THE STONE WORLD


03

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「スタン、それを取ってくれ」

さっきまでずっと我慢していた反動が来たのか、スタンは部屋の隅で一生懸命たばこを吸っていた。私をベッドに運んですぐに窓際のイスに座って、すーはーすーはー煙を撒き散らしている。ゼノが無言で設置した扇風機で部屋を換気していなければ、今頃ここは煙だらけだったと思う。

「これか?」
「ああ、それだ」

ゼノはスタンから投げ渡された整髪料を少し手に取って手のひらで伸ばすと、膝立ちの格好のまま両手で前髪をかきあげた。

「さっきから邪魔だと思っていてね。やはりこうした方が君の顔が見やすい」
「よぉゼノ、今のしぐさエロい」
「そうかい。少し狙った」

やっぱりこだわりがあるのか頭頂部をほんの少し盛って、ある程度髪が落ちてこないところまで整えたら手に残ったそれをタオルで丁寧に拭き取った。
そして今度は別のものをスタンに要求した。次に投げ渡されたのは少し細長い容器。粘度の高そうな透明な液体が入ったそれを掲げながら、ゼノはにっこりと微笑んだ。

「マッサージをしてあげよう」

何かと思えば・・・ローション。あわよくばそれだけで終わらないかなあと、そんなことを思わなくもない。だってなんとなく察した。ゼノも焦らすつもりだ。やだ。こっちはもうスタンのでさんざん疲れているのに。

「さあ、うつ伏せになって」
「ぜ、ゼノはあんまり酷くしないでね」
「安心して。僕は君をリラックスさせたいだけなんだ」
「・・・・・・」

ゼノは変な嘘はつかないし・・・素直に従うことにした。許可を貰って下着を一枚穿いてから、うつ伏せになって顔の下に枕を敷くと、すぐに冷たいものが背中に落ちてくる。
思わず「ひ」と声を出す私のことを小さく笑いながら、ゼノはまず背中付近に手を滑らせた。体温で液体が温まるのを待ってから、手のひらで圧迫したり指圧したり、全身まるごと入念にマッサージしていく。
・・・正直に言うと気持ちいい。特に肩とふくらはぎと足の裏が最高。最近溜まっていた疲れが次第にほぐれていくようで、だんだん眠くなってきた。

「どうだい?」
「ん、いい感じ」
「それはよかった。じゃあ」

ゼノはそう言いながら私の体とシーツの間に両手を突っ込んだ。

「ここはどうかな」

遠慮もなく胸の脂肪を手で包み込むと、これまでと同じように手を動かしていく。少し驚いてつい体を浮かせたら、ますますゼノの手が入り込んできた。大きく揉んだり、先端を指でつまんだり。徐々に変な気分になってきて枕に顔を埋めるが、すぐ後ろから届く吐息のせいで無意識に体が震えてしまう。

「ナマエ、後ろを向ける?」
「う、うん・・・」
「いい子だね」

顔だけで振り向いたら、すかさずキスをされた。触れるだけの柔らかいキス。ゼノは相変わらず優しい笑顔で私を見つめていて、前を向くどころかむしろ見とれてしまった。スタンも悪そうな顔で笑ってないで、これを見習ってよね。
心の中で呟いていると、すぐ近くからベッドが軋む音が。

「なぁ、俺も混ぜて」
「スタン。休憩はもういいのかい?」
「なんか楽しそうなことしてっから」

さっきまで脱ぐ素振りは全くなかったのに、スタンはベッドにあがりながら何故か上だけ脱ぎ捨てた。気のせいかな、以前より体が大きくなってる気がする・・・。

「ナマエ、ほら」

ゼノと一緒に起き上がると、スタンが枕をどかしてそこにあぐらをかいた。両手を引っ張られて大人しく近づけば、「おお、ぬるぬるしてんぜ」という雑な感想と共に頭に手を置かれる。

「キスマークつけて?」

言葉の最後にハートマークがついてた。頭を傾けて、成人男性らしからぬ可愛い顔でおねだりされてしまったら、もう私は言うことを聞くしかない。

「・・・どこに?」
「ナマエの好きなとこ」
「そんなこと言ったら、見えるところにつけちゃうよ」
「え?いいけど?むしろ大歓迎」
「・・・・・・」

鎖骨の下に口をつけた。

「おいナマエ。もっと強く吸わねぇとすぐ消えんじゃん。これがねぇと、次またあんたらに会えるまで生きてけねぇ」
「それじゃあ僕のも必要かい?」
「いいね。お手本見せてやってよ」

