「I have a bad feeling about this.」
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18

絶対やばい。このメンバーはやばい。

私はB級ランク戦3日目、昼の部の解説をしに来ていた。
そして今日の解説の相手がとんでもなかった。


「尚美〜今日はよろしく。ぼんち揚食う?」
「お、迅と尚美か。楽しみだな」
「よろしく……お願いします……」


歌歩ちゃん、助けて……




『B級ランク戦、第3戦昼の部が間もなく始まります。実況担当は風間隊の三上。解説は……』
歌歩ちゃんが淡々と始めていく。


『ナンバー1攻撃手アタッカー太刀川さんと、A級女性狙撃手スナイパーの双璧宮木先輩、そして「ぼんち揚げ食う?」でおなじみの迅さんです』
『『『どうぞよろしく』』』

私の両隣の二人は何故かぼんち揚をぼりぼり食べており、すでにカオスだった。

私も迅さんに勧められたが、謹んでお断りした。

最初に桜子ちゃんに解説の依頼を聞いた時は迅さんと二人で解説の予定だったのだ。
それでも心配だったが、まぁなんとかなるかと思って来てみたら、太刀川さんもいたのだ。

桜子ちゃんが急遽呼んだらしい。何が裏事情がありそうだ。



『さて、那須隊が選んだステージは「河川敷A」。これはどういう狙いがあると思いますか?はい、じゃあ太刀川さん』

歌歩ちゃんが太刀川さんを指名する。

那須隊は隊長で射手シューターの玲ちゃんに攻撃手のくまちゃん、狙撃手の茜ちゃん、オペの小夜子ちゃんの4人の部隊チーム


『……マジメに?』
『マジメに』
マジメ以外にどう答えるのだ、この人は。


『まあふつうに攻撃手封じですよね。川を挟んで橋を落とせば射撃メインの那須隊はやられにくくなる。
とはいえ鈴鳴も玉狛もそれはわかっているはずなんで、地形だけで勝負が決まるってことはないでしょう』

太刀川さんは戦闘の事となるとしっかりしている。それ以外は微妙だが。


『分断されても川は腰ぐらいの深さだから援護があれば無理やり渡れないこともない』
『さあどうかな〜』
迅さんがふざけたように横から口を出す。


『何おまえなんか見えてんの?』
『どうかな〜』
太刀川さんの問いかけに迅さんははぐらかす。


『玉狛と鈴鳴のエースは二人とも攻撃手。これを封じられれば那須隊に有利ですね。
ですが、前回玉狛第二の空閑隊員がグラスホッパーを使っていたので、彼を川で分断することは難しそうです。
那須隊もそれを知ってると思うので、そうなると別の意図があるか……何か気になりますね』

私は二人を横目に真面目にコメントする。

『え、おまえもなんかあんの?2人してズルくない?』
太刀川さんは私に突っ込む。ずるいってなんだ。


『さあスタートまであと僅か、全部隊転送!』
話を断ち切って歌歩ちゃんが告げる。



モニターに映し出されるMAPに驚いた。
『各隊員転送完了!MAP「河川敷A」天候「暴風雨」!』
ここまでひどい天候のランク戦を初めて見た。


『おっとマジか。こりゃ川を渡るのは難しくなったぞ。落ちたらヤバい』
太刀川さんは橋を落とされても川を渡れば行けると言っていたが、この天候ではそれも無理そうだ。


『川の流れが早そうなので、川に落ちたらそのままエリア外でアウトになりそうですね』

荒船君なら即アウトだな。
なんせ荒船君は泳げない。今後荒船隊と戦う部隊はこういうことを考えてもいいかもしれない。


『MAP選択には天気や昼・夜の設定も含まれますが、ここまでハードな設定は見たことないですねー。那須隊の本気度が感じられます」
迅さんも初めて見るように言う。きっと、見えていたんだろうけど。


