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「先生、どういうことですか?」
「言った通り」

 リュードもいやそうな顔をしていました。

「先生もう一回!」
「だから、七夕の件で失敗したでしょ? その補習としてクリスマス休みはなし。特別授業を行います」
「俺からも……特別授業ってなんですか?」
「行ってのお楽しみ! わかったら明日の夜の十二時に正面玄関のゲートに集合。そしたらわかるよ」

 ハロウィン休みが終わり学校に来て季節はもう冬です。
 明日はクリスマスイブ。みんな家に帰ってプレゼントをもらうと楽しみにしていました。
 リュードも親は帰ってこないそうですがゆっくり休むのを楽しみにしていたようでした。


 ***


 夜、十二時。みんなもう寝静まっている時間です。

「いやだよおおお」
「うるさい。黙れお前は」

 ソラは寒空の下リュードと二人でゲートの前にいました。

「ねぇねぇ、リュード君。」
「何だ」
「リュード君ってサンタさん信じてる?」
「あぁ」

 リュードの返答が予想外だったソラはきょとんとしたあと

「えええええ!!」
「なんだよ」

 と絶叫してしまいました。

「だってだって……! リュード君は信じてないだろうなって思ってたから」
「信じてちゃ悪いのかよ」
「イメージに合わないよ〜」
「イメージってな……ったく」

 リュードが真っ白なため息をつきました。

「それにしても……何なんだ。もう十二時をまわってるぞ」

 そのときでした。遠くのほうから鈴の音が聞こえてきたのです。

 リンリンリンリン……

 その音はだんだん大きくなってきます。

「もしかして……!」

「Merry Christmas!! ホッホッホッフォ〜元気にしとるかね?」

 トナカイの引いたソリに乗った、真っ白なひげ、真っ赤な服の――

 ドカッ

 次の瞬間華麗にリュードのとび蹴りがクリティカルヒットしていました。

「元気にしとるかね? だと……ふざけんじゃねぇよ。こっちはな寒空の下ずっと待ってたんだよ」
「落ち着こう、そこの少年。話せば理解できるはずじゃ」
「何だと、くそジジイ……」
「わあ〜! サンタさんだ、サンタさんだ!!」

 ソラの明るい声にリュードの声はさえぎられました。

「いかにも!わしがサンタクロ……ぐほぉっ。思ったよりも……蹴りがきいたの」
「サンタさん大丈夫?」
「あぁ、大丈夫じゃ」

 サンタさんは座りなおすとソラたちにむかって指を振りました。するといつの間にかソラとリュードの服も真っ赤な服になっていました。リュードは嫌そうな顔をしました。

「何だこの気色悪い色は」
「気色悪いとか言っちゃだめだよ! 事実でも」
「そこの少女、フォローになっていないぞ……!」

 サンタさんはソラとリュードをソリの後ろに乗せると空を飛んで行きました。

「すっごぉい〜!!」

 ソラはとても感動しました。下を見るとたくさんの家がイルミネーションできらきらとしています。
 いろんな家の庭にツリーが置いてありました。

「で、何をやればいいんだ?」

 リュードも落ち着いてきたようです。サンタさんは

「わしの手伝いじゃ」

 といいました。

「プレゼントを配るお手伝い?」

 ソラが質問すると「そうじゃ」とサンタさんが言いました。

「ねぇサンタさん。何をしたらいいの?」
「わしの代わりにプレゼントの袋を持っておくれ、あとルドルフの世話ものぉ」
「雑用じゃねーか」

 リュードが文句を言いました。

「ルドルフ……ってトナカイさんの名前? わぁ、真っ赤なお鼻」
「そうじゃ。頼むぞ〜」

 ソラはプレゼントの袋を持ったりルドルフとお話したりしてサンタさんのお手伝いをしました。
 そして世界中を回ってプレゼントをようやくのことで配り終えました。

「おわった〜」
「いいや、終わっておらんぞ」
「えぇ? 後何もないよ」
「ここからが大切な仕事じゃ」

 サンタさんはそういうと白銀に光り輝く不思議な石を取り出しました。




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