「ハヅキ…」
誰かが呼んでいる…
「ハヅキ…頼むから目を開けてくれ…ハヅキっ!」
誰だろう…
気になる……
でも目が開けられない…
全身がだるくて指一本も動かせない…
「お前まで私から離れてくれるな!頼むっ!」
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「げほッ…ぐ…けほっ……、…!」
「おお!!姫様が…メンフィス様!!姫様が目を覚まされましたぞっ!!!」
ハヅキは急に酸素を吸ったせいかむせて咳き込む。
意識は相変わらず薄っすらとしているが男の人の声に目を動かすなど意識が以前よりはっきりしだした。
「ハヅキ!!私だ!!分かるか!?」
「けほ……ぃ…さ、ま…」
「そうだ!そうだ!!私だ!!ああ!ハヅキ!!良かったっ!!良く戻ってきてくれた!!!」
全身が濡れて気持ち悪いな…、とぼんやりする頭の端で思っていると少年の声が聞こえ、その声に顔を向ける。
そこには意識を失う寸前に思い浮かべていた少年が心配そうに見つめていた。
名も知らないその少年をハヅキの口が勝手に言葉を発し、その言葉に少年は涙を浮かべてハヅキを抱きしめる。
「メンフィス様、姫様を寝室へ…」
「そうだったな…すまぬ……安心しろハヅキ…お前を川に突き落とした者は私が殺しておいた…だからもう何も怯えることはないぞ…お前は私が守ってやる…」
傍に控えていた美女に声を掛けられ少年はハヅキを抱き上げ寝室へ向かう。
跪いていた美女もそれに続き、兵と思われる者達も安堵の色を浮かべながら続く。
(ここはどこだろ……お兄様ってだれ…黒髪ということは…ライアン兄さん…?)
もう少年を思い出せずハヅキは再び意識がなくなりながら1番上の義理の兄だと勘違いしながら眠りについた。
「ゆっくり休むがいい…私の可愛い妹よ…」
優しく暖かい声に安心したのかハヅキは浅い眠りから深い眠りへと導かれる。
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