THE STONE WORLD


This is a choker.

choker=アクセサリー、他』

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スタンは髪を少し刈り上げている分、さっと頭を拭いただけでもう水気はなくなってしまったらしい。スタンはタオルをその辺に置くと、煙草の煙を吐き出しながら正面に立った。

「さて」

そしてたった一言そう呟いたと思ったら、予告もなく片膝を折ってソファーに乗りあがってきた。あっという間に覆い被さるような体勢になる。
え、な、なに。背もたれに張り付いて彼を見上げると、スタンは片手で起用に小瓶の蓋を開けて私の口元に近づけてきた。

「口開けな。Here sweetie. ほらあーん  

やばい、媚薬飲まされる。即座に手で口を覆う。すると、スタンは不思議そうな顔をして「中身知らねぇっつったろ?」とわざとらしく笑う。この人、もう完全にノリノリだ。
どんな言い訳をすれば被害が最小限に済むのか、目を必死に泳がせて考える。いやだめだ、何を言っても無駄だ。スタンに言い訳は通じない。
冷や汗をタラタラ流しながら、なんとかして口を開く。

「そ、それなら!スタンも知らないってさっき言ってたでしょ・・・?」
「こんなん匂いで分かる」
「匂い・・・?それだけで分かるの?」
「だって俺、使ったことあっから」

なんだって?
予想外の言葉に両目を見開く。媚薬、使ったことあるの?そんなの知らない。知らない、なにそれ、知らない!それが失言だということにも気づかず、私はつい「・・・誰に?」と聞き返した。
スタンは笑う。

「俺が他に女作ってるとでも思った?安心しな、自分にだ」

その答えに本気で胸を撫で下ろす私。それと同時に、変態か?とも思う。媚薬って自ら使うものなの?いや、他人に使わせる方がヤバいやつか。それに、そういえば男はみんな変態だったな。
ていうかもう、完全に完璧にバレてるじゃん。スタンはさっきゼノと電話したと言っていた。おそらく、ではなく十中八九その時に、彼から全ての経緯を聞いてしまったのだろう。ああ、こんなはずじゃなかったのに。せめてゼノが嘘でもついてくれたら・・・。
心の中でゼノに対して『バカヤロー』とめちゃくちゃな文句を言っていると、スタンはふいにその小瓶の中身を口に含んだ。

「え、スタン・・・?」

突然の行動に硬直してしまう。スタンが飲んだ。媚薬、飲んだ。スタンが媚薬飲んじゃった!
彼は「あはぁ」とため息をついて、小瓶の中を横から確認した。まだ半分ほど残っている。でも、半分も飲んじゃった。口をぽかんと開いて驚いていると、スタンはもう一度小瓶を仰いで中身を全て口に含んだ。空になった小瓶をテーブルに投げ、私の体をガッチリとホールドして口付けをする。
突然のことで防御に頭が回らなかった。ねじ込まれた舌と共に、液体が口の中に流れ込んでくる。両手で目の前の体を押すが、鍛え抜かれた彼の体は私の力じゃビクともしない。なんとか喉に意識を向けて飲み込むまいと努力をする。
けれど、呼吸の用意をせずに口を塞がれたから、もう息が限界だった。ああもう無理。このままじゃ死んじゃう。彼の鋭い視線に思わず目を閉じる。
ごく。飲み込んだ音を確認すると、スタンはゆっくりと口を離し舌なめずりをした。「Good baby! それでいい 」そんなことを言って、私の喉仏にキスを落とす。

「じゃ、ベッド行こうか?それとも・・・このまま?」

立ち上がるスタン。私は喉を押さえて深呼吸した。飲んじゃった。今度は私が飲んじゃった!出さなきゃ、こんな怖いもの、今すぐ出さなきゃ!
自分がこの家に持ち込んだくせに、パニックになって口の中に思いっきり手を突っ込んだ。当然のように、スタンはすかさず手首を掴んで阻止する。よだれのついた私の手の平をじっくり舐めて、こんなことを言う。

「あぁ、ナマエ。悪い子だね。これから楽しい時間を過ごそうってのにさ」
「スタン、ごめんなさい・・・許して!」
「何を許すって?別に、俺はなあんにも怒ってねーけど。ま、ただ一個言うとしたら・・・」

スタンは私の体を抱き上げると、私のお腹に優しいキスを落とした。

「ナマエが可愛いのが悪い」

わたしはぜんぶあきらめた。



寝室のベッドに私をおろすと、スタンはどこかからベルトを持ってきて、私の両手首を縛り始めた。何をやっているんだろう。じっとその様子を眺める私。

「これでもう、吐き出そうなんて思っても無駄だ。観念しな」
「もうそんなのやんないから・・・おねがい、これ取って」
「やだね。つーかナマエが縛られてんのすげぇゾクゾクする。足もやってい?」
「えっ、だめ!」