『さあすべての隊が川によって分断された!各隊まずは合流を目指す様子!悪天候を仕掛けた側の強みで那須隊の動き出しがやや早いか!』

『すべての隊が東側で合流するようですね。西側の隊員がみんな橋に向かって動いています』

村上・空閑両エースが切り離された場合、両部隊の勝利は難しくなると感じた。
那須隊の作戦は二人がいる逆側で合流することなのだろう。

『川の西岸に転送されたのは攻撃手三人と那須隊の日浦隊員!お互い朧げにお互いを視認したか。
四人ともまっすぐに橋を目指す!橋まで1番近いのは熊谷隊員。次いで日浦隊員、村上隊員が同じくらい。
空閑隊員はやや遠め。全員射線お構いなしの最短ルートを選択しています』

歌歩ちゃんは全員の位置取りを的確に説明する。

『なんせ視界が超わるい。長距離狙撃はまずないと踏んだんでしょう』

『この暴風雨では体を支えるのも大変だと思います。しかも3部隊とも狙撃手は小柄なので余計にブレて長距離の狙撃は難しいと思います』

迅さんの解説に狙撃手の立場から補足する。

私の狙撃だったら間違いなく当たらない。


『なるほど。一方で東岸の隊員は橋には向かわない。玉狛第二、鈴鳴第一ははっきりと合流を優先。西岸からチームメイトが渡ってくるのを待つ構え。那須隊長も橋を取りに行くというよりはまっすぐ川岸を押さえに行くという動き』

『千佳ちゃ……じゃない、雨取隊員の大砲を警戒してますね。橋を取っても渡るとこを砲撃されると危ない。射撃で玉狛第二を牽制する役です』

迅さんの言うとおり千佳ちゃんの砲撃の威力は広く知られてしまっている。

『空閑隊員のグラスホッパーを警戒して、別役隊員が川の方に動きましたね。飛んできたら狙撃するんだと思います。空閑隊員も橋を使わざるを得ません』
来馬先輩の指示だろう。自分たちだけエースが合流できなければ厳しい。


『こりゃ那須隊の作戦が当たるぞ。このまま橋を渡ってついでに落とす。全員が爆破用の炸裂弾メテオラを持ってるはずだ』
太刀川さんが言う。転送位置が有利に働いて、先に那須隊の二人が橋につきそうだ。


『熊谷隊員が橋につきましたね。日浦隊員を待って、橋を渡る様です。いや……これはダメですね。きます』
私は自分が言ったことをすぐに否定した。


『くる?』
隣の太刀川さんが私の言ったことを聞き返したタイミングで、橋が狙撃によって落とされた。
千佳ちゃんのアイビスだ。

相変わらずの威力で橋が完全に落ちた。もう渡れない。



『No.4攻撃手村上隊員を熊谷隊員が迎え撃つ!唯一の橋を失って部隊の合流は難しくなった!那須隊にとってはおそらく避けたかった展開!』
玉狛はエースが不在でも東岸は二人でなんとかできると思っての判断なのか?思い切ったことをしたもんだ。

『合流したかったのは那須隊だけじゃないはずだからどの隊も作戦の変更を余儀なくされるでしょう。
「作戦」が試合を決めた前回の玉狛第二・諏訪、荒船隊は戦とは逆に予定外な展開でも崩れずに立て直す部隊の地力が試されます』
迅さんはこの先の未来、展開が見えているのか、淡々と話す。


『村上隊員と熊谷隊員の斬り合いに、空閑隊員が割って入る!』
『日浦隊員も狙撃位置についた様ですね。戦い方次第で村上・空閑両隊員への良い牽制になるはずです』
茜ちゃんはバックワームを使っているので場所がわからない。場所がわからないとガードが遅れて狙撃を喰らう恐れが高くなる。


モニターは次に東岸の様子を映す。
玲ちゃんの変化弾に他の2部隊が苦戦している様だ。
玲ちゃんが三雲君の相手をしている隙を狙って、太一君が玲ちゃんを狙って狙撃をしたが外してしまった。

