Solicitation:4th game 3
「さて、次の暗号は・・・」
ROOM:先のヒントによる
PLACE:
最も重要な扉
それを守る番人が眠る部屋に
最も近く寄り添う者達の内
赤き記憶の保管庫に於いて
道標は眠りにけり
HINT:家の前
「ふむ・・・・」
暗号について推測を巡らせる柳。
(扉を守る番人。これは鍵の事か?しかしこれだけ広い書斎となると、入口の他にも鍵のあるような所はごまんと・・・)
「・・・春日。」
「はい?あ、柳君。」
「それはなんだ?箱か?」
紫希は譜面台の様な物の前に立っていた。
そしてそこには本ではなくて、箱の様な物が蓋を開かれて鎮座していた。
「ええと、一応本です。」
「本なのか、それが?」
「はい。表紙が木で出来ているので、一見すると本には見えないんですけれど・・・ご覧になりますか?」
「ああ、悪いな。」
手渡されると、ずっしりと重い。
流石木で出来ているだけの事はある。
「中身は・・・聖書か。」
「ええ。普通の旧約聖書みたいです。」
「成程。奇をてらっているのは装飾だけという事だな。」
パラパラと捲っていると、チャリ、と音がした。
「・・・この端についているのは、鍵か?」
「あ、だと思います。多分。」
(鍵付きの本か・・・)
「かかっていたのか?開錠したか?」
「いえ、最初から開いていました。場所も最初から、この台に。」
「そうか。・・・ふっ。」
「?」
「いや。教えて貰えるのは有難いが、良いのか?俺は敵チームだが、そんな風に知っている事を話して。」
「あっ・・・!」
ハタッと口を押える紫希に、柳は思わず笑ってしまう。
「あ、あの・・・ああでも、答えないのも失礼ですし・・・」
「いや。悪い、冗談だ。気にしなくて良い。」
「え?冗談?」
「ああ。お前がいつも通り丁寧に答えてくれるものだから、ゲーム中という気がしないと思っただけだ。俺が言うのもなんだが、別に味方に悪いと思う程の事じゃない。」
「・・・・・・」
「どうした?」
「いえ。柳君って冗談を言うのだなあと思いまして・・・いつも真面目ですし、落ち着いていますし、なんだか程度に関わらず悪戯やジョークなんかは言わないというイメージがあったので。」
幸村も大概大真面目のイメージがあるが、実はあれはあれで結構茶目っ気もある。
面白そうな事は好きだし、(分かりにくい)冗談とか、ちょっとした悪戯やなんかは、幸村は割合ノリノリで参加して来たりするのだ。
其処をいくと真田や柳などは、更に更に冗談から程遠く、いつでも真面目な感じがしていた。
柳はふっと笑った。
「そうだな、実際そう言われる事は多い。が、俺とて友人相手には軽い冗談の1つや2つは言うさ。」
「友人!?」
「?何かおかしな事を言ったか?」
言った。
少なくとも紫希にとっては。
「あ、あの・・・私、友人なんですか?」
「そうだが?」
「い、良いんでしょうか、私なんかが友達で・・・」
顔にこそ出なかったが、その返答に柳は結構吃驚した。
自分が友人で良いのか。だと。
この期に及びすぎだろ。
「・・・良いも何も、俺はかなり前からお前を友人と認識していたのだが。」
「えっ、」
「驚かれても此方も困る。正直、今更何を言い出してるんだと思わざるを得ない。おそらく他のメンバーも皆お前の事を大切な友人だとみなしている確率、100%だ。」
「えええ!?」
えええって、こっちがえええである。
何言ってるんだろう、目の前の少女は。
頭は良い方と思っていたが、ひょっとして妙な所で抜けてたりするのだろうか。
「逆に、お前は友人ではないと思っていたのか?」
「ま、まだ友達になって頂けるかどうかお伺いを立てていなかったので・・・」
「それは逐一伺わなければならないのか。」
「でも・・・向こうが知り合い程度にしか思っていないのに、此方が一方的に友人と思って馴れ馴れしくするのは失礼ですし、」
それはそうかもしれないけれど、此処まで親しくしていて尚考える事でもあるまいに。
「・・・そういえば。」
「はい?」
「以前、仁王から「丸井は春日の友達だそうだ」とかなんだとかちらりと聞いた事があるが。それは・・・」
「あ、はい!丸井君はお友達になってい・・・」
なって頂きました。
と言いかけて、紫希は言葉を止めた。
いや。
心情的にはそんな感じなのだけど、やっぱりこの言い方は正確じゃない。
だって丸井は、友達になってくれと言ってくれたのだから。
「丸井は、何だ?」
「・・・お、お友達同士、です!多分、きっと、記憶違いでなければ・・・」
(成程、こういう事か。)
幸村からちょくちょく聞いてはいたのだ。
人見知り且つ自信過小の紫希と友達になるのは至難の技だと。
しかしいつも穏やかに過ごせているし、そんなに言う程大した事じゃないじゃないかと思っていたが。
「・・・仕方がないな。甘く見ていたという事だ。」
「はい?」
「いや、こちらの話だ気にしなくて良い。兎に角良いか、春日。」
「は、はい。」
「テニス部と柳生を代表して言わせて貰おう。俺達はお前を友人だと思っている。だからお前も俺達を友人だと思ってくれて良い。」
「でも・・・・・・」
「良いんだ。お前の性格上、こう言われても色々考えてしまうのだろうとは思うが。」
でも実際、事実としてそうなのだから疑われても弱る。
勝手に代表面してしまったが、この件に関して異議の有る者など居るまい。紫希以外は。
「だから、これからはそういう認識で居てくれ。」
「は、はい、頑張ります・・・」
「頑張らなければならないか。」
「すみません、つい・・・」
これは前途多難。
逆に言うとよく丸井は友達です発言を引っ張り出せている物である。
(これも又、貴重なデータだな)
「柳君?何か仰いましたか?」
「いや、なんでもない。」
6/8
[*prev] [next#]
[page select]
[しおり一覧]
1年1学期編Topへ
1年夏休み編Topへ
-