コンコン、とノックされ、彩羽は来客に体を起こそうとした。
しかしそれを高遠が起こそうとした体をゆっくりとベッドに戻して止めた。
首を傾げる彩羽に高遠は笑みを浮かべ『私が出ます』と言い扉の元へ向かった。
扉を開けると意外な人物が立っていた。
「おや、明智様」
「………なぜここに…」
扉を開けるとそこには明智が立っていた。
浮かない顔をしていた明智だったが、彩羽が出てくると思っていたのが高遠が出てきた事に驚いた顔をした後、眉間にしわをよせる。
不機嫌を隠すことのない低い声を零す機嫌を損ねている明智に対して高遠は上機嫌ににっこりと笑ってみせる。
「先ほどまでお嬢様と一緒でしたので」
「…………」
「ご安心ください、あなたが思っているような事にはなっていませんよ」
『キスはしましたが』と心の中で付け足す。
彩羽は一人にしてほしいというから明智は放っておいたが、その間高遠に出し抜かれたと腹を立てていた。
にっこりと笑う高遠に顔を顰め嫌悪を隠さない明智に笑みをそのままに体を横へずらし『どうぞ』と明智を部屋に入れる。
高遠を横目で睨みながら何も返さず明智は部屋を入りまっすぐ彩羽の元へ向かう。
彩羽は明智の声に気付いたのか、横になっていた体を起こしベッドに座っていた。
「どうしたの?」
「…金田一君が犯人が分かったから彩羽を呼んでほしいと…」
「え…本当?」
「ああ、猪川警部もすでに来られている」
首を傾げる彩羽に多少の不機嫌さをそのままにここに来た用件を述べる。
それは犯人が分かったというものだった。
彩羽は明智の言葉に目を丸くしたが、明智は淡々と頷いて見せる。
『すぐ行く』と立ち上がり扉の方へ向かう彩羽に明智は引き留める。
「彩羽、その前にしてほしい事がある」
「してほしい事?」
なに?、と答える彩羽に明智は伝え、彩羽はその言葉に目を瞬かせた。
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