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「ぁ、……っ」
「もうこんなに濡らして……余程楽しみにしていたようだね、可愛いな」
ふいに下に伸びた手が下着越しに秘部に触れて、優しく優しく撫で上げた。突然の刺激に体が揺れ動き、彼の肩を掴む手に力が入る。
もうこんなに、じゃない。いつまで経っても上半身の愛撫を止めないゼノのせいで、私の中はとっくに疼いて早く彼を欲しがっている。あの後テーブルに私を座らせて、キスをしながら豪快に服を捲りあげてからもう何分経ったか分からない。
これでもというほど念入りに素肌に手を滑らせてから、下から脂肪を鷲掴みされたまま、突起の先端を人差し指で撫でられたり、二本の指で摘まれてくりくりとこねくり回されたり。これまでゼノの手によって散々いじられてきたそこは、少し刺激を与えられるだけで感じるようになってしまったのに、今日のゼノはいつも以上に丹念に愛撫する。しばらくして「脱いでくれ」と邪魔そうに言う彼に従うと、徐々にキスが降りてきて遂に突起を吸い上げた。
「ゼ、ゼノっ、そこだめ……」
「……ん?ナマエ、ここが好きだろう?分かっているよ。体は正直だからね」
ちゅうと吸ったり、舌で先端を転がしたりしながら、目だけをこちらに寄越してくる。やだこっち見ないで、とセットされた髪を気にせずに頭に両手を置いたら、あろうことが欲しがっていると勘違いされてさっきよりも強い力で食べられた。
「んぁっん……っ」
咥えている方のみならず、もうひとつの山も彼の手によってしっかりと揉みくちゃにされていて、テーブルからぶら下がる爪先に力を入れてただひたすら耐え続けるしかない。
そんなだから私のあそこはもう随分と前から濡れ始めているのに、一向に次に進む気配がない。もしかして、このまま一生胸を触られて終わり?なんてそんな訳ないのにそんなことしか考えられない。
「ぜ、の……っ?はやく、」
「そう可愛くねだられたら、逆に無視してみたくなってしまうな」
「もう、ゼノっ!……おねがい、だから」
「分かった分かった、今日はお詫びの意味も兼ねているからね。君に従うことにしよう」
「ひゃっ、ぁ」
と、顔を離すなり突然下を触られた。下着越しに指を数往復させた後、彼は下腹部にキスをしてから布の間に手を滑り込ませてくる。普段白い手袋で手厚く保護された彼の両手は傷一つ存在しない。
「脱いでくれ」
ゼノはいつも私に自分で服を脱がせようとする。たぶん
もしかして、ゼノがあまり
「いつも僕の物」
「ゼノもでしょ?毎日毎日同じようなことして」
毎日科学と向き合っている。
「同じ日など一日たりとも無いさ。毎日色々なことばかりだよ。」
「それ仕事の話じゃないの」
「はは、君は本当に揚げ足取りが得意だな」
ゼノの小言が多いから、なんでも反応するようになっただけ。
「素直じゃない君も可愛らしいよ」
とりあえず可愛いと言っておけばいいと思っている。
ゼノの素手を見たのは五日ぶりだ。シャワーを終えた彼と廊下で出くわした時に見た。
その短く切りそろえられた自前の爪は私の体に傷一つ付けることはない。
ずっと前からそうだ。意地悪な態度を取るくせに、意地悪なことを言うくせに、私に触れる手つきは信じられないほど優しくて、その口から紡がれる甘い愛の言葉はいとも容易く私を懐柔させる。
「ねぇ、ゼノ」
ゼノは何年経とうと甘えたがりな私が愛らしいと思っているようだけど、私は何年経とうと私を想う気持ちが変わらない、彼のそういうところが好き。
「ふふ、知っているよ」
あああ
私に向ける微笑みとか、この世で最も希少なものでも扱うような柔らかい手つきとか。私のことなど全て知り尽くしていると言わんばかりの表情とか。振る舞いとか、仕草とか。
「しょうがないから、それでいい」
「良かった。愛してるよハニー」
その口から紡がれる甘い愛の言葉とか。
「ゼノ。……私も、」
好き。たとえどんなに世界が変わろうと、私を想う気持ちが変わらない、彼のそういうところが好き。
「ふふ、知っているよ」
何年経とうと、額に的ができようと、彼の内面は変わらない。私の好きな彼はずっとここにいてくれる。ずっと、たとえまた何千年経過したとしても、それどころか何万年たった後でも。
……きっと私を同じように想ってくれるんだろうな、と思えるから私は彼のことが好き。ゼノが科学を好きな理由も、これとだいたい同じかもしれない。