+++
「ほら、今度はナマエの番だ」
寝転がったまま少し休んで体を回復させた俺は、ベッドの上のクッションをかき集めてもたれかかった。手招きに気づくと、さっきからずっとテンションが高い彼女はやっぱり嬉しそうな顔をして俺に近づいてくる。こいつ本当にワンコみたいで可愛い。
今朝(昼過ぎ)と同じように俺の太腿に股がると、啄むようなキスを交わしてぎゅうと俺を抱き締めてくる。そのまま俺の次の行動を待ち続けてじっと待機しているから、頭を撫でながら首を傾げた。
「何してんよ」
「なにって……?」
「ほぐさねぇと挿れらんねぇじゃん」
太腿の内側に手を滑らせて、当たり前のことを口にする。
「今日は、全部自分でやんだろ?」
補足した途端にたちまち赤面したのを見る限り、俺の言いたいことは伝わったようだ。恥ずかしそうに「う、うん」と頷くと、俺の肩に手を置いて膝立ちになり、親指を下着に引っ掛けて左右交互に少しずつ下ろしていく。
「ん、う」
今日は全部自分でやると言っていた。それなら彼女自身を愛撫するのも俺が手を出すわけにはいかないよな?彼女としてはそこまで想定していなかったようだが、俺の発言が明らかに理にかなっているから否定できるはずもない。
全部、自分で。自分の指で、既に濡れているそこを愛撫していく。指を滑らせてクチュと卑猥な音を鳴らす様子を、俺は傍からじっくりと眺めた。言うなれば自慰行為を観察しているわけだが、こんなにも簡単なのにこんなにも興奮するプレイを今までやって来なかったことの方が不思議だ。
「……ん、んっ……」
慣れていないからこそ恥ずかしそうにしているのが、とてもイイ。最高。ずっと見ていたい。その視線が痛かったのか、すぐに文句を言われた。
「スタン……目、閉じて……?」
「やだ」
「……そう言うと思った、……っ」
せっかくえっちなショーを特等席で観てんのに、一瞬でも見逃してやるはずがない。
てか、下を脱いだならもうさっさと上も脱いでしまえばいいのに、何をそんなに焦らしてくれるのか。熱烈な視線を送っていたら、俺がずっと無言でいることが気になったのか、今度はこんなことを尋ねてきた。
「ねぇ、スタン、……怒ってる?」
「何をだ?」
「さっきの、色々……」
「別に怒ってねぇよ」
「ほんと?」
ただ調子に乗っただけなんだろうけど、さすがに気にしているようだ。そりゃ、あんなに煽られたんだから、暴言の一つくらいは見逃してくれ。あれでもそれなりに耐えた結果だ。でもそれはもう終わった話。
「本当に何も思ってないの……?」
「強いて言うなら、早くブラ外してくんねぇかなとは思ってんよ」
「もー!スタンってばそればっかり。脱げばいいんでしょ脱げば」
俺の言葉に従って、さっそく両手を背中に持っていく彼女。口で言ったらちゃんと聞いてくれるんだよな。
「ねぇ、スタンが外して?私、こっちの手濡れてる……」
「気になんねぇだろそんなん」
「私は気になるの!ほら、せっかくスタンにやらせてあげようとしてるんだから」
「ハイハイ、背中向けて」
細身なのに胸と尻だけは豊満なよく出来た体だ。まるで俺の為に生まれてきたんじゃないのかと思うほど。いや……これは惚気にしても気持ち悪いか?でも好きなんだから仕方がない。そんな体を目の前にして、興奮するなと言う方が無理がある。
さっきので萎びていたディックはまた素直に立ち上がってきた。自分の性欲が底知れなくてたまに自分で怖くなるな。
「いけんのか?」
「い、ける……」
ちゃんと中にも指を入れていたようだが、愛撫というよりはもうその部分を少し触った程度で彼女はさっさと次の段階に移行した。下手なキスと上手いキスを交わし、上から跨るようにして俺を中に挿れ込んでいく。
明らかに無理があった。それでも無理やり押し込んでいくから、さすがに心配になってくる。んな焦んな、バージンじゃあるまいし。
「ナマエ、ローション」
「あ、うん。ありがと……」
枕元に置いてあった容器を渡すと、彼女はそれを潤滑剤にしてリトライした。滑りが良くなったからすぐに挿ったは挿ったが、まあなかなかに辛そうで見ているこっちがもどかしい。