ゼノが後ろから身を乗り出して同じところに口をつけると、しばらくして離れていく。すごい、色の付き方が違う・・・。素直に感動していたら早くもスタンに急かされた。
元の位置に戻ったゼノにまた体を触られながら、今度は少しずらしたところに吸い付いてみる。ゼノ、割と強くやってたけど痛くないのかな・・・でもさっきスタンにいじわるされたしちょっとくらい痛くしてもいいよね。
そう思って力を込めてみても、やっぱりゼノのより色が薄くて呆気に取られてしまった。でもスタンは満足そうに笑って「もっと」なんて言うものだから、いい気になって今度は肩にキスをする。すると、スタンの片手が背中を滑り降りて尾骨に触れた。

「早くさー、こっちも突っ込みてぇよな」
「まだ早いよ」
「指くらいなら良いじゃん?」
「それをやったら君は最後まで強行突破するだろう」
「分かる?」
「少なくとも今日はダメだ。浣腸のやり方から教えないと」
「分かってんよ、そんくらい」

また二人だけで変な話してる。その間もスタンは片手で私の頭を押さえつけていて、何個も何個もつけてつけてとおねだりしてくる。かわいいけどしつこい・・・そろそろ唇が疲れてきた。腹いせに噛み付いたら逆に喜ばれてしまって、なんともいえない気持ちになる。

「スタン、今は僕のターンだ。そろそろナマエの口を貰っても?」
「ああそうだった。つい」

二人の間でひっくり返されると、選手交代をするかのようにそれぞれ役割が逆転した。スタンがローションを追加して全身を揉みしだき、ゼノはセーターをようやく脱いでシャツのボタンを外し始めた。
でも二個くらい外したところで手を止めて、スタンのマネをするように「僕にもつけて」と言い出す。・・・キスマークはいいけど、やっぱりこのまま焦らすつもりなのかな・・・私はいつまでもどかしい気持ちでいなきゃいけないんだろう。
手が濡れていることをちょっとだけ気にしながら、彼のシャツをぎゅうと握る。

「ぜ、ゼノ・・・」

私はこんなにされてるのに、ゼノは未だに余裕そうな顔で。むずむずさせるのが狙いなのは分かるけど、このままじゃ精神的に疲れてしまいそうですぐに折れてしまった。

「なんだい?」
「・・・は」

恥ずかしくって、でもぽかぽかの頭じゃ他のことが何も考えられなくて・・・小さな小さな声でぼそっと呟いた。

「は、はやく、ゼノの・・・ほしい」

すぐに上からスタンが覗き込んでくる。

「え?なにそれ?俺じゃなくていいの?」
「・・・スタンはさっきやったじゃん」
「俺ん時にも言って!超かわいいから今の」
「うるさい。スタンうるさい」

スタンの頭をべしべし叩いて黙らせようとしたら脇腹をぎゅうと握られた。痛い!
そんなことより、スタンが突っかかってくるばかりでゼノが黙り込んでしまった。不思議に思って声をかけると、彼は突然膝で立ち上がってぺたぺたと自分の顔を触り始めた。

「はあ・・・まったく、なんてことだ・・・あまりの可愛さにフリーズしてしまったよ・・・心臓が止まってしまったかと・・・なんてことを言うんだ、君は・・・」

小さな声でぶつぶつ喋り出したかと思えば、突然大きな声で「エレガント!!」と叫ぶ変な男の人が目の前に・・・おまわりさんここです。その変な人はすぐに戻ってきて、私を抱きしめながらよしよしと頭を撫で始めた。

「分かったよ。あんまり焦らしてもお互い辛いだけだ。やはりスタンの真似事をするのはやめよう、僕らしくないことをしたね」
「ゼノらしくない、ねぇ」

スタンの意味ありげな呟きに振り返った。

「ナマエには『どこに何が欲しい?』って聞かねぇの?悪い顔してさ」
「ナマエにそんな意地の悪いことをするわけがないだろう!」
「俺とナマエで性格変えんのマジで器用なやつだよあんた!」

・・・・・・どういうこと?一人でクエスチョンマークを浮かべていると、スタンがぬるぬるの私を背後からぎゅうと抱きしめてきた。

「ナマエ、知んねぇだろ?こいつ俺の上に乗っかったらホンっトやばいから」
「・・・やばいの?」
「ほら、たぶん俺を実験体かなんかだとカン違いしてんだよ。だから色々あんなことやこんなことを・・・」
「実験体?それは言い過ぎだ。だが確かに、僕が興味のある体位や玩具や媚薬の類いはあらかた試させてもらったよ。君の体で」

ゼノ先生?

