊主は親を捨ててはいない。
例え自分が放任しすぎたせいで神楽が家出をしたと責められても、やはり愛する娘をこの地球に置いてはいけなかった。
「餓鬼が…ナマ言ってんじゃねえぞ!」
今まで神楽の我儘に親として甘く接していたが、先ほどの言葉に流石に頭に来たらしく、星海坊主は低い声で神楽を睨む。
しかし、
「ハゲが!いつまでもガキだと思ってんじゃないネ!!」
神楽も本気でこの星から離れるつもりはないらしく、父親の睨みにも負けじと神楽も鋭い視線を送る。
「あ、あれ…?なに、この感じ…」
「おい、ちょっ…」
銀時の時以上に冷たく一触即発な空気に銀時の傍にいた雪は顔を引きつらせ青く染める。
銀時も睨み合う2人に戸惑いつつも声をかけたのだが…
――それが戦闘の合図となった。
2人はガラスを割り、二階であるファミレスから外へと飛び出した。
そんな夜兎族の喧嘩をよそに、真選組は星海坊主が倒したエイリアンの回収を行っていた。
「いいか、丁重に外に運び出してくれ」
土方は隊士達にそう指示をし、煙草に火を付ける。
『ちょっ、鷹臣さん!』という部下の声が耳に届き、その声の方を横目で見ればまだ着ぐるみ姿の鷹臣がツンツンとエイリアンの残骸を突っつているのが見えた。
部下達の仕事を邪魔しているようにしか見えない鷹臣に土方は溜息をつき軽く頭を叩いた。
「…何するんですか、十四郎さん」
「何するも何も公務執行妨害で逮捕すんぞゴラ…お前今日オフだろ。なに仕事みたいな事してんだ。っていうか何だその着ぐるみ…」
「いや…なんか面白そうだったし…」
土方は、沖田と比べて素直な鷹臣に甘い。
だから叩かれても痛くもなんともないし、更には着ぐるみの上だっため痛みは皆無である。
しかし叩かれた事にムスッとさせる鷹臣に土方は仕事の邪魔だと言って首根っこ掴んで立たせた。
どうやらあの時はエイリアンにしか目に映っていなかったようで、鷹臣を轢きそうになったことは覚えていないようである。
それでも頬を膨らませる鷹臣だったが、20代の男が頬を膨らませ拗ねたって何の可愛気もないわけで…それが雪だったらどんなに可愛いか、と想像して土方は自分の機嫌を直す。
しかし恐ろしいのは20代成人しているはずの鷹臣が拗ねても画になる、という事だろう。
確実にここに女がいれば着ぐるみ美男子だろうが何だろうが新たな鷹臣のストーカーになること間違いなしである。
『面白そうだ』と答えた自分に『馬鹿か…』と呆れた溜め息を返した土方をよそに鷹臣は散らばったエイリアンの残骸を見渡した。
「でも、十四郎さん…こんな気持ち悪い残骸、何に使うんですか?」
「入国管理局の連中が持って来いってさ…どっかのお偉いさんで欲しがってる奴がいるんだとよ……趣味の悪い野郎もいたもんだ…」
エイリアンに興味はないがなぜ残骸を集めるのかには興味があるらしく、鷹臣は残骸を回収する隊士達を目で追いながら土方に尋ねた。
土方は煙草の煙を吸い込み吐き出しながら問いかけに答えてやり、その答えに鷹臣は何の感情も含まれていない『へー』と棒読みで返す。
「しかし星海坊主ってのはいつもこんな化け物とやりあってんですかィ?どっちが化け物だかわかりゃしねえや。」
「おまけに、あの怪力娘の親父だったとは…生活感の欠片もねえ男だったが…」
星海坊主の名は真選組にも届いており、沖田と鷹臣は銀時同様知らなかったようだが有名だった。
毎日こんな化け物とやり合い命を取り合っていると思うと、夜兎族とはいえ化け物だと認識してしまいそうになる。
実際、こんなエイリアンを倒せるのだから化け物なのは確かなのだろう。
しかも更にはあの化け物は怪力娘こと神楽の実の父親らしい。
あの後雪の姿についていこうとした鷹臣の首根っこを捕まえ阻止し、見送った星海坊主の後姿を思い出して土方はポツリと呟く。
「男って奴には二種類ある。一つは家族や仲間、自分の巣を守り安寧を求める防人タイプ…もう一つは巣から出て獲物を求めさすらう狩人の血だ……あの男の目は狩人というより、獣に近い。大人しく巣に治まっているタマではあるまいよ…―――もしかしたらあの娘…今まで寂しい思いをして生きてきたのかもしれんな…」
