クレイジーなゼノ先生しかいません。
過激な表現に注意。
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この一年間、彼女は僕の趣味に積極的に付き合ってくれた。たとえば、・・・・・・。
・・・・・・このことは僕らだけの秘密にしておこうかな。話せる範囲で言うと、彼女の体に僕の名前を彫った。メスを使って。右脚の大腿部の内側に。局部麻酔を打ったので痛みは感じない。だって痛いのは嫌だろう?そう尋ねたことがあるのだが、しかしながら彼女はそれを否定した。
「ゼノが与えてくれるものなら、なんでも欲しいよ・・・全部全部抱きしめたいの」
この子が口にする言葉は全て蜂蜜のように甘く、硫酸のように刺激的で僕を簡単に溶かしてしまう。おかしいな。僕は洗脳の類いは何もやってないはずなのに・・・何故、君はいつもいつも僕が欲しい言葉をくれるのだろうね。
僕が癒してあげたおかげで、結果的に脳が洗われたとでも言うのかい?
嬉しくなって、一度だけ麻酔を使わずメスで撫でたことがある。彼女は笑っていたけれど・・・とても痛そうだった。ああ、ダメだ。僕は痛がる君は見たくない。だから君の内側を見るのは、やはり君を殺してからにしよう。そう決めた。
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「ナマエ、君の体のことで少しばかり検証してみたいことがあるのだが・・・今から試してみてもいいかい?」
「っあ、ぁ・・・っはぁ、ん・・・」
「いい子だ。君はそのままリラックスしていて」
問題は、どんな方法でこの子を眠らせてあげればいいのかということだ。道具を使わないことは決定している・・・あれこれ考えたが、結局は絞首に行き着いた。
非力な僕でも体重をかければ事足りるし、彼女の顔を見ながら、彼女を犯しながら、彼女に微笑みかけながら殺すことができるから。
ということで、何度か実験をしてみることにした。彼女の場合、気道を塞ぐ際にどのくらいの時間と力をかければ意識が飛ぶのか・・・そして生命活動が停止するのか。しかし、そこまで行くにもまずは慣れが必要だ。
実際、初めての時は彼女を酷く困惑させてしまった。以前僕がプレゼントした、僕とお揃いのチョーカーに両手を添えると彼女は不安そうな顔で見上げてきた。
「・・・ぅう、ぁ・・・っぜ、ぜの・・・?な、なに、するの・・・?」
「ああ、そんな顔をしないで。大丈夫、ほんの少しだけ・・・」
一度目は本当に軽く力を入れるだけ。そこから性行為を重ねる度に徐々に徐々に手に込める力を強くしていった。
「あぁ・・・いいよ、その調子・・・。いい締り具合だ。・・・っあぁ、・・・っ!」
この僕でも性欲には勝てないことは自覚している。実際何度か実験そっちのけで達してしまったこともある。
そもそも、セックス中の首絞め行為はやや過激なプレイを好む者たちの間でよく行われていることだ。行き過ぎた結果、意図せず殺人事件になることもある。
相手の性別はあまり関係がない。その概要は、挿入した状態でボトムの首を絞めることで呼吸困難を引き起こし・・・その苦しみからくる生理的反応で膣かもしくは肛門の筋肉を収縮させる。
トップは強い快楽を得る。さらに文字通り相手の命をその手に握っているので、支配欲に満たされ悦に入る。
「ん、はぁ、っはぁ・・・」
「苦しかったかい?ナマエ、必要なことなんだ。許してくれ」
「っ・・・へ、へいき・・・」
「よかった。それなら少し休憩して・・・今度こそ気持ちよく終わろうか」
僕は彼女を支配することにはあまり興味がないが・・・どうせなら一番気持ちのいい状態でこの子の時を止めてあげたい。そうしたら、必然的に僕のことだけを考えながら逝くことができるだろう?だからこそ安楽死の類いもなしだ。慣らすことができれば絞首でも苦しまずに済む。理論的にはな。どうしてもギリギリまで意識があって欲しいのだ。彼女の最後は僕がいい。最後の最後まで、彼女の全てを僕でいっぱいにしてあげよう。
・・・ああ、そういえばこの思考を支配欲と言うんだったか。なんでもいい、とにかく僕はそのためにこの一年間彼女の性感帯を僕好みに開発してきた。彼女のことなら熟知している。あともうすぐで・・・内側から撫でてあげられる。そろそろあれの準備も整ってきたことだしな。
「市販のものより、やはり手塩にかけて手作りしたものでないとな。ホルムアルデヒドの37%水溶液を用意するには・・・」
「・・・ぁ、・・・ぜ、の・・・?っ、ぁん」
「ナマエ、どうかしたかい?」
ああ、聞き慣れない?しかし、これは以前君に教えたことがあるはずだよ。確かに覚えているから間違いない。・・・君は本当に可愛いな、そんなに顔を赤くして必死に僕の名前を呼んで。セックス中は頭が回らないようだね。対する僕は自分のペースで動いているからとても余裕がある。
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質となるものだ。とても身近な物質で・・・ああ、それをどうするのかって?
