(17 / 24) 緊急事態252 (17)

男二人組は自滅したコナンをガムテープで縛ったあと、灰原を捕まえる事も成功した。
灰原は囮になって捕まってしまい、二人はコナンが倒れた廊下で縛られ座らされていた。


「サイレンが聞こえないって事は」

「ガキども、俺の言いつけを守ってるって事だな」


コナンを拘束し、灰原を捕まえた後、姿が見えない子供三人に太った男は『警察に通報でもしたら2人の命はないから覚悟しておけ』と脅していた。
その脅しに三人…光彦たちは警察に電話するのを諦めざるを得なかった。
嘘にしろ本気にしろ、通報して二人を更に危険な目に合わせる事は出来なかった。


「で、このガギ二人はどうするよ」

「娘を閉じ込めてる四階の部屋に連れてけ…俺は残りのガキ連中を探してくる」

「俺にお守しろってか!?」

「お守くらいどうってことねえだろ!大体お前が道端で誘拐なんかするからどこの家の娘か分からなくて電話も出来なくなってるんだろうが!!」


太った男は子供を探しに向かい、痩せた男は見張りという子守りを任された。
しかし子供が好きでもない男はそれを不満に持つが、太った男の言葉にグッと言葉を詰まらせる。
どうやら誘拐犯なのは間違いないようだが、どこの家の娘か分からず金持ちそうだからと誘拐したらしい。
それを聞きコナンは何とも無計画すぎる誘拐犯だなと呆れた目で二人を見ていた。

―――男に連れられたのは四階のある一室の更に奥まった場所。
恐らく従業員の更衣室なのだろう。
ロッカーが並んで置かれていた。
そこに適当に置かれたコナンと灰原の視界にあるものが映り、二人は目を丸くした。


(女性……いや、体つきからして高校生くらいの少女か…)


同じくその部屋にはコナンと灰原のようにガムテープで拘束され口も塞がれている大人の女性が横たわっているのが見えた。
しかしよく見れば体つきは大人っぽくはあるが、まだ成熟しきっていない幼げな体つきでよく観察してみればまだ高校生だと気づく。
最初大人の女性に見えたのは化粧だった。
殴られたのかコナンのように顔が少し腫れあがっているが、その化粧の派手さから大人だと勘違いしていた。
だがただの派手な化粧の高校生だとコナンも灰原もすぐに気づいた。


(さっき言ってた誘拐したっていう金持ちの娘ってこの人の事か……でも…この人の顔…どこか見覚えがあるような…)


その少女は殴られて気を失っているのかコナン達が入ってきたというのにピクリとも動かなかった。
コナンはその少女を見れば何となく既視感を感じていた。
それが何なのか分からず思わずその少女をジッと見つめてしまう。
だが、どんなに穴が開くほど見ようがやはりその少女がどこで見たのか全く思い出せなかった。

―――そして、時間だけが進み、ビルの中を調べ尽くした男が戻ってきた。


「くそ!!なんでどこにもいねえんだ!!」


あれから進展もなく元太達は捕まらず一度戻ってきた太った男はランドセルを蹴って苛立ちを発散させていた。
暫くして落ち着いた男は痩せた男に声をかける。


「あの娘はどうだ…目を覚ましたか?」

「いや、まだだ…お前が強く殴ったから気を失ったんだろ?だから加減をしろって言ったのに」

「うるせえ!あの娘がとっとと家の電話を答えてりゃ俺だって殴らねえよ!」

「知らないの一点張りだったもんなぁ…お前が腹を蹴っても顔を殴っても電話番号どころか弱音すら吐かなかったし…」


そう言いつつ部屋を覗き込み気を失っている女子高生を見下ろす。
コナンはその言葉を聞き、顔だけではなく腹…下手をすれば体中を殴られているかもしれないと気づいた。
内心『何て奴らだ』と悪態をつきながら男達を睨んでいると、太った男と目と目があった。
目がった瞬間ニヤリと笑った男にコナンは嫌な予感がした。


