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「スイク・ユレ、キース・カル。呼ばれた人は前に出て、紙を取って並びなおしてください。出来たら自己紹介くらいしましょうね」

 前に出た男の子は茶色の髪がくしゃくしゃとしていて黒縁メガネに茶色の瞳。女の子の方はまっすぐな金髪で、毛先のほうはいわゆるぱっつんです。長い髪が歩くたびにゆれています。

(すごく美人だなぁ)

 とソラは思いました。

「次、ライア・クゥロ、レリュット・アリザ」

 (あ! ライアちゃんと……レリュットくんってリュードくんの友達だっけ?)


「ローア・クゥロ、カリス・フィネガン」

 ローアと同じように前に歩みでた男の子は深緑の髪に瞳、どこか気だるそうにアクビをしています。


「リュード・シリル、ソラ・フローレイ」

(え……)

 と思わずソラは硬直しました。

(いま、リュード・シリルっていった?)

 「ほら、ぼさっとしてないでさっさと出てね」
 「はい」

 前に出て紙をとると

「なるほど、トップの俺と魔法も使えないお前を組ませることでバランスをよくしてるってことか」

 ソラも思わず納得しました。
 そのあともたくさんの人が呼ばれましたが紙に書いてある校則を読んでいるとまったく聞こえません。全部で大体五十くらいはあるであろう校則を読んでいました。

「はーい、前向いて。今日はもう遅いので明日上級生による歓迎パーティーがあります。そのあとはもちろん授業です。教科書はそれぞれの部屋にあります。とりあえず、今日はもう寝てください」

 そう言われて部屋に帰りました。部屋は一人部屋で広々としています。


 トントン

 ノックの音が聞こえてディウォルナ先生が入ってきます。

「ちょっとごめんね。服の件なんだけど、ルーはあてにならないから私が買っておいたの。魔界のものでもとくに、日本に近いものをね」

 そういうとディウォルナ先生は紙袋をソラに手渡しました。

「何か困ったことがあったら言ってね。パートナーになったリュードくんに聞いてもいいと思うよ。リュードくんは普通の人の二倍の知識を持ってるから」
「リュードくんってすごいんですね。心配してくれてありがとうございます」

ソラが丁寧にお辞儀をするとディウォルナ先生が明るく笑って

「私も人間界出身だから、不安が多いソラちゃんの気持ちは察するよ。大変だけど明日から頑張ろうね」

 そう言って先生は出て行きました。
 

 ***


「うっ……!」

 少年は息切れしながら目を覚ましました。体はどこも悪くありませんが、苦しいのです。

(ああ、そうだ。『あの夢』をまた見たのか、おれは)

 少年は気がつきました。
 『夢』はとても恐ろしいものでした。本当に信頼できる人にしか相談をしたことがありません。とても幼い頃から見る夢でそれがいまだに『怖い』のです。

(おれもいいかげん女々しいな。『あの夢』……最近はなかったのに)

 少年は悟りました。

(そうだ、あいつのせいか。あんなやつがここにいるから。こんなものやめてやりたいが、おれは『あの方』の意思を継がなくちゃいけない。おれは『あの時』何も出来なかった。次こそは『あの方』の願いを叶えてみせる。それがおれの生きる、唯一の理由なのだから)

 少年は汗を書いた額を、手の甲でぬぐい、また、眠りについたのでした。




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Atorium