Aroma
「お早う御座います、真田くん。」
「うむ、良い朝だな。」

真田に挨拶する紫希を見て、普通にお早うと言えないのだろうか彼奴は、と千百合は少し離れた席で思った。

紫希は鞄を自分の席に置いて、何気なく千百合の元へ行こうと真田の机の前を通った。

時。

「・・・む?」
「え?・・・真田くん、どうかなさいましたか?」
「あ、いや。気の所為か、何か茶葉のような香りがしてな。」
「あ、それはお抹茶の香りかもしれません。」
「抹茶だと?」
「はい。今日は抹茶とホワイトチョコレートのパウンドケーキを持って来たんです。」
「成る程。確かに言われてみれば抹茶のような・・・」
「今朝、制服を着たまま焼いてしまったので香りが服についたのかも・・・すみません、気になりますか?窓を開けておいた方が・・・!」
「いや、そんなつもりで言ったわけではない。それ程強く香るわけでもないし、不愉快な香りでもないから、気にするな。」
「何あんた香りがどうとか変態臭い事言ってるの、女の子に向かってさ。」
「なっ!?」
「あの、千百合ちゃん、真田君はそんなつもりではないんですからそういう言い方は、」

紫希は慌てるが、千百合はどこ吹く風だ。

「紫希、嫌なら嫌って言って良いんだよ?此奴基本自分が1番正しいと思ってるんだから、良くない事はそう言ってやらないと。」
「おい、どういう意味だ黒崎千百合!まるで俺が驕った人間のようではないか!」
「なんだ、ちゃんと分かってるんじゃない。」
「何を!?」
「やるか?」
「止めて下さい、2人とも!」

どうしてこう、寄ると触ると喧嘩になるのだろうか。

入学してからもう5日が経とうとしているが、この5日で千百合と真田の口喧嘩を見なかった日はない。
お互い嫌いあっているわけではないのだろうが、どうもなんというか。
なんというか・・・

(・・・言ったら怒られるでしょうから言えませんけれど、多分、微妙に似ているんですよねこの2人・・・)

同族嫌悪と迄は言わないが、似ているだけに相手のアラが見つかると、まるで自分のアラのように見えてしまって突っ込まずにはいられないのだろう。

千百合も真田も、双方自分に厳しい性格をしているから尚更だ。

これはその内幸村に話を聞いてもらう事になるかもしれないと思いつつ、今日も紫希は間に入るのだった。


2/7


[*prev] [next#]

[page select]

[しおり一覧]

1年1学期編Topへ
1年夏休み編Topへ


-