やはり酷い風と雨で狙いが定まりにくいのだろう。しかし不用意すぎる。


『別役隊員、少し思い切りましたね、雨の中とは言えど隠れてる場所の予想はできるので、返り討ちに合うかもしれません』
これは後で頼さんに怒られるパターンではないだろうか。

やはり、すぐに狙撃位置を把握した玲ちゃんからお返しの変化弾が太一君に飛んでくる。
相変わらず綺麗な弾道を引いていて感心した。いつ見てもすごい才能だ。


『東岸では那須隊長の変化弾が縦横無尽!軽はずみな攻撃には手痛いお仕置きが待っている』
『玉狛がやられりゃ次は鈴鳴だから、あそこで太一が撃つのはナシじゃないけどなー相手が悪い』
ここで太刀川さんが変化弾の説明を始めた。
『変化弾は弾を撃つ前にイメージで弾道を設定できるけど、ふつうは使いやすい弾道を何パターンか予め決めててそれを使う。
でも那須は違うんだな。毎回しっかり弾道を引いてる。リアルタイムであれだけの弾道を引ける変化弾使いはウチのヤツと那須だけだ」

ウチのヤツ……出水君の事だ。
流石部隊内に優秀な射手がいるだけあって、説明もわかりやすい。
少し寂しさを感じつつ、気づいていないふりで解説を続ける。
私も、あれくらい引ければ良かったんだろうな。
迅さんがチラリと私を見たような気がした。


『両岸ともジリジリと間合いを測る。相手の仕掛けを待つ膠着状態か』
『どっちも三つ巴で睨み合ってますからねー。わりと数と力のバランスが取れてる。逆に言えば一人落ちれば一気に動きますよ』
『しかしこりゃなんだかんだ那須隊が有利だな。
玉狛と鈴鳴のエースは西っ側でカチ合ってるし、長距離狙撃が機能しにくいこの天気なら東っ側は射手・銃手の実力勝負になる。玉狛と鈴鳴が共闘でもしない限りは那須に勝てないだろ』

太刀川さんの予想に納得する。

東側は玲ちゃんが押していて、このまま行けば玲ちゃんが全員倒すのも時間の問題だろう。

『さあどうかな……?』
迅さんが面白そうに言う。やはり先ほどから何か見えているのだろう。


『斬り結ぶ西岸の攻撃手3人!那須隊熊谷隊員がやや劣勢か!』
『熊谷隊員は元々那須隊長のガードを担うことが多いので、捌きや返し技の名手です。受けに回るのが多いのは仕方ありませんね』
くまちゃんについて解説する。


『宮木先輩のいる真野隊には熊谷隊員の師匠である真野隊長がいらっしゃいますね』
『はい、なので熊谷隊員もよく知ってるんですが、こうやって味方のフォローをする必要がなく自分一人で戦う熊谷隊員はなかなか見ません。珍しいです』

『エース級2人が相手だ。三つ巴とは言えさすがにきついな。ぶっちゃけ逃げ切って緊急脱出ベイルアウトを狙う手もアリなくらいだ』
太刀川さんが冷静に判断する。


『そうすれば、相手に得点を与えませんからね』
『でもまだ得点は狙えます。那須隊はもう1人いますからね。西岸の戦いの鍵を握っているのは那須隊の狙撃手日浦隊員です』
迅さんは緊急脱出せずとも問題ないという判断だ。

『日浦隊員まだ撃たない!』
『相手が待ち構えてちゃ撃てないだろ。村上と空閑からしてみれば早く撃って来てほしいくらいだ。こっち岸を最速で片付けたいだろうからな』
太刀川さんの言うとおり、村上君と空閑君がなかなか決定打を打てないのは茜ちゃんの存在が大きいのだろう。


『狙撃手は居所が割れれば不利になる。好機を待って初弾を確実に当てたいところでしょう』
茜ちゃんおそらくくまちゃんとタイミングを計っているのだろう。迅さんのいうとおり居場所を知られては不利だ。


