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「あの……やっぱり手とか縛った方が雰囲気出るのかな……?ゼノさんはどう思う?あ、仕事中にこんな電話してごめんね!」
俺のハニーがNASAの叡智をSM相談室扱いしてやがる……。しかも昼間っから。
スマホを貸してくれと頼まれて、何も考えずに投げ渡したらこれである。ランチ中に幼馴染から電話がかかってきたと思ったら、出たのはその女の方で、しかも用件が夜の話ときたら一体どんな気分になるだろう。
悪いなゼノ、これでも悪気はないはずだ。彼女の無邪気さに心の中で一応謝罪を入れながら、これからしばらく吸えなくなるタバコを味わっていると、ようやく電話を終えたらしい。彼女は満足そうにしながらスマホを俺に返してきた。
「で、ゼノなんて?」
「『好きにすればいい』ってさ」
「だろうな……」
百パー分かりきった答えを返されて、俺は戸惑いながらも頷くしかなかった。いくらゼノでも他人の情事なんて知ったことではないだろう。
ソファーの後ろから俺に寄りかかるように両腕を垂らしてくる彼女。横から顔を覗き込んできたから、タバコを外してキスをした。
「スタンは私には抵抗しないと思うけど、もし万が一暴れ出したら手に負えないだろうから、それが心配な場合は拘束すれば……とも言ってた」
「俺が暴れる?」
「言ったでしょ?私、スタンを一度めちゃくちゃにしてみたいなあって。いつも冷静なとこしか見たことないから」
めちゃくちゃにしたい、とまでは言っていなかったような気がするが。どちらにせよ彼女は俺をどうにかさせる気満々らしい。
「でもさあ、やっぱり怖いかも。もうちょっと勉強してからにしようかな」
「なんで仕掛ける方が怖気付いてんよ。てか勉強ってどうやって」
「えーぶいとか見るの」
「見なくていい、そんなん。俺がいんのに」
「じゃあ、スタンが使い方教えてくれるの?
……あ、やっぱりこういうの自分で使ったことあるんでしょ」
また疑うような目を向けてくるから、素知らぬ顔をして口笛を吹いた。
まあ正直に言えば、この中の何個かは以前自分で使ったことがある。たいした理由はなく動機はただの好奇心だ。自慰行為なんてものはそういうプレイでもなければ一人でやるもんだし、当然彼女は知る由もない。
「まあいいか。使い方はまたゼノさんに電話すれば……」
「あんた、ゼノをなんだと思ってんよ」
「グーグル」
「ははは、違いねぇ」
背もたれからさらに身を乗り出して、自分で見慣れないそれらを両手でいじる彼女。どれを使おうか選んでいるのだろうか。
本人はあまりピンと来ていないようだが、結構コアなものが多くてこちらとしては不安でしかない。消毒や潤滑剤が必要だってことをちゃんと分かっているのだろうか。ていうか俺は今日後ろを綺麗にしていない。もう不安でしかない。
……と思ったら、どうやら彼女の方も相当不安に思っていたらしかった。
「スタン、思ったんだけどね。いきなり今日この道具たちを使うのは、やっぱり私には少しハードルが高い気がするの」
「そう?」
「だから、まずは簡単なやつからトライしてみてもいい?」
「簡単なやつってどれよ」
「それはね、あとのお楽しみ!じゃあ用意してくるからちょっと待ってて」
「え?ああ、うん」
彼女は俺の頭に手を置いてからキッチンに姿を消した。……用意するから待ってろ?これは今日は使わないのか。それにしても一体何を用意するっていうんだ?キッチンで。
少し考えれば分かるような気もしたが、ここまできたらもう全部彼女の好きなようにさせてしまおうと思った。映画だって、ラストを知りながら見るよりは初見の方が道中楽しめるってもんだ。安易に予測しても興が冷めるだけ。……にしても、あんな急展開になるなんて俺は聞いていない。
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彼女はマグカップを片手に戻ってきた。また水分補給でもしていたらしい。それらしいものを持っていなくて呆気に取られたが、どうせその時になるまで秘密にしておきたいだろうから、俺からは特に何も言わないでおく。
「もういい?たばこ」
コップをテーブルの上に置くと、さっきと同じように俺の太腿の上に跨ってくる。最後にもう一呼吸してから頷くと、彼女はさっさとタバコを奪い取ってしまった。それを灰皿に押し付けてすぐ、いつもなら受け身の彼女が今日は自分から俺の口を塞いできた。
普段の俺を真似するように、上唇と下唇を交互に柔らかく包んで、何度か軽いキスを交わす。拙い動きで舌を絡めて、「にがい」と文句を言いながらもすぐにまた顔を近づけてくる。こちらも何かをしたくなって背中から服を捲りあげて中に手を滑り込ませたら、突然キスを中断された。
「ねぇスタンだめ。今日は全部私がやるって言ったでしょ?」
「抱き締めんのもダメか?」
「え?あー、それくらいならいいけど」
