Training camp - in Irupinet Hotel -:Come out



一方、紀伊梨が行ってしまった直後、紫希と小口は買い物をしていた。

「買ったら、アイスだけ持って戻っててくれる?」
「え?小口さんは・・・」
「俺は飲み物持ってあっちを迎えに行くよ。前みたいな事になってると、大人が割り込んだ方が良いでしょ・・・って。」

「よっ!」

もうちょっとで紫希は声が出そうになった。
後ろから両肩に手を置かれて死ぬほど驚いている紫希と、とっても楽しそうな丸井の落差に、見ていた小口はどうしても笑ってしまう。

「・・・・!」
「丸井君、びっくりさせないであげてよw」
「ははは!悪い悪い。びっくりした?」
「・・・・・・」

ブンブン首を縦に振ると、丸井はまたおかしそうに笑った。

「というか、どうしてこんな所居るの?部活は?」
「ああ今ちょっと休憩してるグループと、そうじゃない方に別れてて、」
「丸井ー!」

知らない男子の声がして、紫希はまた体に力が入った。
対して丸井はあくまでリラックス顔なので、小口はつくづく肝の太い子だとちょっと感心している。

「そろそろ集合・・・って、お前何やってんの?誰そいつ?」
「此奴?昨日友達になったんだよ。財布拾ってくれて。な?」

マジか。話進めちゃうのか、マジか。
な?って顔を覗き込まれても、紫希は返事できない。

「・・・・・」
「ま、ちょっと無口だけど。良いやつなんだよ。」
「はー・・・お前何か、不思議と大人しいタイプが好きというか、よく友達になるよな。あの、誰だっけ。ビードロズの、春日?さん?とかもそうだけど。」

心臓が口から出そう。
この状況で自分の名前出されることが、どれだけ心理的にきついか。
しかしバレそう、怖い、まずい、ひいいい・・・な心境になっているのは紫希の方だけらしく、丸井はあっけらかんと笑って言う。

「別に大人しいのを選んでるわけじゃねえけど?」
「え、でもさ。そもそも親友の桑原からして、」
「大人しいからとかじゃなくて、俺は此奴が好きなの。」

(・・・・!)

心臓が高鳴った。
やめてほしい、ただでさえ緊張とプレッシャーでドキドキしてるのに。

「春日とかジャッカルもそうだけどさ。」
「はーん。」
「ま、それはそれとして、遅れたら困るし行くか。」
「ああ!そうだったそうだった、呼びに来たんだ!」
「じゃ、またな!」

肩を最後にポンと叩いて、去り際にウインクをして丸井は駆けて行った。

「ーーーーはあ・・・・!」
「いやあ凄いなあブン太君はwあんなの真似しようと思ってもなかなか出来ないわw」

今のを付き合ってもいない女の子に出来るのは選ばれし者だけだろう。
大人になると使えなくなる手だなあ・・・なんて一瞬小口は思ったが、丸井なら大人になっても使えるかもしれない。

「あ、そうです紀伊梨ちゃんが・・・」
「そうだったそうだった!じゃあ、さっき言った通りに。」
「はい!」

紫希は小口と分かれて、来た道を戻りだした。
なんだか、肩がさっきより熱い気がした。

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