土方の呟きに近藤が返した。
近藤の言葉に沖田は『そうですかねィ』と呟きながらも、銀時と雪に甘える神楽を思い出し…
鷹臣は兄の言葉にただじっとエイリアンを見つめていた。
エイリアンの後始末は来ていたらしい真選組に任せ、4人は呑気に星海坊主持ちで好きな物をそれぞれ頼む。
神楽は父親の金だろうが誰の金だろうが遠慮なく食べ物を大量に頼み、銀時は人の金だからという理由で普段(雪の財布の紐の固さから)頼めないであろう特大パフェを頼み、雪は飲みモノだけに留めていた。
当然のように頼む銀時と雪に『お前らの分もおごるとはいってねえぞ』とバーコードハゲは呟いたが、都合の悪い言葉は聞こうとしない銀時に無視され、雪には申し訳なさそうに『すみません…』と呟かれる。
着物の上でも分かる巨乳と幼げなで(銀時と神楽の世話のおかげで最近出てきた)若妻オーラにバーコードハゲは『ま、まあ…神楽がお世話になってたらしいしな、構わねえが…』とコロリといきそうな自分の気持ちを立て直そうと咳払いしながら雪から目をそらしそう呟いた。
そんなエロオヤジなバーコードハゲに銀時は『おいバーコードハゲ、ゴラ。なに俺の雪を見て鼻の下伸ばしてんだゴラ。殺すぞゴラ』と睨み付け、神楽は『なに鼻の下伸ばしてるアルか。気持ち悪い。死ねヨ』とゴミを見るかのような目で見られてしまう。
娘からそんな目線を貰い若干(どころではないが)へこみながらも銀時の態度にカチンと来たのか対抗しようし、険悪なムードでいつ喧嘩が始まっても可笑しくないその場に雪は慌てて間を取り持ち、それぞれ自己紹介が始まった。
必死な雪から始まり最後はバーコードハゲとなるのだが…
「う、星海坊主ゥゥ!?星海坊主って…あの…!?えっ!?神楽ちゃんのお父さんが!?」
最後にバーコードハゲの自己紹介に雪は目をこれでもかと丸くさせ立ち上がって声を上げた。
身を乗りだし星海坊主をマジマジと見つめる雪だったが、星海坊主などの単語を初めて聞いたらしい銀時からは怪訝とした声が出た。
「星海坊主?なにそれ妖怪?坊主じゃねえぞ。薄らってるぞ、頭。」
「おい、薄らってるってなんだ。人の頭をさすらってるみたいな言い方するな。」
銀時はチラリ…というかマジマジとバーコード型のハゲを見つめ、その目線の先と言葉に星海坊主はカチンとさせる。
だが神楽の手前大人気ない態度は見せたくないと言う父親のプライドがあるのか睨み付けるだけで済んでいた。
雪は喧嘩を売っているようにしか見えない銀時に『ちょっとやめてくださいよ!神楽ちゃんのお父さんですよ!』と軽く叱りながら、本当に星海坊主の名前を聞いたことがないらしい銀時に説明してやる。
「星海坊主と言えば銀河に名を轟かす最強のエイリアンハンター。さすらいの掃除屋ですよ」
「あー、はいはい、聞いたことあるわ。薄らいの掃除屋」
「…おい、薄らいの掃除屋ってなんだ。ただの駄目なオッさんじゃねえか!カチンときた!お父さんカチンときたよ!!ガチンとやっちゃっていい!?」
「落ち着くネ、ウスラー」
「ウスラーって!……ってアレ?でもハスラーみたいでカッコいいかも…」
雪ですら知っている名前を銀時が知らないという事が雪には信じられなかった。
しかし銀時の反応からして本当に知らないようで、知っている星海坊主の説明をするも銀時は雪に鼻の下を伸ばしたことがどうも頭に来ているようで、一々喧嘩越しで放し駆けれなかった。
いや…雪関連じゃなくても同族嫌悪並に仲は良くないのだろう。
銀時が薄らってると言うと無性に腹立たしい単語なのに、愛娘からウスラーと呼ばれると態度をコロッと変え、雪はそんな星海坊主を見て『やっぱり夜兎族でもこう見ると普通のお父さんだなぁ』と内心思った。
「ふん…なんかよからぬ事でも考えてたんじゃねえの?夜兎の力を悪用しようって輩が巷にゃ溢れてるからな…」
愛娘からあだ名(?)を貰い少しはご機嫌になったらしい星海坊主だったが、やっぱり気に入らないものは気に入らず、更には自分達の種族が周りにどう見られているのか星海坊主が一番知っているからか、辛辣な言葉を吐き2人…特に銀時を警戒する。