「その発言だけでもうアウトだろ。死ぬほど疲れっし俺もハマりそうで怖ぇから、たまにしか抱かせてやってねぇの」
「君はただでさえ大変な日常を送っているからね。まだまだ試したいことはたくさんあるというのに」

ゼノがスタンに厳しめなのは知ってたけど、なんか色々とやってるんだなあ・・・。

「そ、それってどんなことするの?」

何気なく尋ねたあと、ちょっと後悔した。

「興味があるのかい?」
「え、いや」
「興味があるのなら、ナマエにも少し教えてあげようか」

いきなり目の色が変わった。まるで私の体をじっくり観察するような・・・思わず全身がぶるっと震える。スタンがさっき言ったことが少し分かってしまったかとしれない。なるほど・・・これがモルモットになった気分か・・・こんなの知りたくなかった。

「あーあ。その気になっちまったよ」
「スタン、たすけて」
「覚悟しときな・・・ゼノ先生の授業はスパルタだぜ」

そんなことを言いながら全く止めようとしないスタンはやっぱりスタンだった。ばか!

「さて、ナマエ。今日の僕は困ったことに道具諸々が手持ちになくてね。だから、今回はいつもと違った体勢でやってみるというのはどうだい?」
「・・・ち、違った体勢って、どんなの?」
「例えば・・・そうだね。ナマエ、横向きに寝転がって」

なんだか怖い。おそるおそるスタンの腕をほどいて、言われた通りに右を向いて寝転がる。すると予告もなく上側の足を思いっきり持ち上げられた。
ゼノは残された方の太ももにまたがるように近づいてきて、持ち上げた足を自身の左脇で抱えた。つまり、いつもと90度くらい角度が違う・・・。

「ちょっと恥ずかしい、この格好・・・」
「君と二人の時はいつも向かい合うことがほとんどだからね。でも、スタンと一度くらいはやったことがあるだろう?」
「あるけど、スタンがむりやり・・・」
「無理やり?・・・・・・君・・・」
「あぁ?んだその顔、あんたナマエの保護者かよ!いや無理やりっつーか、流れでそうなっただけだっつの」
「そうかい。そういうことならなしだ。僕は無理強いなんかしない」
「無理やりじゃねぇって!」

私の足をおろすと、そのままどうしようかと考え込むゼノ。・・・あれ?ゼノの好きにされると思ったのに。

「えー、ぜんぜんスパルタじゃねぇじゃん。ずりぃよナマエもいじめてやんなよ」
「スタン、君がそういう発言をする度に、僕は次にどんなことをして君を可愛がってやろうかを考えていたりする」

スタンは口を閉じた。

「じゃあナマエ、やっぱりまずはいつもの正常位でいこうか。心の準備もなくいきなり変えても君に負担がかかるだけだしね」
「・・・わかった。ありがと」
「どうせこの後スタンが色々企んでいるみたいだし・・・。僕は君が気持ちよくなってくれたらそれでいい」

ゼノの後ろに後光が見える・・・。
やっぱりゼノは私には優しかった。スタンどんまい。

「せっかくだからそれを使おうか」

ベッドの端に転がっていたローションの容器を指さして、もとの笑顔に戻るゼノ。
さっきスタンにもぬるぬるにされたところなのに・・・ゼノはまだぬるぬるにするつもりらしい。

「スタン、取ってくれ」
「ほらよ」
「それからナマエの体を仰向けに」
「ああ」
「暇だったら、手を押さえていてもいい」
「ラジャー」

ゼノの指示通りにローションを投げ渡し、私を仰向けにし、さらには頭上で私の両手を拘束する。スタンがゼノに従順・・・。その割には上から覗き込んできた彼はとても楽しそうに笑っていた。

「さっきイキ顔見てねぇから、今度はじっくり見させてもらうぜ」
「・・・・・・そんなの見ないで」
「なんならビデオに残してぇんだけど」
「やだ!」

悪い顔をして笑うスタンに、いやいやと首を振る私。その間にゼノは最低限私が身につけていた下着を最後までずりおろし、両手をぬるぬるにして膝をつついてきた。

「ほら、ナマエ。脚を開いて」

今更恥じらいなんて感じていてもしょうがないので言う通りにする。うそ、恥ずかしいのは恥ずかしい。少しづつ開こうとする私に、ゼノは待ちきれないとでも言うように結局自分の手で全開にした。

「最初から二本入りそうだね」

さっそく手で触れると、十分に濡れていることを確認してからいきなり二本入れ込んでくる。ローションのおかげで抵抗なくするりと全部入った指を、少し動かしてからすぐに抜いた。
それから指先を少し拭いて、遂にゼノが下の服をおろしていく。

