First RAINBOW FESTA:Without worrying
最初のグループの演奏を聴き終え、可憐は口をポカンと開けていた。
「可憐ちゃん。」
「・・・・」
「可憐ちゃん?」
「す・・・」
「す?」
「す、す、すごい!凄い、凄いね忍足君っ!」
「ああ、凄いけど、」
「だよねだよねっ!私ライブって初めてちゃんと見たけど、こんなに凄いんだねっ!迫力が違うっていうか・・・圧倒されちゃったよっ!」
おおはしゃぎの可憐に、忍足は小さく微笑んだ。
楽しそうで何より。
「でも確かに正直なとこ、言うてアマチュアやと思うてたけど完成度高いな。」
「そうだよねっ!わああ、何か元々楽しみだったけど、ますます楽しみになってきちゃったっ!早くお昼過ぎにならないかなあっ!」
「そうやなあ。」
でもこっちは高校生であっちは中学生だから、結構完成度に差があるかもよ。
とは思ったけど、言わないでおいた。
こんなにテンション上がってるのにわざわざ水を差すこともないと思うし。
それにちょっと、ビードロズだったらひけを取らない完成度かもしれない、と思ったから。
「謙也も凄いてめっちゃ言うとったしなあ。」
「えっ?従兄弟さんっ?」
「ああ、この間個人で連絡とって、オンラインで見たんやて。」
「そうなのっ?でもやっぱり凄いんだねっ!」
「それでは皆さん、好きグループの方のバンドを上げる準備は出来ていますかー?」
「あ、ああっ!ちょ、ちょっと待ってっ!ええとどうしよう、どっちにしよう、」
「・・・・・」
「ええと、ええとっ!甲乙つけがたいけど、こっち・・・忍足君っ?何笑ってるの?」
「いや、満喫してんなあて思うて。」
「えっ!?う・・・い、いや、してるんだけどっ!」
「ええことやんか。折角こうして、暑い中時間割いて見に来てんねんし。」
言いながら自分の腕を軽く上げる忍足を見て、可憐は喜ばしくなった。
「・・・うんっ!」
忍足が楽しそうな所を見るのは、嬉しい。
一方、楽しいとかそういうシンプルな言葉で片づけられない感情を、ビードロズは抱いていた。
「・・・・・す、凄いです・・・」
「さっすが高校生w」
「完成度高いね。」
「・・・・・・」
「レベルの高い勝負ですね。」
「うむ、甲乙つけ難いな。」
「どっちが上手かったか・・・なんて、わからないよな。俺達には。」
「気に入った方で良いんじゃねーの?」
「・・・・・・」
「ここまでの高レベルの競争だと、好みの差が大きくなってきてしまうな。」
「まあ、オリジナル曲も可とされているからね。曲の聞きやすさというか、キャッチーさも含めて、実力とするべきかな。」
「・・・・・・」
「・・・おい。おい、五十嵐。」
紀伊梨はさっきからずっと黙っていた。
ずっと黙って、じっとステージを見ていた。
「五十嵐、聞いとるのか!お前はーーー」
「弦一郎。」
「む・・・」
「五十嵐は今、考え・・・てはないかもしれないけれど、感じているんだよ。自分に必要な何かをね。」
素敵なステージだった。
そしてそれ以上に、力に溢れたステージだった。
高校生のスキル。経験。中学生のバンドとは違うという事を、改めて見せつけられたように思う。
何だろう、この気持。
負けたくない、みたいな、勝負に勝ちたいのと近い気持。
でも、相手を負かしたいんじゃない。
相手より優れていたいんじゃない。
そう、敢えて言うなら。
「・・・・皆!」
ビードロズの他3人は紀伊梨を見た。
こういう時は、リーダーから指示が飛ぶ。ちゃんと聞いておかないと。
例え、それが難しくても。
「この中で、どこよりいっちばん、沢山沢山楽しくやろーね!」
スキルとか、経験とか。
そういうのは、ビードロズはもう「ある程度」持っていると思う。
「ある程度」で良い。
そこから先は、カリスマ性の話だ。
そしてそのカリスマ性は。
自分達が誰より自分達を素晴らしいと思うところから始まる。
勿論それは、周りが素晴らしければ素晴らしいほど難しい。
自分なんてという卑屈さも、悔しいと思う競争心も、余計な事は全部捨てなければいけない。
ただ、その瞬間だけを感じ続けなければいけない。
でも。
「「「はい!」」」
我らがリーダーが、そうせよと言うのなら。
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