そんな星海坊主の言葉に今度は銀時がカチンと来たらしく星海坊主を睨み付ける。
「なんだァ!?悪用ってどういうことだゴルラァ!てめえの頭で大根でもすりおろすことを指すのか!?――大体長い間娘ほったらかしにしてた親父がとやかく言えた義理かよ!!」
「なんだァ!?。こちとら必死に捜し回ってたっつーんだよ!ちょっと目を離してたら消えてたんだよ!!難しいんだよ!この年頃の娘は!!ガラス細工のように繊細なんだよ!!」
「なァに言ってやがんだ!ガラス細工のような危なげな頭しやがって!!」
「てめえ…!!今のうちだけだぞ強気でいられるのは!!三十過ぎたら急にくるんだよ!!いつの間にか毛根の女神が実家に帰ってたんだよ!!」
「ちょ、ちょっと!やめてくださいよ!2人とも!!」
パフェを食べるのをやめ立ち上がり難癖つける親父に銀時は声を上げて反論するも、その言葉にもカチンと来た星海坊主も銀時同様立ち上がり胸ぐらを掴み同じく声を上げる。
危惧していた喧嘩勃発をしそうになる2人を雪が止めに入ろうとするも2人は止まる気配はない。
「とにかくてめえのような奴にうちの娘は任せてられねぇ!!神楽ちゃんは俺が連れて帰るからな!!」
「なに勝手に決めてんだアアア!!」
胸ぐらを掴む星海坊主の頭を銀時はフーフーと息を吹きかける。
銀時の息によりギリギリある毛がひらひらと舞うも毛が薄くなっている事を気にしている星海坊主は銀時のそれに怒りゲージを上げた。
問答無用で神楽を連れて帰るつもりの星海坊主だったが、その神楽本人から背後からの蹴りを貰ってしまった。
ついでに銀時も巻き込まれてしまう。
「神楽ちゃん!何すんの!!ドメスティックバイオレンス!?」
背中を蹴られた星海坊主は先ほどの怒りはどこへやらで神楽の蹴りに困惑を見せる。
雪はとりあえず銀時対星海坊主が収拾したのもあってか慌てて倒れた銀時へ駆けつける。
銀時に怪我がない事にホッとしながら神楽を見上げれば、神楽は星海坊主を冷たい眼差しで見下ろしていた。
「今まで家庭ほったらかして好き勝手やってたパピーに今さら干渉されたくないネ!パピーも勝手、私も勝手!私勝手に地球に来た!!帰るのも勝手にするネ!!」
星海坊主は全宇宙に名を轟かせていたが、家にはあまり寄り付かなかったらしい。
家出をしてきたと言っていたから色々あるのだろう、と雪は家族の事は神楽が言わない限り聞き出そうとしなかった。
だから一人っ子なのか、兄妹がいるのかは分からない。
しかし夜兎族とはいえまだ14歳の少女が1人で故郷から遠く離れたこの星に来たのだから相当寂しさを感じていたのだろう。
寂しくて、でもそれを告げる相手もいなくて…だから神楽は家を出たのだろう。
だから余計に今更になって父親に干渉されたくはないのだろう。
しかしこの世の中、夜兎だからと言って一人旅立てるほど甘い世の中ではないのを星海坊主は知っている。
だから神楽の言葉に星海坊主は首を振った。
「…神楽ちゃん、家族ってのは鳥の巣のようなもんだ。鳥はいつまでも飛び続けられるわけじゃねえ…帰る巣がなくなればいずれ地におっこっちまうようなもんさ」
「パピーは渡り鳥…巣なんて必要ないアル。……私もそう…巣なんて止まり木があれば十分ネ。」
「それじゃあなんでこの止まり木にこだわる?ここでしか得られねえもんでもあるってのか。」
「…またあそこに帰ったところで何が得られるネ……私は好きな木に止まって好きに飛ぶネ!」
宇宙に名を轟かせるという事はそれなりに経験しているという事。
いくら保護者のような人間の元で暮らそうと、愛している娘を危険ばかりの外の世界に放り込めるほど星海坊主は親を捨ててはいない。
例え自分が放任しすぎたせいで神楽が家出をしたと責められても、やはり愛する娘をこの地球に置いてはいけなかった。
「餓鬼が…ナマ言ってんじゃねえぞ!」
今まで神楽の我儘に親として甘く接していたが、先ほどの言葉に流石に頭に来たらしく、星海坊主は低い声で神楽を睨む。
しかし、
「ハゲが!いつまでもガキだと思ってんじゃないネ!!」