「おい、お前水買ってたよな?あれまだ残ってるか?」

「あ、ああ…まだ一口も飲んでないが…」


相方に水はないかと問われ、まだ蓋さえ取っていないペットボトルに入っている水を渡す。
蓋を取り太った男はその水を持って女子高生の方へと歩み寄り…―――気を失っている女子高生の顔に容赦なく水を掛けた。


「ッ―――、っ!?」


気を失っていた女子高生は水を掛けられ強制的に起こされた女子高生は突然の水に驚き体をビクリと跳ねる。
幸い鼻には入らなかったが目が開けれず思わず頭を振って水分を飛ばす。
そこでようやく目も開けることができ、女子高生は意識をはっきりとさせた。


「起きたか?」

「…………」


普通のペットボトルの水ではあるが、気を失っている人間を起こすには十分役に立ってくれた。
太った男の声に気付いた女子高生はキッと男達を睨む。
どんなに殴っても怯える素振りも見せない女子高生に男は馬鹿にされているように思えて腹を立て、『なんだその目は!』と一発腹に蹴りを入れてやった。


(おいおい!なんて奴だ…!)


起きたばかりの女子高生にただ見上げる目が気に入らないからと一発蹴りを入れる男を見てコナンはぎょっとさせる。
痩せた男が『おいやめろって!』と止めたためもう一発食らわずには済んだが、その痛みから女子高生は体を丸め、咳込む。
痛みに顔を歪ませる姿で気が晴れたのか、太った男は女子高生の口を塞いでいるテープを乱暴に取った。
厚化粧とまでいかないものの、ガムテープの粘着側にも化粧が付いてしまっている。


「おい…そろそろ言う気になったか?」

「…………」

「あんまり俺らを怒らせると…―――こいつらがどうなっても知らねえぞ?」

「ッ―――!」


けほ、と咳き込みながらも男達の言葉を無視する女子高生に太った男はコナンの首根っこを掴まえ女子高生に差し出すように見せる。
コナンの姿に女子高生はやっと自分だけではなく子供達も捕まっている事に気付き、目を丸くさせ顔を青ざめる。
そんな女子高生の変化に気付き太った男はニヤリと笑みを深め、ペチペチとコナンの頬を軽く叩く。


「あんたが電話番号さえ教えてくれりゃこいつらに手出しはしねえし手間もとらせりゃしねえよ」

「…………」

「あんたも頑固だなぁ…なあ、言った方がいいぜ?こいつが容赦ねえのあんたも体で体験して知ってんだろ?」


女子高生相手でも容赦なく蹴る殴るのだからきっと子供でも容赦はないのだろう。
といっても暴力は全て太った男から受けた物で、痩せた男はあまりにも酷いと止めはするが庇う事もしない。
痩せた男の言葉に女子高生はコナンを見る。
コナンの顔には強く殴られたような痣が出来ており、それを見て女子高生は男達を見上げた。


「いいわ…電話番号を教える…」

「!――そうか!やっとかよ!」

「ただ…お金が払われるかは分からないわよ」

「はあ?」


子供の命と自分の命。
どちらを測るまでもなく、子供の命を優先と考えてしまう。
自分のせいで子供達が巻き込まれるのは心が痛いし、子供達の家族にも申し訳が立たない。
しかし、電話番号は教えるが、金が払われるかは分からないと言う。
喜んだ男達だったが一瞬でその喜びは奪われていく。
子供を放り投げ太った男は女子高生の胸元を掴む。


「どういう事だ!?」

「っ…親がいないのよ…あの家は施設で兄妹のように育った人の家で…私はそこに事情があって居候しているだけ…その人も今海外に出張してて暫くは帰ってこないし…あそこには家政婦と庭師くらいしかいないわ」

