Learn 2
「ひいいいもうこんなに減ってる・・・!」
5月とはいえ、今年の5月は暑い。
ドリンクの減りのペースを4月と同一視していたら、無くなるのはあっという間だ。
(ちょ、ちょっと待って、これだと後持つ時間がこの位で、追加を作るには2人居るから私はやるとしても後1人、)
「だ、誰か、誰か空いてる人探さないと・・・!」
「呼んだ?」
「・・・忍足君!?」
呼んだか呼んでないかと言われたら呼んだけれど。
「どれ・・・もうあらへんな。行こか。」
「い、行こかって、」
「ドリンク作るやろ?」
「い、良いよっ!私やる・・・じゃなくて!誰か他の人探すからっ!」
「でも多分、今手空いてる人居らへんで。」
「あう・・・!」
忍足だってマニュアル作りを手伝っていたのだから、マネージャー達がどういう動きしているのかは大体把握している。今の練習状況から考えると、手の空いてる人は次の仕事を直ぐ見つけて、そっちにかかってしまうに違いない。
「でも忍足君も自分の練習がっ!」
「俺その辺上手い事出来る方やからええねん。行こ。」
「あっ!待って、待ってっ!」
空のタンクを2つ手に持って、部室棟に向かおうとする忍足。
その片方を可憐が慌てて取ろうとすると、忍足は笑って持たせてくれた。
「そんな重いもんでもないねんから、持たせといたらええのに。」
「駄目だよ、悪いよっ!」
「茉奈花ちゃんとか、いっつも遠慮のう持たせるで?有難う、流石ね、とか言うて。」
「ああ・・・」
ありありと想像出来る。
有難う侑士君!さっすが、頼りになるわ♪と言って、にっこり笑ってウインクを飛ばす網代の姿が。
「で、でもなんていうか・・・それは茉奈花ちゃんの特権って言うかっ。許される人と許されない人が居ると思うから・・・」
「ああ、そういうのはあるなあ。他の奴らがああせえこうせえ言うのを見たらなんやねんて思うけど、跡部が言うてたら自然に見てまうのと同じやわ。」
「あははっ!そうだね跡部君って、何言っても跡部君だからで納得しちゃうよねっ!」
それはなんというか、所謂キャラクターと呼ばれるものなのかもしれない。
同じ事を言って同じ事をしていても、人間が変われば対応は変わる。
でも。
「・・・可憐ちゃんかて、言うてええねんで。」
「へ?」
「手伝うて、あれやってこれやって、っていつでも。俺とか。・・・岳人とか、宍戸とかにも。跡部は断られるやろうし、ジローは起きてられへんやろうけど。」
「でも、」
「そら、性格上にっこり笑うてお願いねとは言われへんかも知らんけど。でも俺達、可憐ちゃんに頼まれるんやったらどないかするわ。」
「ううん・・・でも選手なのに、」
「選手やけど、友達やで。」
そりゃあ確かに部活はあくまで部活なのであって、活動の最中にあんまり個人の交友関係を優先されても困るけど。でも、個人同士の交友があるから部活で上手く回る事だってある。
「何事もバランスや。」
「ううん・・・」
「なんなら後で試してみよか?」
「へっ?」
「宍戸辺りに、人足らんからちょお手貸してんか、言うて。多分普通に手伝うてくれるで。」
「いっ!良いよ、というかダメだよそんなのっ!人の事試すなんてっ!」
「でも成功したら、ちょっとは安心して手伝い頼めるやろ?」
「確かに・・・いっ!いや、でも駄目だよっ!しない、しないよっ!」
「そうなん?」
その位ならしても怒られないと思うけど、なんて考えながら口元を緩ませると、可憐は念押しとばかりにしない!と言った。
そう、何事もバランス。
それが崩れたら碌な事にならない。
絶対。
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