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「なんか今日のゼノたばこくさい」
「おーけー、マイプリンセス。あなたがわがままなのはずっと前からだったわ、そういえば。私は健気に振り回されるだけの人生を送ることになるのね。あ〜あ、なんて可哀想な自分」
「煌びやかなドレスを身に纏うにも、美しい宝石で指を飾るにも、僕よりもプリンセスと呼ぶに相応しい人を一人知っている」
「へえ、そう。誰?なんて聞かないわ」
「ならば、その身をもって体験でもしてみるかい?」
「ほら、君のプリンスが迎えに来たというのに、いつまで不満そうな顔をしているんだい?君の笑顔は最も効果的な僕の精神安定剤だ。どんなに嫌な気分でも、笑ってみせてくれ。僕のために」
「ほんとどこまでいってもわがままね……」
「そんなわがままな僕を愛してくれている君のことが、僕はどうしようもなく大好きだ! 愛しているよ」
「自分で言うことじゃないから」
「否定できないだろう?」
「それはともかく!」
「ゼノ、あなたは私に愛されてるから、そのお返しをしているだけって言いたいの?」
「気になるのなら、一度僕を裏切ってみるといい。人間の心は移ろいゆくものだ。ただの他人がそれを阻むことはできない。君の僕への愛が冷めてしまっても致し方ないことだ、文句は言えない」
「じゃあ今夜にでもスタンのこと誘ってみようかしら。あの人はどうせ頷かないだろうけど、誘うこと自体に意味があるでしょう?」
「何故僕の前でそういうことを企てる?アドバイスをするまでもないことだが、浮気をするのならどうか秘密裏に進めてくれ」
「スタン、今夜私を匿って」
「ん〜なに、ケンカでもした?」
「まだ何も言ってないのに……幼馴染にはなんでもお見通しってわけ?」
「いや、いかにもケンカしましたって顔してんじゃん」
「ところで、後ろ」
指をさされたから振り返ったら、そこにはいつのまにかゼノが立っていた。
「あ、ゼノ」
「おや奇遇だね。忘れたのかい? 僕の知らないところで秘密裏に進めてくれ、と釘をさしておいたろう」
「なんでここにいるの、今は」
「僕が君の居場所と行動を把握していない訳がないだろう」
「『できる』ものならやってみたまえ。まあ君はどう転んでも『できない』が。……そう言ったつもりだったのだが、君には伝わらなかったようだね」