「・・・ちが、・・・ぜ、の・・・っ」
「ふふ、分かっているよナマエ。関係ないことばかり考えていて悪かった。・・・大丈夫だ、僕の頭にあるのは君だけだ」
「あっ、あぁっ!・・・んっ、ぁあ・・・」
「おや。もう果ててしまったのかい?僕もそろそろ・・・ナマエ、もう一度中に出してやるから、あと少し付き合ってくれ」
さて、せっかくだから改めて教え直してあげようか。そうだな、なるべく分かりやすい説明を心がけるならば・・・ホルマリンと言えば聞き覚えがあるだろうか?まあ、アルコール、サリチル酸、グリセリン等々他にも色々と必要なものはあるのだが、君をこのままの状態で永遠に僕のもとに置いておくために、ずっと前から準備を進めているところだ。
人間を美しく綺麗な状態のまま半永久的に保存する、まさにエレガントな死体防腐処理は、既に1920年頃にシチリアのとあるエンバーマーが実践している。科学はどれもこれも先人たちの英知の結晶だ。ぜひとも参考にさせてもらおうじゃあないか。
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後は、この子の身代わりが必要だ。僕らは少し前に郊外に新居を構えた。これから家具や荷物を運んで引越し作業をするところなのだが・・・その際、彼女を戸籍上『死んだことにする』ための身代わりの死体が要る。
背丈、体重、骨格、病気の有無など全てが彼女に類似した人間はもう見つけてある。DNAが残らないように焼死体にして・・・顎周辺に手を加えて歯型も似せておいた方が得策か。DNAが残らないくらいだから判定は困難を極めるだろうが、状況証拠があればカタはつく。これで僕は、誰も知らないところでゆっくりと君を見送れる。
僕は仕事を止め、彼女は大学を止めた。この時のために稼いで来たから金の心配は要らない。スタンの援助もあることだしね。君と二人で穏やかに暮らしたいと、そう伝えたら彼女は自分の胸に手を当てながら嬉しそうに頷いてくれたのだった。
「約束したでしょう?私の『ハート』はもうゼノのものだから」
元々現実逃避をするためだけに勉強をしていたのだからな・・・その集中が僕に向いたおかげで、彼女の大学に通う意思は簡単に崩れた。
僕としてはせっかくだから最後まで学業に励んでほしいと思わなくもなかったが、そんなことを言っている余裕がなくなってしまうくらい僕の心が持たなかった。もう駄目だ。早く君を殺したい。これでも抑えてきた方なんだ。
「ナマエ・・・愛しているよ」
満を持して迎えた彼女の二度目の誕生日。
この子の最後は僕の腕の中だった。
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「・・・っはあ、・・・ん、」
死後硬直はアデノシン三リン酸の減少に伴う筋肉硬化によるもので、死後数時間で発生する。死因や個人差により硬直の度合いはさまさまだ。一般的に顎関節周辺の頭に近い部位の筋肉から始まり、徐々に下半身へ進行して・・・そして遅くとも12時間ほどで全身に広がって、その後また数日かけて腐敗と共に解除されていく。
この子は今のところその反応があまり見られない。もともと死後硬直が起こりにくい体質なのだろう。珍しいことではない。筋肉量の影響で男性よりも女性の方がそういう傾向にあるのだ。それでも窒息による急死ということで、ある程度は固まってきたように思う。ベストは今だ。今が一番適している。・・・いやベストもなにも、彼女はいつでも最高だ!そこのところ勘違いしないでくれ。
「あぁ、・・・静かになっても、っあ・・・君は美しいな・・・」
美しく、優雅で、僕の愛をめいっぱい受け入れてくれるラブドール。
何度目かの射精を終え、体温のなくなりかけた唇に口付けをしながらそのままの状態を保つ。男性のオーガズムでは特に著しい性行後憂鬱に襲われる間、気を紛らわすように深呼吸を繰り返した。
その後ゆっくりと引き抜いた。彼女の体に手を滑らせていく。気がつけば、鬱血痕と歯型が至る所に散らばっている。これは僕がやったのか。無意識だったが、その分余計な傷をつけてしまったな・・・まあこれはこれで悪くない。ああそうだ、ナマエ。こんな時にいきなりですまないが。
誕生日おめでとう。
・・・色々な意味を込めて。
プレゼントは、安直に僕だとでも言っておこうか。というのは冗談で・・・きちんと用意がある。物自体はこの子にもう見せているけれどね、僕はこうなった彼女にプレゼントしてあげたくて。
枕元に置いていた小さな箱を片手で開き、さっきまでより重く感じる彼女の左手を持ち上げた。そして薬指に輪っかをはめた。彼女の好きなピンクゴールドの指輪。色の揃ったネックレスともよく似合う。
もちろん僕の指にも同じものをはめた。
その後僕は自分の腕に手をやり、そこに刻まれた複数の印をなぞった。これは僕がこの子を愛した回数分のタリーマーク。ああいや、もちろん愛などは目に見えるものではないが・・・数えられるものは数えておきたい性分なんだよ。ただ一つ、この数字だけが僕の愛の全てではないことを分かってくれたらそれでいい。
ナイフを取り出し、今日の分の線を引く。狙ったわけではないのに5の倍数。
まず僕自身が服を着た。それから丁寧に彼女の体を拭いて、同じように服を着せ、髪を整え、化粧をして。
とても綺麗だ。・・・一刻も早く腐敗を食い止めなければならないが、保存作業はもう少し後にしよう。今は余韻に浸りたい。僕も身綺麗にしなければと、乱れた髪の毛にくしを通す。このあとスタンが家に来る予定だからな。きちんと身支度を整えてからベッドのへりに座り、頭を撫でながら時折キスを落とした。
そういえば、彼に角砂糖を買ってくるように伝えていたが・・・忘れてはいないだろうな。思いのほか消費が早くて、僕としたことが切らしてしまったのだ。
「君は甘くないと飲めないからね」
僕の大切な幼なじみにようやく君を紹介できる時が来た。さて、どんな話から始めようか。今夜僕らの新居のインターホンを鳴らすであろう彼に対して、最も最適な彼女の紹介文を考えるとしよう。