きみのすきなところ



「ね、私のどこが好きなの?」


2人でいつものようにかげうらにやって来て、お好み焼きを焼いている時にふと気になって荒船に聞いてみた。

「は?……あ」

荒船は私の言葉に気を取られてお好み焼きをひっくり返すのをすこし失敗したようだ。いつもなら綺麗にひっくり返すのに、すこし端が崩れている。

「……なんだよ急に」
「ん、そういえば教えて貰った事ないなって思って」

私は綺麗にひっくり返す。今日も美味しそうだ。あとは変にいじったりせずに待つのみ。

「なんで言わねーといけねーんだ」
「気になったんだもん。どうして好きになってくれたのか未だに疑問だし」


荒船はボーダーではマスタークラスの実力者で隊長もしている。進学校に在籍しているだけあって頭も良い。そして当然のことだが顔もいい。学校で女の子に何度も告白されていると荒船と同じ六頴館に通う犬飼に教えて貰った。私と付き合ってからも告白されているらしい。私は三門市立高だし、六頴館では存在を知られてないのだから仕方が無いのかもしれないが、彼女がいるのに告白するなんて、よっぽど自分に自信があるのか、私がやはり荒船に釣り合ってないからだろう。


「好きなもんは好きなんだよ。理由なんてねぇわ」

荒船は鉄板の上にあるお好み焼きを見ながらそう答える。


「ふーん」

ついそっけなく返事をしてしまったが好きと言われてすこし嬉しい自分がいる。

「んじゃ、お前は俺のどこが良かったんだよ?」

荒船に逆に聞き返されてしまった。

「え?私?」
「俺に聞くくらいなんだからお前はあるんだろ?」

ニヤリと笑われる。お好み焼きに逃げようとも、食べるにはまだ早い。


「……んーと」

この際だから言ってしまおうと思う。良いところは伝えるべきだ。自分の隊の隊長を見習って人は褒めるべきと最近思うのである。自分だって人に褒められると嬉しい。

「努力家なところ。自分の夢をしっかり持ってて、周りにどう思われようともブレずに進んでるところがすごい」
「お、おう」

私が素直に言うと思っていなかったのだろう。荒船がすこし驚いている。

「進学校で大変だろうに高校との両立しっかりしてるところ。同い年の私達の勉強を見てくれるところ。教え方がうまいよね」
「そうか?」
「隊をしっかりまとめてるところ、責任感あるところ。同い年の2人への接し方も上手いし、後輩の半崎君への面倒見も良いよね」
「まぁ、隊長だしな」
「村上のことでも思ったけど、友達思いなところも好き。私達同い年がみんな仲良くできてるの荒船のおかげでもあると思う」

「……」

「あと、私のこと好きって言ってくれた事。驚いたけどすごい嬉しかったんだ。自分に自信なかったんだけど、荒船にそう言われて、自分のことちょっとだけ好きになれたから」

言ってて自分で恥ずかしくなって来た。

「そういうところだよ」
「え?」

荒船に言われて思わず聞き返す。

「お前のそういうとこが全部好きなんだよ」
「!!」

今日は荒船は帽子をかぶっていないので表情が良く見える。すこし照れてるようだ。

「私、荒船の照れてる顔も好きだよ」
「そーかよ」


お好み焼きが焼けた。私は笑顔で食べれそうだ。