神楽も本気でこの星から離れるつもりはないらしく、父親の睨みにも負けじと神楽も鋭い視線を送る。
「あ、あれ…?なに、この感じ…」
「おい、ちょっ…」
銀時の時以上に冷たく一触即発な空気に銀時の傍にいた雪は顔を引きつらせ青く染める。
銀時も睨み合う2人に戸惑いつつも声をかけたのだが…
――それが戦闘の合図となった。
2人はガラスを割り、二階であるファミレスから外へと飛び出した。
そんな夜兎族の喧嘩をよそに、真選組は星海坊主が倒したエイリアンの回収を行っていた。
「いいか、丁重に外に運び出してくれ」
土方は隊士達にそう指示をし、煙草に火を付ける。
『ちょっ、鷹臣さん!』という部下の声が耳に届き、その声の方を横目で見ればまだ着ぐるみ姿の鷹臣がツンツンとエイリアンの残骸を突っつているのが見えた。
部下達の仕事を邪魔しているようにしか見えない鷹臣に土方は溜息をつき軽く頭を叩いた。
「…何するんですか、十四郎さん」
「何するも何も公務執行妨害で逮捕すんぞゴラ…お前今日オフだろ。なに仕事みたいな事してんだ。っていうか何だその着ぐるみ…」
「いや…なんか面白そうだったし…」
土方は、沖田と比べて素直な鷹臣に甘い。
だから叩かれても痛くもなんともないし、更には着ぐるみの上だっため痛みは皆無である。
しかし叩かれた事にムスッとさせる鷹臣に土方は仕事の邪魔だと言って首根っこ掴んで立たせた。
どうやらあの時はエイリアンにしか目に映っていなかったようで、鷹臣を轢きそうになったことは覚えていないようである。
それでも頬を膨らませる鷹臣だったが、20代の男が頬を膨らませ拗ねたって何の可愛気もないわけで…それが雪だったらどんなに可愛いか、と想像して土方は自分の機嫌を直す。
しかし恐ろしいのは20代成人しているはずの鷹臣が拗ねても画になる、という事だろう。
確実にここに女がいれば着ぐるみ美男子だろうが何だろうが新たな鷹臣のストーカーになること間違いなしである。
『面白そうだ』と答えた自分に『馬鹿か…』と呆れた溜め息を返した土方をよそに鷹臣は散らばったエイリアンの残骸を見渡した。
「でも、十四郎さん…こんな気持ち悪い残骸、何に使うんですか?」
「入国管理局の連中が持って来いってさ…どっかのお偉いさんで欲しがってる奴がいるんだとよ……趣味の悪い野郎もいたもんだ…」
エイリアンに興味はないがなぜ残骸を集めるのかには興味があるらしく、鷹臣は残骸を回収する隊士達を目で追いながら土方に尋ねた。
土方は煙草の煙を吸い込み吐き出しながら問いかけに答えてやり、その答えに鷹臣は何の感情も含まれていない『へー』と棒読みで返す。
「しかし星海坊主ってのはいつもこんな化け物とやりあってんですかィ?どっちが化け物だかわかりゃしねえや。」
「おまけに、あの怪力娘の親父だったとは…生活感の欠片もねえ男だったが…」
星海坊主の名は真選組にも届いており、沖田と鷹臣は銀時同様知らなかったようだが有名だった。
毎日こんな化け物とやり合い命を取り合っていると思うと、夜兎族とはいえ化け物だと認識してしまいそうになる。
実際、こんなエイリアンを倒せるのだから化け物なのは確かなのだろう。
しかも更にはあの化け物は怪力娘こと神楽の実の父親らしい。
あの後雪の姿についていこうとした鷹臣の首根っこを捕まえ阻止し、見送った星海坊主の後姿を思い出して土方はポツリと呟く。
「男って奴には二種類ある。一つは家族や仲間、自分の巣を守り安寧を求める防人タイプ…もう一つは巣から出て獲物を求めさすらう狩人の血だ……あの男の目は狩人というより、獣に近い。大人しく巣に治まっているタマではあるまいよ…―――もしかしたらあの娘…今まで寂しい思いをして生きてきたのかもしれんな…」
土方の呟きに近藤が返した。
近藤の言葉に沖田は『そうですかねィ』と呟きながらも、銀時と雪に甘える神楽を思い出し…
鷹臣は兄の言葉にただじっとエイリアンを見つめていた。
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