(4 / 17) 学園七不思議殺人事件 (4)

授業も終え、教師が出て行けばよく見る転校生の質問攻めが始まった。
彩羽は誰が見ても美少女である。
美雪と並ぶと絵になり、まさに両者は『高嶺の花』である。
最初に静まり返っていたのは、あまりの美少女のためどう反応したらいいのか生徒たちは迷っていたのだ。
やっと美少女の存在を受け入れることができるようになり、質問攻めが始まったが、多くはない。
彩羽に集まった多くが女子で、男子は様子見&盗み聞きで周りで友達と話したり本を読んでる体を装っていた。


「彩羽ちゃんがまさかこの学校に来るなんて思ってもみなかったなぁ」


質問攻めといっても、そうたいしたものではない。
元々美雪と知り合いだったこともあってか、よく話すのは美雪で、彩羽も楽しそうにしているので、自然と美雪と仲の良い女生徒が集まって美雪と彩羽との会話に少し口を挟む程度だった。
美雪の言葉に彩羽は確かに驚かせたくて高校の話題をあえて避けていたが、そこまで驚かれるとは思っても見なくて小首をかしげる。


「そんなに意外だった?」

「うん、彩羽ちゃんは秀央高校に行くのかなって思ってたから」

「え?巴川さんってそんなに頭いいの?」

「良いも悪いも!彩羽ちゃんの前に通ってた学校はね――」


美雪の言葉に彩羽は納得するように頷く。
東京の頭のいい人は大抵秀央高校に受験しにいくらしい。
それに明智も秀央高校だったと以前に聞いた事があり、その従妹となれば秀央高校に行くのだろうと美雪は勝手に思ってしまっていた。
美雪の『彩羽は秀央高校に行くのだと思った』という言葉に驚く友人達に美雪はあのドイツ城の際聞いた彩羽の元々通っていた学校の名を教えた。
その学校は秀央高校と並ぶほど優秀な人材が生まれる頭のいい高校で、恐らく一度くらいは聞いた事あるだろう有名校だった。
彩羽が頭がいい事を知って周りの女生徒達と盗み聞きをしていた男子や周囲の生徒たちは驚くが、彩羽はもう過去の事だから苦笑いを浮かべるだけだった。


「最初はね、兄さんも秀央高校を勧めてくれたんだけど…でも私この学校に通いたかったから断ったの」

「ええ!?なんで!?」

「秀央高校とうちじゃ比べ物にならないのに!勿体ないよ!」

「だってはじめちゃんと美雪ちゃんが不動高校に通ってるって聞いてたから」


最初に美雪と彩羽の関係を聞いた時、短い間だが幼い頃から友人だった幼馴染だと教えてくれた。
その時から関係があると思いつつも否定しスルーしてきたが、どうしても神はスルーは許してくれなかったようだ。


「はじめちゃん…?」

「うん、はじめちゃん」

「……うちにはじめちゃんって人いたっけ…」

「……別のクラスでしょ?」

「え…はじめちゃんここのクラスじゃないの?さっき先生が金田一って言ってたから同じクラスだって思ったんだけど…」

「…………」

「…………」

「…………」


スルーしたのは、金田一の部分だった。
金田一がこの美少女と知り合いだと…幼馴染だとは信じたくはなかった。
しかしそれを彩羽自身が否定した。
黙り込む生徒達をよそに美雪と彩羽は和気あいあいと話をしており、唖然とする女子生徒の耳には『また金田一かよ!』やら『なんで金田一の周りには美女が集まるんだよ!!』やら『あいつ早く爆発に巻き込まれて粉々になって死なないかな…』やら『また美女を金田一にもっていかれた…』やらが聞こえていたが、聞かなかったことにした。


「でもはじめちゃん、今日は休みなの?」

「違うよ、来てるんだけどね…サボってるの」

「サボり…本当だったんだ…じゃあ今はどこにいるのか分からないの?早くはじめちゃんにも会って驚かせたかったのになぁ」

「んー…今は多分屋上にいると思うけど……行ってみる?」

「え、いいの?」

「うん…私もはじめちゃんに渡さなきゃいけない物があるしね」


ほぼこのクラスの全男子生徒は金田一に呪いを送っていたが、そうこうしているうちに彩羽は美雪と共に金田一を探しに教室を出て行った。
友人達も誘われたが、また金田一が美女を両脇に抱えることになる事に疲れを感じたのか『いいよいいよ、リア充の邪魔できないから』といつものようにバカップルの揶揄いを建前で断って見送った。


「…ねえ、なんで金田一の周りって顔が整った人ばっか集まるのかな…」

「さあ…」

「集まるって言っても美雪に巴川さんだけでしょ?…あと誰がいたっけ?」

「外で金田一と話す眼鏡のイケメンと肉体系のイケメンを見た」

「ちょっとでもいいから金田一のその美形ホイホイ能力が欲しい」

「「「それな」」」


眼鏡のイケメンは明智。
肉体系のイケメンは楊小龍(ヤン・シャオロン)だろう。
恐らく小龍は仕事か旅行かで日本に来日していたのだろう。
更に金田一の周囲には逃亡犯やらアイドルやら舞踊姉妹やら怪盗やらもいるが、彼女達は知らない。(多分知らない方がいい案件である)

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