でも動き始めたらすぐに良くなるかもしれない。両者共々そんなふうに思い込んでいて、彼女が俺の手を握りながら一生懸命腰を動かしているのを、俺はさっきと同じようにじっくりと見物しているだけ。実際俺はこの光景だけで満足なのだが、今日はろくに愛撫されていない上に、一度も気持ちよくなれていない彼女は早々に音を上げた。
「ぅ、スタン、っもういきたい」
「そう。だから?」
「だ……だから、代わって……?」
それは魅力的な誘いだが、断る方が唆られることを知っている俺は自信満々に「やだね」と答えた。
「何回言わせんだ、今日全部ナマエがやるっつったろ?」
「い、言ったけどっ」
「じゃあ最後まで自分で頑張んなきゃ」
な?口角が上がった顔で尋ねると、彼女は泣きそうになりながら「性格わるい……」と呟いた。そんな顔をされても、だいたいどの口が言ってんよ。今日散々イジメられたのはこっちだ。これくらいの仕返しはさせてもらわないとな。
でも全無視するのは可哀想なので腰に手を添えるだけ添えてやったら、彼女は少し嬉しそうに笑みを零して、また必死に下半身を動かし始めた。別にこの体勢が初めてってわけじゃないのに、俺が動かないだけでこんなにも差が出るものか、と俺よりも彼女の方が痛感してそうだ。やっぱり限界だったらしい。
「ねぇ、スタン……お、ねがい……。こ、今度はスタンの好きにしていいから」
「……ふーん?」
そんなことを言われたら、本当に好きにするけどいいの?そう尋ねようとしたが、彼女はもうイキたくてイキたくてたまんないみたいな顔をして、涙でうるうるになったつぶらな瞳で俺を見つめてくる。もーそんな顔されたら言うこと聞くしかねぇじゃん。
んまあ、いっか。そろそろ体も休ませることができたし、万全な状態まで整ってきたように思う。キスをしながら彼女の体を後ろに倒して覆い被さると、待ってましたと言わんばかりに嬉しそうな顔をする。なんでこんなに可愛いんだろ。今世紀最大の謎。
「後悔すんなよ」
「し、しないもん」
「ホントに?」
「いいから、はやくスタンの欲しい……」
にしても、あんなに強気なクイーンは一体どこへ行ってしまったのだろうか。
ねぇナマエ?せっかく好きにできる機会をくれたんだから、ちょっとくらいはやり返してみてもいい?いいよな。
+
「ん……っ」
ついでだからこいつをそのまま利用させて貰おう、と即決した。さっき散々俺をイジメてくれたやつ。交代する前にしれっとリビングから回収してきたのだ。
彼女の細い指一本じゃ心もとないから、改めて俺の指を滑り込ませてほぐし始めた。それでも一本目は余裕だったのですぐに二本目を追加する。ナカをいじる手はそのままに、空いた手で湿り気を失くしかけたそれを彼女の腹の上に広げ、枕元に転がっていたローションの容器を手に取った。そして片手で器用にフタを開け、ドレッシングをかけるノリで中身を出していく。
「……それ、っ」
「ナマエもほら、やってみようぜ。せっかくだから」
不安そうな顔をして俺を見上げてくるが、むしろそんな反応をされる方が唆られるということを、ちゃんと分かっておいてほしい。
腹の上から零れるくらいたっぷりのローションをまぶした後、ガーゼをズルズルと下の方に動かした。秘部を覆うようにセッティングすると、残ったローションで全身を可愛がりながら、さっそく彼女の大事なところを両手を使って責めていく。
「ぇ、あ、」
外からも中からも刺激されて、あっという間に快感が迫り来ていることだろう。早速声をあげ始めた彼女は、思った通り普段とは違う感覚に戸惑いを見せて俺の腕を掴んできた。
「ぁ、あ、……待って、待って……なんか、だめ、だめっ」
「なんかだめ?分かる、俺も同じだった」
指の腹でガーゼ越しに擦ったり、摘んだり、軽く弾いたり。緩急をつけて撫でるだけで彼女の体は刺激に耐えるように小刻みに震え始めた。早速こんなに感じちゃって。当たり前だ、どんな風にしたら彼女をとろとろにできるのか俺はもう分かっている。なによりクリ責めは彼女の大好物。いつも口では否定されてしまうが、そうは言っても体は正直だ。