「ならいいじゃん」
「まったくもう。……ねえどう?私のキス」
「ヘタくそ」
「ええ!」
「でも可愛い。頑張ってるとこが」
素直に感想を言ったら超不満そうな顔をされたので、取ってつけたように言葉を追加すると途端にえへえへと頬を緩ませる。そういう単純なところも可愛い。
今度は彼女は俺のTシャツの裾をつまんで、少しずつ少しずつ慎重に脱がし始めた。何を緊張しているのか。こればかりは俺も動かないとどうにもならないので、脇に引っかかるところまで来たら自ら服を脱ぎ捨てた。楽しそうにペタペタ両手をついて俺の胴体を撫でてくる彼女。
「えへ」
「どうした?」
「スタンの体、見てるだけでえっちな気分になるの。なんでこんなにえっちなの?」
「そりゃどーも」
伊達に鍛えてないからな。そう返事をしながら、さり気なく目の前の豊満な部位に手を伸ばした。あんたにも同じ言葉返してやんよ。早くこの邪魔な布をひっぺがしてやりたいと思いながら遠慮なく揉みしだくと、彼女は驚いたように俺の手を引っぱたいた。
「あ!もう、ダメって言ったじゃん!やっぱり動けないように縛っちゃおうかな」
「ん?ああ、ゼノとそんな話してたっけ。なんでもいいからナマエもさっさと脱いでくんね?盛り上がんねぇじゃん」
「もーせっかちなんだから。脱げばいいんでしょ脱げば」
俺が動くのはダメなのに、口での指示は聞いてくれるらしい。彼女は俺の言う通りに上を脱ぐと、膝立ちになって部屋着のショートパンツまでおろし始めた。一応心の準備をしてきたのか、新品で上下の揃った可愛らしい下着を身につけている。
「ん〜可愛い」
「かわいいの選んだもん」
「ナマエのこと言ってんよ、俺は」
「この無自覚女たらし」
「はぁ?」
不規則な生活を送っている割にはスタイルのいい、この謎すぎる体にとてもよく似合っているが、あーそれもさっさと脱いでくれて構わねぇんだが。ていうか今すぐ脱げ。そんな俺の本心とは裏腹に、これで満足したと思ったのか彼女はもう愛撫を再開してしまう。
「ねースタン、こんな感じでいいの?ちゃんと気持ちいい?」
「ああ充分。もっとやっていい。ほら、キスマークは?付けてくんねぇの?」
「それやる!ちゅうって」
無邪気なやつ。たまに次に何をしようか困ったような顔をするから、仕方なく口を挟むと嬉しそうに素直に応えてくれる。まるで可愛い仔犬だ。俺だけの。
手と舌を使って好きなように体をいじられている間、どうしても両手がヒマになって目の前の体に伸びてしまう。最初の何回かは注意されたが、あまりにしつこかったのか撫でるくらいなら文句を言われなくなった。
この辺まで来ると、自分だけでやるというこの状況に慣れ始めた頃だろう。ただ、完全に任せ切りにするのは初めてだから、心の中ではやっぱりどこか不安に思っていたのかもしれない。
「あ、スタン」
ふと、徐々に大きくなっていくそれが布を押し上げていることに気がつくと、彼女は何故かきらきらと目を輝かせてそこに手を伸ばした。なんだその顔はバージンじゃあるまいし。
「たってきた?よかったあ」
「何が?」
「私に出来なかったらどうしよって」
「どんな心配してんよ。安心しな、俺はナマエに誘われた時点でもう最高の気分だ」
「本当?うれしいな」
彼女は本当に嬉しそうに笑顔になると、さっきまでの丁寧な愛撫がなんだったのかと思うほど手早く脱がしにかかる。こいつ、こんなにあからさまに興奮するやつだったっけか。まあいい。なんなら俺も早くここをいじって欲しいと思っていたから、これでいい。
下着ごとまとめてずり下ろされて、勃起しかけたディックが空気に触れる。いつの間にかソファーから床に降りていた彼女は、得意そうにそれを口に含んだ。フェラはいつもやっているし、お手の物だろう。自分の唾液をなじませ、先端を舌で撫でて、根元から竿を手の平で包んで慣れたように扱いていく。初めての時はあんなにぎこちなかったのに、今や少しの時間だけでみるみるうちに固くなり、それと同時に呼吸も大きくなっていく。
「っはあ、こっちのキスは上手ぇんだよな」
「ん、だって……いつも無理やりやらされてるから」
「それはな、語弊ありすぎ。じゃなきゃなんでそんなに笑ってんよ」
「これからスタンのことめちゃくちゃにするのが楽しみでしょうがなくって」
出た。それ。ていうか話しかけたつもりじゃなかったのに、中断されてしまったことがもどかしくて頭に両手を置いて続きを促した。すぐに咥え直したことに満足して可愛がるように頭を撫でたら、尻尾を振るように笑ってくれる。ああ、マジで可愛いこいつ。次第に何かがせり上がってくる感覚に息を漏らしたら、何故かまた口が離れて途端に焦燥感に駆られた。
「だめ、まだイかせてあげない」
足の間でにっこり笑いながら、液の漏れかけたディックで頬ずりをする俺のハニー。あからさまに煽りに来ているその表情が俺を刺激するには十分で、素直に興奮してしまった。ふざけんな、もうエロくてたまんない。一体どこでそんな仕草を覚えた。俺だ。