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 赤毛と白髪がまじった女の子と金髪に白髪がまじった女の子が近づいてきてソラを指さして何か言っているようです。

「Hello! My name is Raia! Are you a human? Don’t you? ……Oh Ryudo! Please explain whether what does it do and man's girl is in such a place?」

 英語のようですがソラにはちんぷんかんぷんです。

「ダメダヨ……。コノコシリョウデミタコトアルケド、ニホンジンダヨ? ツタワルワケナイヨ、エイゴハ。デモニホンゴダッタラツタワルデショウ? アナタオナマエハ? ワタシハローア、コノコハオネエチャンノライア。ワタシタチハワカリニクイケドフタゴナノ。アンマリ、ニテナイトオモワナイ?」

 次の子はかたことです! でもなんとかわかりました。

「私はソラです。えっと、ローアちゃん? よろしく!」

 ソラがそういうと金髪の女の子が飛んで喜びました。

「ツウジタ、ツウジタ! ネ! ヤッパリニホンジンナンデショ。ソラチャンハ」
「うん。日本人だよ! だから、英語がわからなくてごめんね」
「What? Only my things are disregarded. I do not understand Japanese at all. Please to translate!」

 ライアが少しおこっているようですがなぜでしょう。ほうっておかれたからでしょうか?

「She said,"I am sorry. English is not through because I am Japanese."」

 そのあとライアがなにかいって、ローアがうなずきながら通訳しました

「ライアガイッタコトヲツーヤクスルト。『ゴメンネ! サッキハワタシハライアッテイウノ! キガルニハナシカケテチョウダイ! ワタシモニホンゴボオボエテハヤクソラトハナシタイナ』ッテ」

 ソラはすごくうれしくなって

「ありがとう、ライアちゃん! これからはともだちだね」

 と言いました。それを慌ててローアが通訳します。

「She said, "Thanks! Raia, We will be friends!"」
「Yes!」

 ライアも楽しそうに話しました。でも通訳したローアはかたことだったのに、そういえばリュードはふつうに話している!

「いいかソラ、魔界はもともといろんな人種が集まって出来ている。その人種はみな人間界出身だから、母国語をひとつは持っているわけだ。俺やローアが珍しいだけで、普通のやつは母国語……ライアのように一ヵ国語しか話せないのが普通だからな」

 (そうなんだ)

 ソラはとっても納得しました。

「ネエソラチャン! モウスグ、キシャガデルンジャナイ?」
「そうなの!?」

ソラはちょっとはや歩きになりました。


***


「とまぁとりあえず、言葉が通じないと何も出来ないな。」

 リュードが手を組んで言いました。

「I have a good idea!」

 ライアが何かひらめいたように言いました。ソラの頭の中にはハテナでいっぱいです。

「ああ、あの呪文か」

 リュードはそういうとポケットから綺麗なコビンを取り出しました。そのコビンはよく香水などがはいっているような綺麗なコビンです。リュードはそのコビンを手にもって言いました。

「さぁ月の雫よ そのものの言葉をみちびき かけはしとなれ! アンディブル・セレナルレ!」

 最後の「アンディブル・セレナルレ!」というのを4回くらい繰り返したときです。ライアがソラの顔を覗き込んで

「分かる?」

 といいました。

「うん分かる!」
「やったあ、通じるんだね!」

 ライアとローアがそろっていいました。さすが双子、息がぴったりです。ライアのこえは元気がよくローアのこえは優しい感じがします。

「リュードくん、そのコビン何が入っているの?」
「呼び捨てでいい。これは月の雫、人間と魔法族のかけはし。」

 そういえばシリルさんもこれをつかっていたなぁと思いました。

「次は服だろ? 制服買いに行くぞ」
「でも私、そんなお金ないよ?」
「とりあえず来い」

 リュードに言われて汽車の中を歩きました。
汽車の中は見慣れないものがたくさんありました。ふくろう、かえるのきも、フェニックスのおばね、ユニコーンの牙。ほかにも見たことのないような大きななべ!