「な…っ!」


どこの家から出たのか分からないが、高級住宅街である場所で歩いていたから誘拐し身代金を奪おうという魂胆だった。
しかし想定外にも女子高生の口は堅く、子供を使ってやっと吐いても金持ちの娘どころか居候だと言う。
太った男はその言葉を聞いて逆上し胸倉をつかんでいる手をそのまま振り下ろし女子高生を地面に叩きつけた。
その際頭を強く打ち、皮膚が切れて血が滲んでしまう。
口も切れたのか、それとも元々血が混じっていたのかは分からないが痛みで半開きになっていた口から血が垂れ落ちる。


「ふざけるのもたいがいにしろよこのクソガギが!!」


更に男は女子高生の身体を上から踏みつけた。
何度も何度も踏みつけ怒りをぶつける。
それをコナンは止めようとしたが、体の自由を奪われ、更には子供の身体故に高校生時代の時とは違って上手く動いてくれない。
コナンは唸るだけで目の前で幼馴染と同じ年頃の女子高生が踏みつけられるのを見ているしかなかった。
結局男は見兼ねた片割れの男が止めに入るまで女子高生を踏みつけていた。


(こいつら何考えてるんだ!?無計画とも言える誘拐に人質を蹴る殴る暴力行為を繰り返して!考えなしの馬鹿なのか…それとも他に何かあるのか…)


この二人組の男が誘拐犯なのは間違いはない。
しかし男達は女子高生が出て行った家を目撃したわけでもなく、ただ高級住宅街を歩いていたから金持ちの娘かと思い誘拐しただけに見える。
それに誘拐にはまず家の場所や電話番号もそうだが、何より人質第一である。
人質がなければ誘拐にはならず、家族だって金を出さない。
ある程度の暴力はあれど殺さんばかりの暴力は愚の骨頂である。
コナンはチラリと女子高生を見た。


(しかし…それにしてもこの人我慢強いな…どんなに蹴られても悲鳴一つ上げないなんて…普通テープを剥がされた時悲鳴を上げたりするし…殴られれば声が出るはずなのに……そもそも泣きもしないなんて…)


体の痛みに体を丸めたり震えたりはする。
しかし痛みに泣いたり悲鳴を上げたりせずこの女子高生はただ痛みに耐えるのみ。
誘拐犯を挑発しない点では助かっているが、少しコナンから見たら慣れているようにも見えた。


「どうする?居候だし家にいるのが家政婦だけじゃ金なんて取れねえぞ…」

「居候でも見捨てる事しねえだろ…家政婦が家主に連絡してくれるだろうよ……おい、番号教えろ」


落ち着いたのか太ったが痛みに蹲る女子高生の胸ぐらをつかみ電話番号を聞き出そうとする。
何度も蹴られたため意識が朦朧としている女子高生は頭の端に子供の事が残っているのか小さな声で番号を囁いた。
その声に従い番号を痩せた男が携帯で打ち、電話を掛けた。
暫く呼び出し音を聞いていた男だったが『はい、川口です』と少年の声で出た。
家政婦と聞いていたので女かと思っていた痩せた男は思わず電話を切ってしまう。


「おい!何してんだ!」

「だってよ!男が出たぞ!?普通家政婦って女じゃねえのか!?庭師にしては声は若すぎるしよ!」

「なんだと…!?おい!この電話で間違いねえんだよな!?もしわざと間違ってる電話番号を教えたって言うならこの坊主共がどうなるか分かってるだろうな!!」


思わず電話を切った男に太った男は怒鳴ったが、痩せた男の言葉にギロリと睨み、コナンを捕まえて女子高生にいつでも殴れるぞと見せつける。
女子高生は子供に危害を加えられると青い顔をし、何度も頷いて見せた。