「も、だめ……ひぁ……っ!」
「あ?ナマエ、……もうイった?」
さっきあれだけ苦労して結局最後までイケなかったのに、ガーゼでここを数回擦っただけで全身がガクガクと震え、俺の手が彼女の太腿に挟まれてしまった。普段と感触が違うからか、それとも焦らされたせいなのか。
俺であんなことになるんだから、そりゃもちろんここにも効くよな。肩で息をする彼女と手元を見比べ、やっぱりこいつの威力は凄まじい……と、感心しながらも指先を止めずに擦り続ける。いつもはこうやって立て続けに責めるようなことはしないから、すぐに俺の魂胆に気づいたらしい。
「ひっ、ん、まだっやぁ……、い、イってるから、っぁん……」
「いいよ、ナマエ。ちゃんと見てっからいっぱいイキな」
「ま、待ってっ、やぁ、あっ、っ〜〜!」
「ん〜その調子その調子」
俺は最後まで出させて貰えなかったが、何回もイキながらいじられ続けたらどうなってしまうだろう?そんな単純な好奇心が三割、ただ彼女の泣き顔を見たい加虐心が七割。
俺はマトモな人間の皮を被っただけの、少しイカれた人間でさ。それが今、本当の自分がちょっと顔を出しただけ。いつまでも途切れない快感に、彼女はあっという間に決壊したようで、二度目の絶頂を迎えた直後にはもう涙を流して懇願を始めた。あーこれ、俺が見たかった景色。
「す、スタ、ん……きゅうけ、い……っ、」
「んなこと言ってさ、まだ足んねぇんだろ?ああ、なら……もっと強くしてみる?」
「っ、や、」
いくらお願いしても一向に手を止めようとしない。それどころかもっと激しく責められようとするこの状況が、彼女にとっては信じられないことのようで。嫌だ、やめて、なんて言っている割にはすっげ気持ちよさそうにしてるけど、ところでナマエ。それ、どの口が言ってんよ。
ぎゅうと閉じられた両目からポロポロと雫がこぼれていく。声にならない声を出し、全身を痙攣させて。閉じた足を無理やりこじ開けて中と外を同時に執拗に撫で回していると、ついさっきまでかろうじて残っていた強気な態度はもう完全に消え失せて、今はただ嬌声をあげているだけ。
「ぅ、うぁ……、ひぅ………っ」
ああ、可愛い。俺のことしか考えられないくらい、めちゃくちゃにされてるあんたが可愛い。実を言えば俺も一度こうしてみたかったんだ。いや一度と言わず、何度でも。
掻き出すように動かしていた指の隙間からとめどなく溢れてくる液を、時折舌で掬いあげてやればまた違った感触にビクッと体を震わせる。そうして遂に抵抗もままならなくなった頃、一旦様子を見ようと顔を上げたら弱々しく俺の名前を呼ぶ彼女と目が合った。
「ごめ、なさい……も、ゆるしてっ」
「なぁに?だから怒ってねぇって。あんたが可愛いから、つい」
責任を擦り付けながら、愛液と唾液の混ざった舌をべぇと見せつけた。さっきとはまるで立場が逆転している。言っとくけど、今のこの状況はあんたが望んだことだ。俺はただお願いを聞いてやっただけ。
それなのに、さっき後悔しないと言っていたのに、まさかここまでやられるとは思っていなかった……なんて、さすがに通じないからな。あんたことをやられた後では。
「ね、スタン……おわりに、しよ……?つかれたの……」
「終わんのね、分かった分かった」
「う、ん……」
15分にはまだ程遠いが、まあこのくらいで見逃してやるか。上も下も今までにないくらいぐしょぐしょにしてくたびれた様子の彼女を見下ろしながら、これまた愛液の混ざったガーゼで自分をしごいた。やっば……これは気持ちいい。一瞬で飛びそうになるのをなんとか抑え、彼女の両脚を持ち上げ、自分の腰を近づけていく。
「す、スタン……、?」
「……どしたよ、ナマエ」
「い、今……」
『終わりって言ったのに』?そうそう、今から終わろうとしてんだよ。
そんなふうに笑いかけながら、もうほとんど力の抜けている足を上から体重をかけるように左右に開き、散々イジメられてヒクついているそこに先端をあてがう。早速自分を押し込むと、さっきよりきついのにさっきとは比べ物にならないほどスムーズに奥まで飲み込まれていった。
