美雪はプリプリと頬を膨らませて怒っていた。
「もう!はじめちゃんったらまたサボる気ね!」
金田一は一限目から授業をサボリどこかに身を潜めていた。
「ま、どうせ屋上だろうけど!」
そう愚痴りながら屋上へ向かうも誰一人いない。
ペントハウスと呼ばれる建物から突出している上にもいなかった。
「うそ…はじめちゃんが行きそうな場所なのに…」
まず金田一がサボりそうな場所と言えば、ここを思い浮かべる。
珍しく、この高校の屋上は出入り自由だ。
だから金田一の他にも生徒がこの屋上を利用することもあるが、もっぱらこの場所の住人は定番の不良か、サボり魔の生徒である。
そのサボり魔の生徒の1人である金田一もこの場所の主ではあるが…どうやら今回は読みが外れた様だ。
それに意外だと驚いているとついに鐘が鳴ってしまい、美雪は慌てて屋上を出た。
「あっっっぶねえ…」
美雪が出て行き彼女の足音が消えるとペントハウスの縁からひょこりと金田一が顔を出した。
あわあわと手間取りながらペントハウスに戻ると痺れだしていた手を振る。
どうやら金田一は美雪の登場に慌ててペントハウスの縁にぶら下がっていたようである。
「ま、俺がここにいなかったって認識させたし…ここは昼まで安全地帯だな」
怖いのは教師でも不良でもない。
金田一が唯一恐れる者…それは母親と美雪である。
更には二人が手を組めば某怪人風に言えば金田一などマリオネットも同然である。
どんなに人を殺した人間と対峙しても平気なのだが、母親と美雪だけは恐ろしくて仕方ないのだ。
内心『絶対俺…将来尻に敷かれそう』と思ったのは内緒である。
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