なんで?という顔をする彼に、私は小さな小さな声で「やりにくいでしょ?」と返した。全部を諦めた私である。
そもそも縛られたくないというのが前提ではあるけれど、ほら、足開けないとほら、やりにくいでしょ?・・・ね?伝わった?
すると、スタンは恥ずかしげもなくこんなことを言った。

「いいじゃんバックでやりゃ。ナマエ好きだろ?後ろから犯されんの」

なんでそんなこと真顔で言えんの?でもこれまでのことを思い返すと、真っ向から否定できなくて悔しい。私は顔を熱くしながら、スタンの目を見つめた。

「わ、わた、私はね・・・」
「なに?」
「あのね、えっと・・・スタンのこと抱きしめながらいきたい
「オーケー!やっぱり足はよそう、代わりに首だ!」

ええ。なんでそうなるの。スタンはさっそく別のベルトを用意して私の首に巻きつけた。手首のとは違う、こっちはもう少し太いベルト。「似合ってる」と彼は言うが、なんだか居心地悪いなあ。・・・でもこんなの平気。首輪 collarじゃなくてアクセサリーchokerだと思えばなんてことはない。
それよりも、手が不自由なことの方が一大事だった。困った顔をして手首のベルトを上から下から観察していると、スタンは何を考えているのかスマホで写真を撮り始めた。「観賞用」と語尾にハートをつけて教えてくれる。
ていうか、手が縛られる時点で抱きしめられないじゃん。ふてくされ顔でそんなことを思っていたら、突然、体の奥が熱を帯びてくる感覚がした。なにこれ。いや、考えなくても分かる。もしかして、これって、媚薬の・・・効果?

「さ、こっち来な」

スタンは写真に満足してスマホを枕元に置くと、後ろからぎゅうと私を抱きしめてきた。全部を諦めた私である。
素直に体を預けると、さっそく服の中に両手を入れて素肌をやわやわと撫でてくる。それだけ。それだけなのに、なんだか信じられないほど身体中が熱くなってきた。
首筋にふうと息を吹きかけられる。ただそれだけで、全身がぞわぞわして思わず「ひ」と声が出る。スタンはそんな私にくつくつと喉を鳴らして、手で襟元を広げるとそこに舌を這わせた。ぞわり。なんか、やばい。もうだめだ。こんな一瞬で。
こっち向いての言葉通り、頭だけ後ろを振り返れば唇にキスをされる。舌を絡め合いながら、手は動かすのをやめない。好き勝手体をいじられていると、ふいに彼は口を開いた。

「あ、服脱がせらんねぇ」

彼は私の手首に巻かれたベルトを上から撫でてきた。そりゃそうだ。このままだと服がここに引っかかってしまう。彼はしゃあねぇと呟いて、ベッドの上に立ち上がる。もしかして手首外してくれるのかな。淡い期待を胸に抱くが、スタンが手に取ったのは手の平サイズの折りたたみ式のナイフだった。

「ひえっ」
「んな驚くなって」

思わず萎縮してしまう。そ、そんなもので何をしようと言うの。彼は正面に座り込んで私の頭を撫でると、甘い声で「許して」と言った。そして、服に刃先を当ててビリビリと破き始める。
古くなってほとんど部屋着と化していたTシャツだ。思い入れはない。むしろ、服を破かれるという行為にドキドキしてしまう。い、いつもはこんなふうに思わないのに。いつもならこんなふうに思わないのに!
スタンに促されスウェットパンツを足だけでなんとかして脱ぐと、そのまま押し倒されてベッドに寝かせられた。私はもう下着だけ。肌寒くて胸の前に手を置くと、邪魔だとでも言うように無理やり両手を頭の上にあげさせられる。

Aww,so cute. あぁかわいい ・・・愛してる」

スタンは上に覆いかぶさり、キスを交えながら私の体を存分に観察した。媚薬のせいなのか、彼もとっくに頬を赤く染めている。珍しくてこっちまで恥ずかしくなってしまう。
少しして、彼は胸の中央・・・下着の下にナイフを差し込んだ。金属がヒヤリと冷たい。私は慌てて声を上げた。

「待って、これお気に入りなの」
「待てねぇ」
「ね、スタン!お願い・・・なんでも言うこと聞くから!」

ああ。なんか大層なことを口走ったような気がする。頭が回らないからだ。スタンは私の発言に一瞬驚いて、すぐに微笑んだ。

「わかった、そこまで言うんなら」

慣れたように片手でナイフを折りたたむと、背中に手を入れてホックを外した。肩紐をずらして下着を手首のところまで動かすと、いたわるように胸を揉み始めた。首筋に噛みついて、いくつもの跡をつけて、首のベルトを撫でながらいちいち甘い言葉を囁いてくる。
私はもう何かを考えているどころじゃなくて、体をよじって必死に耐えるだけ。スタンの手がだんだん下に移動するのに伴って、鼓動がどんどん早くなる。そして、ついに下着の上からつつつと撫でられた。

「濡れてんね、ああ可愛い」

言わないで、そんなこと。耳元でそんなことを言われたら、もっと胸がきゅうってなって、もう欲しがってしまう私がいる。



This is a choker.
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