『しかしこのままでは熊谷隊員が落とされるのは時間の問題です!』
『熊谷隊員も待っているんだと思います。
空閑隊員はともかく、村上隊員は必ず動くと思います』

同い年の村上君のことはよく知っている。必ず来馬先輩のところに向かうはずだ。その焦りがどこかで出てくるはず。

村上君とくまちゃんが空閑君を狙う。2人からの攻撃を避けきれない空閑君は右腕に攻撃を喰らう

『狙われたのは空閑隊員!』
『右腕が死んだな』
太刀川さんがそう判断する。

攻撃によって空閑君が宙に浮く。


ここはダメだ。何故直感的にかそう思った。

そのタイミングで茜ちゃんが空閑君に狙撃をした。
わかっていた様にグラスホッパーを使って空閑君が避ける。
茜ちゃんの場所がわかってしまった。


『仕留めきれなかった!空閑隊員は日浦隊員へ向かう』
『日浦隊員、釣られましたね』
茜ちゃんは迫ってくる空閑君に向けて銃弾を放つ。

『緊急脱出しない手を選んだか……』
迅さんが呟いた。


『たしかに緊急脱出を選んでもいい場面です。自発的に緊急脱出すれば敵に点を与えずに撤退が可能。……ただしランク戦のルールでは「周囲半径60m以内に敵の隊員がいない場合に限る」という緊急脱出の条件があります。
空閑隊員が60m圏内に接近!日浦隊員もう緊急脱出が使えない!迎え撃つつもりか?!』


茜ちゃんは空閑君ではなく、近くの建物を狙撃した。そこから爆発が起こる。威力から見て炸裂弾だろう。


『炸裂弾を仕掛けていた!?』
『橋壊す用のやつだな』

空閑君近くの建物が次々と壊されていく。

『射線を通すための炸裂弾ですね。これで空閑隊員を隠すものは無くなったはずです。』

いつにない茜ちゃんの戦い方に胸が締め付けられる思いだ。何があったのか。今日の那須隊はどこか違う。

茜ちゃんはすぐには撃たない。空閑君をギリギリまで引きつけて撃つつもりなのか。

空閑君の姿が見えて、茜ちゃんはそちらに構えた。

しかし、自分が撃とうとしていたものが、空閑君の腕だけである事に気づいてもすでに遅い。


気づいた時には空閑君に落とされていた。


『1人目の緊急脱出は那須隊日浦隊員。玉狛第二空閑隊員の得点です!狙撃手が落とされたことで状況は一変。西岸の均衡が崩れた!攻撃手勝負は、援護を失った熊谷隊員が大幅に不利か!』

くまちゃんと村上君は対峙して様子を伺っている。

『熊谷隊員としては空閑隊員が戻るのを待ってもう一度三つ巴にしたいところでしょうか』
歌歩ちゃんが太刀川さんに尋ねる。


『どうかなー空閑の動きが読めないからな。腕一本無くした空閑じゃ村上と一対一はキツいだろうから、くまと村上が戦っている隙を狙うんだろうな……と思いがちだけど、村上より倒しやすいくまを狙ってそのまま逃げ切るパターンもある』
『誰を倒しても一点ですからね。倒しやすい相手を狙うのは基本です』


迅さんも太刀川さんの意見に合わせて話す。


『2点取れば仕事として充分と言うことですか?』
『そうだな、というか今の空閑の状況なら……むしろ村上とくまを放っておいて、自分だけ東っ側に渡る可能すらある。
日浦が落ちて東っ側の連中がにらみ合ってる今なら、壊れた橋を足場にすればグラスホッパーで割と安全に渡れる』

『西岸ではこれ以上戦う必要はないと……?』
『部隊を優先するならそういうのもアリって話だ』
太刀川さんの言う通り、東側の三雲君と千佳ちゃんの二人は戦力的には不安だ。いつ玲ちゃんに落とされてもおかしくない。