「ま、間違いじゃないわ!世話になっている人の親戚も居候してるのよ!!だからその子を離して!」


その言葉に男達は疑いの目を向ける。
だが今度は太った男が電話を掛けると、また少年が出た。


≪はい、川口です≫

「お前の家の居候してる娘を誘拐した!返してほしければ2億用意しろ!!」

≪……あの子は無事なのか≫

「ああ…だがお前らが何かすれば命はないと思え!いいか!2億だぞ!今日の夕方まで用意しろ!!」

≪今日の夕方って…ち、ちょっと待ってくれ!2億をすぐに用意するのはむ――――≫


2億と聞いてコナンだけではなく灰原や女子高生も目を丸くさせ驚いて見せた。
普通身代金はよほど大企業や裕福だと分かっている家でなければ億を超えた金額は要求しない。
払えないのを分かっているからだ。
対してこの誘拐犯は女子高生の住んでいる家すら分からず電話番号も聞き出してやっと分かった。
女子高生がどんな家に住んでいるのかも分からないというのに行き成り1億どころか2億を要求し、コナンはますますこの誘拐犯の考えが分からなかった。
流石の電話の相手も戸惑いを見せたが、しかし、不自然に言葉が切れ、太った男は怪訝をさせた。
『おい!』と怒鳴ろうとしたその時、少年とは違う成人男性の声が男の耳に届いた。


≪すみません、お電話変わりました…この家の主人です≫


一般の男に比べれば少し高いその声の主は、女子高生が居候しているという家の主人だった。
誘拐されたと気づいていないように冷静で静かなその声に男は疑問も持たず家主が出た事に『丁度いい』と話を進めた。


「あんたがこの娘を居候させてるっていう家主か!」

≪ええ、そうですが……あの子は無事ですか?≫

「それはあんた次第だな!2億とその娘を交換してやる!今日の夕方6時に○○通りにある廃墟ビルに来い!!金を確認すれば娘を帰してやる!!」

≪そうですか…分かりました……○○通りの廃墟ビルに6時ですね―――いえ…それではあの子を待たせることになってしまいますからお金の準備が出来次第行きましょう…≫

「…や、やけに素直だな…け、警察に連絡したんじゃないだろうな!」

≪そんな暇ありませんよ…ただ単純にあの子を返してほしいだけです≫


その口調は冷静であり、そして淡々としていた。
まるで兄妹のように育った娘が誘拐されていると思っていないような軽口に男は苛立った。
コナンは会話は聞こえないが、自分達以外に誰もいないため携帯から漏れる男性の声は小さいが聞こえていた。


(兄妹のように育った娘が誘拐されたっていう割にはやけに冷静だな…冷静を保てる人物か……それとも所詮施設だと思っているのか…)


施設育ちがどうとか言うわけではないが、家主の言葉は少し冷静過ぎだとコナンは思う。
チラリと女子高生を見ると女子高生は顔を真っ青にし、血の気を引いていた。
それもコナンは気になった。


「お兄ちゃん!!違う!違うの…!!私は大丈夫だから…っ!!」


女子高生は家主を兄と呼び、何故か『助けて』ではなく『違う』と叫んだ。
コナンは先ほどの青い顔といい、『助けて』ではなく『違う』と叫ぶことといい、普通だと思っていた高校生にここで初めて違和感を覚えた。


「そいつを黙らせろ!!」


せっかくの2億もの金を入手できるチャンスを逃がしたくなく、太った男は痩せた男に女子高生を黙らせるよう指示を出した。
痩せた男はガムテープを新しく切って女子高生の口に張り付けて塞いだ。
それでも女子高生はうーうーと唸って何かを話しているが、生憎口を塞がれた為兄と呼んだ家主には聞こえない。


≪あの子の声が聞こえなくなったのですが…まさか乱暴にしていませんよね≫


それでも家主は冷静を失っていなかった。
その冷静さに太った男も我に返り『あ、ああ』と頷いた。
どうしてか冷静で相手は怒っている様子は感じられないというのに男は先ほどから寒気が収まらなかった。
震えそうになる声を何とか抑えながらもう一度身代金の金額と場所を指定し通話を切った。


「てめえ!余計な事言うんじゃねえよ!」


通話を切った太った男はギロリと女子高生を睨み足を上げる。
コナンはまた蹴られると思ったが、男はピタリと動きを止め、上げていた足をゆっくりと下げ、蹴る事が出来なかった苛立ちを壁にぶつけていた。


