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「あーいたいた。ソラちゃん」

 横からディウォル先生が顔をのぞかせます。

「はい!」
「あのね、ちょっと言いにくいんだけど……」

 先生は言いにくそうに腕を組んでいます。

「あのね。ソラちゃん。聞いて」
「はい」
「最後から二十番以内の人はね補習があるの」
「え? あ、はい」
「それでね、パートナーとやってもらうことになるの」
「えぇ!」

 つまり……とソラは考えてみました。

( 私のパートナーはリュードくんだよね。で、つまりリュード君と一緒にやるってこと?)

 ソラの成績が悪かったせいで、リュードまで補修になってしまう。リュードに対して申し訳なくてソラは悲しくなりました。

「想像ついた?」

 ディウォルナ先生が腰をかがめてソラよりも低い目線で言いました。

「ソラちゃんの場合。リュード君……優秀でしょう? だから普通は先生に教えてもらうところをリュードくんに教えてもらおうかな、と思ってるの」
「はい」

 また「面倒な仕事を押し付けられた」と言ってリュードは嫌がりそうだ、とソラは思いました。

「今日の放課後、教室で補習やるから来てね」
「ええと……」

 リュードに対して申し訳ない、という悲痛なソラの叫びは届かず。
 ディウォルナ先生は行ってしまいました。


 ***


「で、俺に何の用なんですか?」

 リュードは少し困った様子で腕を組み、ディウォルナ先生に訪ねました。

「リュードくん分かってると思うけど、人手が足りていなくて」
「はあ、それで俺にも手伝えと?」
「そういうこと」

 リュードは少しうつむいて言いました。

「俺は一人が好きなんですが」
「そこを何とか」

 ディウォルナ先生に頼まれてリュードは困りました。

「分かりました。でも、俺は教えるのは得意じゃないですから、知りませんよ」
「ごめん、ありがとう」
「いいえ、礼には及びませんから。それに、アオイさんの頼みを断ったら俺が兄貴に殺されます」
「ほんとごめん……」

 リュードはまた少しうつむきました。

( あいつと、関わる運命なのか?)

 リュードはまた考え始めたのでした。


 そして放課後

「だからなんでそうなるんだ!」

 リュードの声が教室中に響きます。周りの人はもう帰っていて、ソラとリュード以外いませんでした。

「全然わからないんだもん……」
「弱音を吐くな、つべこべ言わずやれ」
「でも……」

 ソラには本当に分からないから無理なのです。
 まったく知らない言葉が出てきて困っているのですが、リュードその気持ちをなかなかわかってくれないません。
 はじめのうちは丁寧に教えてくれていましたが、あまりにもソラがわからないものですから、しまいには、「気合でやれ、気合で!」とまで言われソラは困り果ててしまいました。

「はあ。じゃあ、明日まで宿題な」
「えぇ!? そんなー!」
「じゃあな」

 リュードはあきれた顔でバックを持ち、ソラに背を向けました。

「あ! まって、ちょっとまって!」

 ソラは机の上にあった教科書を乱暴にバックの中に詰め込むと重たいのを我慢して、リュードの後を追いました。

「なんだ?」
「ぜぇぜえ……だって、道……わかんないもん」
「仕方ない、おくっていってやるよ」

 そのあとリュードにおくってもらい、寮に入りました。
 自分の部屋を探し、ドアをあけて、一直線にベットに倒れこんでしまいました。

「つかれた……!」

 ご飯も食べていたので、ソラはそのまま寝てしまいました。

 
 ソラは部屋に入るまで、誰かが自分を見ていたように感じました。




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