 (汽車の中にこんな街のようなものがあるなんて……)

 とびっくりしました。

「ここだ」

 そこのおみせには「アーバンの洋装店」と看板に書いてありました(どの国の言葉かはわかりませんでしたが、読めたのです)。
 カランカランとドアを開けてはいると

「いらっしゃい」

 と中からおばさんが出てきました。
 その人が店の主人のアーバンでした。アーバンはいかにも優しそうな人で方ほうにめがねをしていました。服はエプロンのようなものの下にエメラルドグリーンの洋服を着ていました。
 洋装店の主人というだけあってとても質のいい生地で作られていました。

「やぁ久しぶりだね。お兄さんは元気かい?」
「あぁ元気だ。悪いがこいつに制服をくれてやってくれ」
「アニーリスのとこでいいね?」
「頼む」

 そう話し終わるとアーバンがまきじゃくのようなもので腕の長さ、身長などを計りました。

「これだね」

 そういうとなにやら店のおくから1つ黒い洋服を持ってきました。

「わぁ」

 ソラはその服の綺麗さに驚きました。
 質のとっても決めこまやかな闇のような黒い生地。それに夏の入道雲のような真っ白なえり、そして人間界でもよく見るような赤いリボンできゅっと締めてえりのところには「A」の字が赤い糸で刺繍してあります。スカートも同じ素材で出来ているようでした。
 そしてもう1つのものは綺麗な深緑色でベルベットのような生地で出来ています。

「ちょっと動かないでね」

 アーバンはそういうと指をひょいっと振りました。すると少しの間光に包まれたかと思うとあっという間にさっきの制服に着替えています。

「はい」

 アーバンにわたされたのはソラがさっきまできていた服です。

「42ルスだよ」

 アーバンがそういうとリュードが金貨を渡しました。

「リュードくんいいの?」
「いらない、あとで兄貴から取るから」
「リュードくんありがとう」

 ソラがにっこりしてそういうと

「礼はいらねぇよ」

 とリュードにいうとそのままそっぽを向きました。
 さっき「呼び捨てでいい」とわれましたが、やはり今日始めて逢った人には言えませんでした。
 そうして、やっと席についてゆっくりとすることができました。
 ライアとローアはほかの席を取っているらしく、ソラはリュードと座りました。
でもそのあいだリュードとはあまりしゃべりませんでした。
 

 ***


 ダダダダダダ ガタン!
 すごい音がしたかと思うとライアが部屋のドアを開けて
 
「もうすぐ学校につくってさ! 運転手さんが言ってた! だから制服(ローブ)にきがえたら?」
 
 そういうライアはもう制服を着ていました。
 
「ほんとだ!」
 
 そういわれたのを聞いて窓の外を見ると一定の似たような景色だったのが湖が見えてきてその先のほうには大きなお城のような建物が見えました。ライアが窓の外を指さして
 
「あのお城みたいな建物がアニーリス魔法学校だよ」
 
 と教えてくれました。
 
「あぁっ!」
 
 それよりもソラが驚いたのは自分の瞳の色でした。もともと瞳の色は黒かったのに青に変わっているのです。
 
「何で目が青くなってるんだろう?」
 
 と思わず声を出すとリュードが
 
「魔界(こっち)に来たからじゃないか?」
 
 と言いました。
 
(変わるものなのかな?)

 とソラが考えていると
 
「って着がえようよ! あっ、そういえばさっきレリュットがリュードのこと探してたよ。208号室で待ってるって! ソラちゃん、あたしたちの部屋で着がえれば?」
「うん、そうするよ。じゃあね、リュードくん」
「とっとと行け」
「うん」
 
 冷たいな、という顔でライアがリュードを見ていました。
 
「ソラちゃん似合ってるよ!」
「そうかな?」
 
 ローアがほめてくれました。
 そして、ガタン! と汽車が大きくゆれ、車内放送で
 
『えー、ただいま「アニーリス魔法学校」に到着いたしました。荷物は置いていかれてかまいません。あとで届けますので、それでは扉が開きましたら外に出てください』

 といわれたあと
 
「もうちょっと静かに停車できないの?」
 
 ライアが不満そうに言いました。

 扉ではみんながぎゅうぎゅうと我先にでようとしてなかなか出られません。
 前のほうでは多分中学三年生くらいじゃないかと思われる人が呼びかけています。上級生でしょうか? 前をかき分けるように手を伸ばしましたが、なかなか進めません。
 すると前のほうで誰かに手を引っ張られて何とかのことで外に出られました。さっき買ったばかりの服もぐちゃぐちゃです。前を見るとリュードがたっていて
 
 「とろいなあ、お前」
 
 と一言。そういうとパッとソラの手をはなしました。
 ごめんね、とソラは謝り、お礼を言いました。
 
「あれ、ソラさんですか?」
 
 と声のしたほうを見るとシリルさんがいました。
 
(来たな、このくそ兄貴!) 