「俺はもう一度ガキ共を探しに行ってくるからちゃんとこいつら見張っとけよ!」

「おう、せっかく身代金を取れるって時に邪魔されちゃ敵わねえからな…でも金貰ったらこいつらどうするんだ?」

「殺すに決まってるだろ…顔を見られてるんだぞ?その為にガソリンを買って来たんだからな!」

「殺すって…じゃあこの嬢ちゃんの家族は…」

「そいつもだ!全部燃やせば証拠隠滅出来るだろ!」


苛立った声をそのままに太った男はそのまま元太達を探しにまた姿を消し、太った男の『ガソリンをまいとけ!』という半分以上八つ当たりの指示に従いガソリンに手を伸ばす。
男一人の動きをコナンは注意深く目で追っていた。


(あの男がビル中探してもあいつらを見つけられないって事は―――恐らくあいつらはこのロッカーのどれかにいるはず…)


男はコナン達を気にする事も警戒する事もなくガソリンをまくのに集中していた。
恐らく女子高生一人、小学生二人と反撃されるわけがないという油断だろう。
特に女子高生は反抗的な態度ではあるが太った男に何度も殴られ体力消耗しているというのも大きかった。
コナンは太った男がもう一度元太達を探しに向かったのを見送り、チラリと並んでいるロッカーを見る。
いくら子供とはいえ一人も見つからないのは少し可笑しい。
その事からあの男達が探していない唯一の部屋――このコナン達が監禁されている更衣室だった部屋のみとなる。
恐らく、この部屋にコナン達が連れてこられる前にここに隠れ出るに出れなくなった…という事だろう。
ロッカーを注意深く見ていると、隙間から元太達の目元が見えた。


(一か八か…試してみる価値はありそうだな…)


正義感の強い少年たちだから自棄を起こさないか心配だった。
だから脳裏に浮かんだ案を試してみようと思う。
全くこちらを見向きもしない男の隙をつき、コナンは探偵団バッジを手の中に納め落ちないよう気を付けながら手の先へと移動させる。
やっと手先へ移動させ、ホッと安堵しているとふと視界に女子高生が映った。


(不味いな…頭も打ったみたいだし何度も腹部を蹴られてたよな…早く病院に運ばねえと危険かもしれない…)


女子高生は痛みに耐える様に顔を歪め、目を瞑っていた。
その女子高生の顔には血の気はなかった。
それが家主と話している最中のような何かに怯える様子を見せているからか、それとも体調が思わしくないのかは分からない。
だがコナンと灰原、そしてロッカーの中にいる歩美達も何度も蹴られたり殴られたりされているのを目撃しているため、無事ではないのは確かだろう。
今は話す事が出来ないから分からないが、下手をすれば内臓破裂も可能性が高い。


(頼む…!気づいてくれ…!)


女子高生の為にもコナンは一刻も早く脱出しなければならない。
身代金は2億。
2億を用意するにはそれなりに時間が必要となる。
2億ともなれば銀行も怪しむだろうし、相手も警察に通報するはず。
それまでの時間を稼ぐにせよ女子高生を思えば一秒も無駄にはしたくない。
正直あの冷静さを保っていた家主をコナンは信用できなかった。
兄妹も同然に育って来た割には焦りさえ見せない様子で、逆に誘拐犯が焦っていた。
まだ最初に出た少年の方が信用がある。
コナンはガソリンをまいている男に気付かれないよう音を大きくしない程度に探偵団バッジを床で叩く。
最初は2回叩き、次は5回叩き、4回叩く。
これは『254』――現場待機を意味する通話コードである。
光彦が通話コードをメモしているのを思い出し実行したのだ。
その音がコードだと通じたのか、元太達の気配が大人しくなったのを感じる。


(ああ!そうだ!おめえら俺が指示するまで絶対そこから動くんじゃねえぞ!)


コナンは元太達が大人しく待機という指示を守るのを感じ、ホッと安堵をする。
そして女子高生へ目をやり、その後ガソリンをまいている痩せている男へと視線を送った。

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