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「・・・・・」
柳生はステージの袖で思案していた。
何かおかしい。違和感を感じる。
(具体的にどう・・・と言いづらいのが悩ましい所ですね。)
紳士、柳生。
そう綽名される彼だが、別に思考が固いわけでは無い故に、自分の直感にはそれなりに信頼を置いていた。
(落ち着くのです、柳生比呂士。違和感を感じるという事は、小さいだけで違和感の種になる物が必ず有る筈。それを見つけなければ。)
大人用の間違い探しに似ている。
ザッとマクロに探して見つからなければ、ミクロに。
フレームを切り取り、微に入り細を穿ち探索しなければ。
この胸のざわめきの元を。
「・・・ん?」
柳生は2階作業用通路の、上手側に目をやった。
あのライト。
あれは確か、出さない筈ではなかっただろうか。
生徒会メンバーである2年の女子生徒が、せっせと熱心に配線しているが。
「・・・ふむ。」
この紳士は、実は思い立ったら行動は素早い。
しかし頭が良い故に失敗しない辺りは、棗と少し似ている。
舞台袖の奥に引っ込み、階段を上がり、通路を抜けてさっき見た位置に向かう。
(・・・おや?)
通路前の附室まで来た時だった。
まだライトの所まで辿りついていないが、さっき配線していた2年生が居た。
配線が終わったのだろうか。しかしそれはそれとして、様子がおかしい。
(あの目の動き・・・何かを気にしているような・・・)
何かか。
それとも誰か、なのかもしれないが。
「・・・瀬戸先輩。」
「あ。柳生君・・・」
どうかしたの。
そう言って力なく笑う瀬戸は、やはり元気がないように思う。
(・・・これは。)
「いえ。ただ、顔色が悪いようにお見受けしたものですから。」
「・・・そんな事ないよ?」
どう考えてもそんな事ある風である。
しかし、柳生は敢えて引いてみる事にした。
「・・・そうでしたか。では。」
「あ・・・・!」
呼びとめる瀬戸の声。
柳生は立ち止った。
「・・・なんですか?」
「あ・・・ううん!なんでもないの!それじゃ・・・」
パタパタと駆けて行く瀬戸。
その背を柳生は一先ず見送った。
「・・・これは調査が必要ですね。」
柳生の呟きを聞いた者は居なかった。
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