あれから三橋に連絡し、足を撃たれたキッドのために松葉杖と肩を不必要に動かさないように腕吊りを持ってきてもらった。
ついでに診察してもらい、傷の程度をキッドに説明した。
「足は筋を逸れているから足の動きに支障はなく後遺症も出ないわ…腕も同じで運の良い事に上手く逸れて後遺症もないでしょう」
「そうですか…よかった…」
「でも暫くは安静が必要……と言ってもあなたみたいなタイプは言う事聞かないでしょうし動くなとは言わないけどあまり傷の響く動きはしない事…せっかく上手く逸れてるのに悪化させて後遺症が残ってしまったケースだって少なくともあるんだから」
「はい、分かりました」
最初美女が女医として現れ、やはりキッドも男だからドキマキしていたが怪我の説明をされる時になればそのドキマキもどこかへ行っていた。
彩羽も後遺症が残る事はないと聞きホッと安堵を浮かべている。
説明を終え、これから必要であろう包帯や消毒やガーゼを春恵に渡して三橋は帰るため席を立つ。
「ああ、それと…黒場くん」
キッドも見送ろうとしたが、足を怪我しているからと三橋が止め、上げかけた腰をソファに座り直した。
しかしリビングの扉まで見送るつもりだったキッド―――『黒場』という偽名を呼ばれ、こちらを振り返る三橋に首を傾げる。
三橋は目を細め意地悪な笑みを浮かべてキッドに向ける。
「お嬢さんに手を出したらあなたの命…ないと思いなさいね」
「へ…?」
三橋はそう言いながら親指を立てて首を横に切る素振りを見せた。
ニッと笑う彼女は顔が整っているから様になっているが、だからこそそれが冗談に聞こえなかった。
しかし、この家には雇われている三人と彩羽しかいないようで、三橋が彩羽を心配しての言葉だと思った。
しかし…
「お兄ちゃんも流石にそこまでしないと思いますけど…」
「あらあの人誰かがあなたを刺すくらいなら自分が刺すと言うくらいだもの…あの人ならやりそうだわ」
三橋の言葉を彩羽が笑う事もしなければ、『冗談』と言うでもなく、否定もしない。
それはそれくらいしても可笑しくないという事であり、キッドは『シスコンかよ』と内心そう呟き呆れたように笑った。
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