「辻くん!ごめん!!!今すぐ脱いで!!」
「いやっ、あっ、そっ、べっべつに」
「本当に申し訳ない!染み抜きするから!シャツ脱いで!」
「えっ、ぬっ脱ぐ……」
普段は辻くんが女性が苦手ということに気を遣ってきっちり距離をとっていたのだが、今はそうはいっていられなかった。
辻くんを見ると制服のシャツにうっすら自分の口紅がついてるのがみえる。
先ほど二宮隊の作戦室へ氷見ちゃんちゃんに書類を渡しに来たのだ。
用事がすんでさあ帰ろうと作戦室を出た時に、同じタイミングで入ろうとしたであろう辻くんにぶつかってしまった。
勢いよくぶつかってしまったせいで、自分の口が辻くんのシャツに当たり、うっすらピンク色がついている。
辻くんは不幸にもまだ換装しておらず、六頴館の制服のためすぐに汚れを落とす必要があった。
申し訳なさがあって、つい自分も辻くんに掴みかかるようになってしまう。
焦っていたせいで彼の顔は真っ赤で今にも倒れてしまいそうであることに気づいていなかった。
「おいさっさと帰れ、辻が倒れる」
静かに状況を見守っていた二宮さんに声を掛けられる。
「え……そんなでも……」
そういわれても、このままにしておくのは忍びなかった。
「どうせ今から換装する、制服のシャツは後でなんとかしろ。今から防衛任務だ」
「あと……」
二宮さんに言われて、落ち着いて考える。
どうやら、後でもう一度チャンスをもらえるようだ。
「14時には終わる。その時にもう一度来い、辻もいいな?」
「……はっ、はい……」
辻くんも二宮さんの話にうなずいてくれた。とりあえずこの場はなんとかなると思っての判断だろう。
「わかりました。じゃあまた14時に伺います。辻くん、本当にごめんね!その間に染み抜き買ってくる!」
そういって、自隊の作戦室に戻ることにする。
おそらく置いてあったはずだ。
14時。それまでに辻くんにお詫びのしるしにコンビニでシュークリームも買ってこよう。