「んっ、やあっ……スタ、」
「ァ、はあ、……最っ高、きもち……」
ローションのお陰でもあるのだろうが、たった今何度もイカせてやったから彼女のナカはとろけるくらいにどろどろだ。尚且つ程よく締まりがあって信じられないほど気持ちがいい。熱い壁がまとわりついて挿れただけで果てそうになる。
「ナマエ……いい子にしてな」
たぶん、俺はもうあんたじゃないとだめだ。いつも見慣れたこの光景に、ドラッグみたいにハマってる。汗ばんだ額をかきあげて、呼吸を荒らげたままの彼女の口を塞ぐようにキスを落とし、そして顔を離すと同時に律動を始めた。
「っん……はぁ、」
「スタ、ンっ……あっ、待っ、ぁん……っ」
実は未だに先の感覚が朧気だが、そういうのは全部無視してがっつくのに専念した。今日はかなり自分を表にさらけ出した気がするので、もう遠慮なんてものは要らない。
ガーゼを持ったままの手で目の前で揺れる胸を鷲掴み、欲求に従って何度も何度も腰を打ちつけると、もうそんな力なんて残ってないだろうに必死に両腕を伸ばしてくるから、膝の位置をズラして上体を屈めた。途端に頭を抱き締められて、お互いの息を感じる距離まで全身が密着していく。
「ほら、ほらっ……どーよ?これ欲しかったんだろ?あんたの大好きな、俺んだぜ」
「んっ、ひぁ……っはぁ、すたん……もっとゆっくり……っおかしく、なる……!」
「……ん?あは、聞こえねぇ」
高い声が彼女の喉から漏れ出ている。俺が奥を突く度に、甘い声で、真っ赤な顔で、俺の名前を呼びながら。
ああ……これこれ、この感じよ。やっぱり俺がこうする方がしっくりくるのは、いつもそうしているからというのが主な理由ではあるのだが。俺が単に彼女の余裕の無い顔が好きだから、というのもある。
「ひ、やぁ……はぁっ……、あっ、ん」
「んなビクビクして……かわいいナマエ、ほらイキたきゃイキな……」
が、今日初めて見たクイーンみたいな我が物顔も可愛かったな……なんて、どこまで甘々なんだ俺は。まあ自分ばかりが得していてはフェアではないし、たまには今日みたいなことがあっても悪くはない。実際、さっきのアレはかなり気持ち良かった。
でもやっぱり一番気分が高まるのは、こうして繋がっている時。歯の隙間から息を漏らしながらさらに動きを速めると、俺の頭を抱き締める腕に力が入って、背中にも脚を回された。もっと欲しい?もうやめてって、言ってなかった?
「ぁん、やぁっ、いく、いくっ……!」
「っ俺も」
「んぁっはぁ、……すた、ぁんっあ、だめ、あっや、っ〜〜〜!はぁ……っ」
もう何度もイったくせに俺を受け入れて尚も気持ちよさそうに収縮させて。全身をブルと震えさせながら、彼女の大きく開いた口を塞いで、熱のこもった唾液を交換し合う。涙でいっぱいの瞳はまっすぐ俺を見つめていた。ああ、どこまでも愛おしい。
「ん、ん……ナマエ、ナカ出すぜ」
「はぁ、っあ、……ん」
まあ正直に言うと、俺はあんたにならもっとイジメられてもいい。てか、今以上にもっと激しいことをしたい。あんなガーゼじゃ全然物足りない。あ、他人にやる分にはな。
そっちが先に道具を持ち出したんだ、こっちだってあんたに試してみたいオモチャが何個もある。例えば目隠ししたり、拘束したり、媚薬を仕込んだり、バイブを挿れたまんま放置すんのもいいし、窓の傍とか際どい場所でやんのもいい。……やべ、挙げだしたら止まんない。そんだけ俺が普段から密かにそういうことを企んでたってことだ。
今までは彼女が歳下だってことに免じて全部遠慮していたが、でも今回の件で全てどうでもよくなった。
「ねぇ、今度はさ……俺のお願い聞いてくんない?……いい?いいよな?嬉しいね、あんたならそう言ってくれっと思ったよ」
楽しみが増えた。どうせゼノから貰ったあの道具たちは今後使うつもりなんだろうし、好きなだけ付き合ってやるから、あんたも俺の趣味に付き合ってくれな。純粋無垢な小悪魔が快楽に溺れる様子を、じっくり見物させて貰うぜ。