「あんた涼しい顔してそんなん隠し持ってたのかよ」
「僕も結構限界だったさ」

言いながらゴムをつけて、ローションでほぐし、入口にあてがわれる。いつもよりぬるぬるしているから先程の指とそう大差なく・・・簡単に全部入ってしまった。
上に覆いかぶさってきて一度キスをすると、近くから微笑みかけられた。

「動くよ」
「あ、う」
「まだ駄目かい?」

ろくな返事をしない私に、ゼノはそう尋ねてくる。・・・早く動いてくれていいのに。さっきのスタンは制止を無視してわざと動き出したけれど、今のゼノもたぶん同じでわざと動いてくれない。でも意地の悪さで言ったら圧倒的にスタンの方がやばいから、あんまり気にはならなかった。

「い、いいからはやく・・・」
「分かった。深呼吸して」
「ん、・・・ぅ、あっ・・・」

ゆっくりゆっくり動き出すゼノ。すぐにいつもとの違いに気がついた。滑りがよくて変な感じがするし、簡単に奥まで届いてあっという間に体温があがっていく。
スタンに手を押えられていてどこにも掴まることができない。それに真上から顔を覗き込まれているから、恥ずかしくてたまらなかった。その視線から逃れるように、じっと目を閉じて横顔をシーツに埋めた。

「ん、っあ、・・・んっ、ぅ」
「・・・あー、早くヤリてぇ」
「スタン、露骨に急かさないでくれ」
「あんたもさっき急かしたじゃん」
「ふふ、そうだったかな」

ゼノはまだ少し余裕そうに笑いながら、思い出したように私の肩に噛み付いた。さっき私がキスマークを付けそびれたからか、逆にゼノが到るところに吸い付いて次々にマークをつけていく。それに満足したら、ゼノはゆっくりと上半身を起こした。

「ナマエ、これだけいいかい?足を開かずに僕の肩に乗せてみてくれ」
「・・・?う、うん、っぁ、ん」
「いつも通りとは言ったが、これくらいなら構わないだろう?」

両足首にゼノの手が添えられ、そのまま上に持ちあげられた。足を上げるだけだから姿勢的にはそんなに違いがないけれど・・・足で踏ん張れない上に、ゼノに無防備な私をじっと見下ろされていて、羞恥心が増してくる。
それに足がほぼ閉じてしまったからさっきよりも締りがあるような気がする。それなのにローションのおかげで滑りがいいから、ゼノは止まることなくどんどん動きを早めた。

「ぁ、あ・・・ゼノ・・・っんあ」
「やあナマエ。気持ちいいかい?」

気持ちいい。好きなところを的確に擦られてる。反応で分かったのかゼノは小さく笑って応えてくれた。その顔はずるい。

「・・・ぁ、ゼノ、」
「ん?」
「っ、・・・す、すき・・・っあ、」
「僕もだよ」

しばらくしたら、ゼノの髪がだんだん落ちてきて真っ赤な顔を少しだけ隠した。片手で髪をかきあげながらさらに動きを早くするゼノに見とれていると、次第に全身が熱くなっていく。

「っあぁ、や、っあ・・・あぁっ・・・!」

だめ、いっちゃう・・・それを伝えようと口を開きかけたら、いつの間にか体の向きを変えていたスタンに塞がれてしまった。
その瞬間、大きく体がビクついて、両足ともシーツに落ちてしまう。その後、すぐに袋越しに私の中にゼノのが吐き出された。

「はぁ、ナマエ・・・」
「っはあ、はぁ、ん、」
「可愛いよ・・・スタンに負けず劣らず、僕も愛しているからね」

やっぱりゼノは素直に気持ちいい。するりと抜かれていく感覚まで気持ちよくて幸せな気分に浸っていると、どこかから「よおし」と意気込むスタンの声が聞こえてきた。やだ、めちゃくちゃ嫌な予感がする・・・。
まだ息切れしているゼノに、やけに楽しそうな声で話しかけるスタン。

「ゼーノ、あんたのネクタイ借りんぜ」
「・・・ん、別に、構わないが」
「ちょっとシワつくけどいいか?」
「新品なんだよ、それ・・・あまり気乗りはしないな」
「そんじゃあ明日、デートついでにショッピングいこうぜ。新しいの買ってやんよ」

スタンはまるで最初からこう決めていたかのように、未だに肩で息をする私の目元を迷いなくそのネクタイで覆い隠した。

「あ、もちろんナマエにも好きなもん買ってあげっからな。欲しいの考えときな」

・・・暗闇の中ですぐに決めた。めちゃくちゃ高いものおねだりしよう。大人なんだからそのくらいは余裕だよね。でも、私自身が明日ちゃんと歩けるか心配・・・。
ていうか休ませて・・・。



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