 と言わんばかりにリュードがにらみつけています。
 
「そんなににらまなくてもいいじゃないですか、仕方ないじゃないですか。許してくださいよ〜」
 
 と困ったように言ったのに
 
「何がしかたないだ! めんどう事押し付けやがって」
 
 言葉は怒っているのに態度はとても冷静そうに見えました。
 
「ルー? どうしたの?」
 
 と角のほうから女の人が出てきました。その女の人はすごく綺麗で長い黒髪を後ろのほうで1つに結んでいました。簡単に言うとポニーテールです。
 服は科学者のような白衣をうえにはおっていました。でもその白衣もぼろぼろで黒ずんでいました。
 
「あ! アオイさん、聞いてくださいよ〜」
 
 と少し泣き目のシリルさんがその人に近寄ろうとすると
 
「近寄るな」
 
 と手を突き出されました。
 
「うっわ、ひどいですよ。さすがに僕でも傷つきますからね? それ婚約者に言う言葉ですか〜?」
「うるさい」
 
 と一喝。
 あっそうだ、と何か気がついたように手をたたいてシリルさんが言い始めます。
 
「この人はアオイ=アリウス・ディウォルナさん学校の妖精魔法の先生です」
「よろしく、アオイ=アリウス・ディウォルナです」
 
 ディウォルナ先生がにっこり笑いかけました。とシリルさんが続けます。
 
「僕の婚約者なんですよ〜! この学校の同級生だったんです」
「そういう説明は別にいらないから」
 
 とまたにらまれています。
 
「あ、私ソラって言います」
「名字は?」
「大野です」
「あ〜! そういえばまだ言っていませんでしたね。学校では『フローレイ』と言う名字を使ってくださいね。何かと不便でしょうし、この名字は君のご先祖様の名字ですよ」
 
 と説明されました。リュードがはっとしたように
 
「もしかしてリウルス・フローレイの子孫か? こいつは」
「えぇ、そうですよ」
 
 リュードは腕を組んでとても疑わしそうにソラを見ました。

 
 ***


「そういえばもうすぐ集合時間だね、おいでこっちだよ」
 
 といって手招きしてからすぅ、と大きく息を吸って
 
「一年生諸君! 集合!」
 
 といいました。
 一年生が全員集まったところで整列しそしてアリウス・ディウォルナ先生のあとをついていったのです。
  
 
 ***


 ディウォルナ先生のあとについていきました。
 生徒は皆学生寮で寮生活を送ることになります。その寮に着くと、先生が説明し始めました。
 
 
「寮には男子寮と女子寮がそれぞれ、間違って入ったりすると罰則があるので注意してね」

 そして大きな女子寮と男子寮の共有スペースである「交流室」に着くと先生が生徒を整列させました。
 
「ここは交流室の中でも一番広い『Aルーム』です。交流室ってたくさんあるし、あとでいろいろ探検してみたらいいんじゃないかな? 共有スペースだから、みんなでキレイに使おうね。ほかの学年の人間もごっちゃまぜで使うことだし」
 
 そういうと指をパチン! とならしました。もくもくと現れた煙の中からしおりが出てきました。それを生徒たちに配り、前から後ろへと回している間、また説明が続きます。
 
「部屋は全員個室なんだけど、ネームプレートがあるからわかりやすいと思う。詳しいことはそのしおりに書いてあるのでちゃんと読んでおくようにね」

 そう言い終わったあと、また深呼吸して

「じゃあ、いまからペアを発表します」

 と先生は言いました。
 
(だれだろう?)
 
 とソラはすごく緊張していました。




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