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 入学から、もう三日目です。
二日目は学校の中を案内してもらったり、先生の紹介でした。おぼえるのが大変で学校の中は広すぎて迷路のよう。
 ソラはよく理解できず、ハテナマークが頭の中にも外にもいっぱいでした。

 今日は快晴の青空! とてもいい天気です。窓を開けると、草や花の匂いが、窓にこれでもかと入ってきます。そんな天気は大好きです。

「よし! 今日から授業だったよね。がんばろう! えいえい、おー!」

 ソラは一人でこぶしを高くあげました。
 このあと、身に降りかかる災難も知らずに。

 急いで制服に着替え、階段を下りていきホールへ急ぎました。ホールにはもうライアとローアは着いていて手をふっています。

「ほら、はじまるよー!」

 ライアが声を張り上げた方向へあまり速くはない足でめいっぱい駆けていきます。 でもふとあることに気がついたのでした。
 朝はバイキングだと聞いていたのに、器だけでなかみがないのです。
 全員そろったところでアオイ=アリウス・ディウォルナ先生が

「全校生徒の皆さん! 全員がそろったところで朝食をいただきましょう」

 そう言うと指をパチンと鳴らしました。
 すると、さっきまでかでからだったはずの器に野菜、お肉、パンなどがのってあるのです!

「すごい! アレってどうするのかな? 魔法で作り出すのかな?」

 それを聞いていた向かいのリュードが

「バカか。命を作り出す魔法はそうそう大魔法使いでも出来やしないんだ。アレはつくっておいたものを瞬間移動させてるんだよ」

 そう言うとため息をついてさっさと食事をとりに出て行きました。

「おいしそう!」

朝食だというのにフルーツもあれば、ケーキもあるのです! 
 自分でもよだれがたれているのではないかと思いました。こんなにも目が奪われるようなものを、いつも食べられるのかと思うと、これからの生活がいっそう楽しみになりました。

 朝食を済ませ、一時間目の授業に急ぎます。
 初めて受ける授業は(面識のある)ディウォルナ先生の「妖精魔法」の授業です。
 この授業では基本的な魔法について勉強します。
 妖精に協力してもらい行う魔法が多いので妖精の生態や、種類、力についても学ぶのもこの授業です。
 日当たりのいい教室で、中もすみずみまで掃除され、中心には長いテーブルがいくつも置いてあります。
 そのうちの1つのところにパートナーと隣同士で座るのです。
 全員が席についたところでディウォルナ先生が前に出てきて言いました。

「今日は、どこの教室でも現在の学力を生徒、そして私達教師が把握するためテストを行います。もちろん、カンニングはしないでね」

(学力って言われても……私はこれっぽっちもわからないんじゃ……)

 とソラは心で思いつつ話を聞きます。周りの子もはあ、とどんよりとしたため息をついています。

「まぁ、気軽にね? 0点でも追試があるだけだし」

(私なんか0点決定みたいなものだよね?)

「それでは始め!」

 ディウォルナ先生は指をパチンとならすとテーブルの上に、テスト用紙と、羽根ペンが出てきました。

「はじめ!」

 その合図でパラッと紙をめくる音がし、みないっせいにかき始めました。
 ソラも慌てて紙をめくり返してみたものの羽根ペンをどうやって使ったらいいのか悩むばかりです。

(習字の筆みたいに使うのかな……?)

 と思いインクをつけてみたもののどの問題も分かりません。

 【Q1】三の法則はどのようなときに働くでしょうか。
 【A1】[    ]

 と言うところがありましたが、まず、三の法則が何かわかりませんでした。
 ほかには、

 【Q5】願いを叶えるために必要な道具はなにでしょう。次の中から二つ選びなさい。

 1、 不死鳥の羽根
 2、ユニコーンのたてがみ
 3、ドラゴンの牙
 4、ヤドリギ

 【A5】[  ]

 という問題もありました。まったく分かりませんでしたが、なんとなく

 【A5】[1,4 ]

 とかいてうめました。勘でうめたと言うのかもしれませんが、なぜか手がすべるように書いたのです。
 ほかの授業も同じようにテストで、ほとんどわかりませんでした。
 妖精魔法、魔法史、占い術、魔法薬学、薬草学……とあったのですが、ソラが解けたのは、人間学と人間界用語学でし
た。
 人間学のテストでは、

 【Q9】人間たちは、魔法使いについてあまり関心を持たないという。なぜか
 【A9】[魔法使いの存在が認められていない・科学的に解決しようとするからです。]

 とかきました。

 人間界用語学は

 【Q4】人間界・日本の言葉で「Hello(ハロー)」を訳しなさい。
 【A4】[こんにちは]

 というようにすらすらとかけました。難しい言葉などはほとんどありませんでした。なぜ多数の言語が入り混じる魔界の文字が読めるか――それはおそらく、リュードがかけてくれた魔法のおかげでしょう。
 そして、結果は。
 廊下に張り出された結果で自分の名前を探しました。

「ソラ・フローレイ……ソラ・フローレイ、あった」

 ソラの名前は最後から数えた方がいいようでした。

 結果は、妖精魔法が五問目だけ合っていました。あとは外れていました。ほかの魔法史、占い術、魔法薬学、薬草学……は一問もあっていませんでした。追試が決定です。人間学と人間界用語学は追試にはなりませんでした。

「すごーい! さすがリュードくん!」

 と声がしてリュードの名前を結果から探しました。

「うわあ、一番だ!」

 ソラは動けなくなってしまいました。  リュードはトップで、しかも全教科満点だったのです。
 リュードは当然だ、といいたげな顔で見ていました。
 
 ここから、ソラの地獄が始まったのでした。




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