『村上・熊谷両隊員もそれを察知してか橋の方角に戻りつつ競り合います』
『あ、やばいな』
村上君がくまちゃんの左手を切り落とした事に太刀川さんが反応する。

『くまの基本スタイルは弧月両手持ち+シールド。片手持ちになったら村上の剣速に追いつけない』
『熊谷隊員、対策はきちんとしてきた様ですよ』

那須隊はこの間も鈴鳴第一に負けている。村上君の対策をしてないわけがない。
くまちゃんが村上君に炸裂弾を放った。


『炸裂弾!日浦隊員に続いて熊谷隊員も炸裂弾を使用!』
『おお〜!』
太刀川さんが感心した様に言う。

『この展開はどうでしょう?迅さん』
歌歩ちゃんが話を振る。


『熊谷隊員いいですね。変化をつけるのは大事です。
村上隊員は学習能力が高いので……いつも通りの戦い方だと勝てませんからね。
それに何より……不利になっても崩れない気迫がいい』

迅さんも感じ取った様だ。那須隊のいつもと違う戦い方を。


『たしかに……先程の日浦隊員もそうでしたが、今日の那須隊の戦いには、いつもよりさらに気持ちがこもっているように感じます!太刀川さんはどう見ますか?』
『う〜ん、三上には悪いけど気持ちの強さは関係ないでしょ』

太刀川さんはぼんち揚を食べながら言った。冷たく感じる言葉だ。

『勝負を決めるのは、戦力・戦術・そして運だ』

太刀川さんの言葉に会場がざわつく。私もこの言葉は耳に痛かった。自分に言われている気がした。

『そうですか?……気持ちが人を強くすることもあると思いますけど……』
『そりゃ多少はな。けどそれだけで戦力差がひっくり返ったりはしない。気合いでどうこうなるのは実力がかなり近い時だけだ。もし気持ちの強さで勝ち負けが左右されるってんなら……俺が1位になれるはずがない』

歌歩ちゃんにあっけらかんと言う太刀川さんに私は力が抜ける思いだ。


『うわ〜やな一位』

迅さんと同じ気持ちだ。
きっとこれを二宮さんや風間さんが聞いていたら腹を立てているに違いない。


『でも、展開自体はちょっと面白いな。炸裂弾で片腕の隙をうまくカバーしてる。くまのやつ思いのほか様になってるぞ』
『きっと、ずっと那須隊長の動きを見ていたからこそ出来る動きなんでしょうね』

私とずっと二宮さんや出水君の動きを見ていた。攻撃のイメージは常にあの二人だ。
到底あの二人の様な射手にはなれそうもないが。


村上君のガードがやはり固く、くまちゃんはなかなか崩せそうにない。

くまちゃんが一度距離をとり、村上君の間合いから外れた。炸裂弾を叩き込むつもりか。

それに反応した村上君がすばやくスラスターを起動させ投げつけた。

くまちゃんがシールドに阻まれ、自分の放った炸裂弾をそのまま食らってしまい、緊急脱出した。



村上君のレイガストだけが残ったその場所に、村上君がゆっくりと歩いていく。

拾おうとして手を伸ばすが、途中で手を止めて、そのままレイガストを蹴り飛ばした。
蹴り飛ばしたレイガストは空中で光を放って爆発した。くまちゃんの置き土産の炸裂弾だったようだ。

『熊谷隊員の残した罠も看破……村上隊員盤石の強さを見せた』

流石攻撃手ランク4位は伊達じゃない。

『最後まで粘っていい試合だったな』


太刀川さんの言葉に歌歩ちゃんが反応して様子を伺う。


『勘違いするなよ。俺は気合の乗ったアツい勝負は大好物だ。けど、気持ちの強さで勝負が決まるって言っちまったら、じゃあ負けた方の気持ちはショボかったのかってなるだろ』

ぼんち揚を食べ続ける太刀川さんを迅さんと二人で見る。
 


これだから憎めないんだ。この人を。
冷たいようで温かい。いや、熱い人を。

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