Solicitation:4th game 5
「良かったって千百合ちゃんが仰ってたの、こういう事だったんですね。」
「うん。」
「これは又大層じゃのう。」
「こんな物まで敷地の中に作ってしまうとはな。」
「そうだね。規模からみても、此処の持ち主は相当な富豪だったみたいだ。」
次の指定場所。
それはBチームの言う通り、温室であった。
そう、あの温室。
あれが敷地の中にどーん!と鎮座しているのである。
「ああ、Aチームの皆さん。」
「おう、そっちも来とったか。」
「ええ、今しがた来た所でして。」
「ゆっきー!良かったね、ビニールハウスだよ!」
「ビニールハウス・・・うん、まあ、間違ってはいないけど。」
「およ?何か変?」
(ビニールハウスって言われると、農業感がどうしても出てしまうからね)
「これは園芸用なんだよな?」
「そうぽい。少なくとも中のあれは畑とかじゃないでしょ。」
「しかし、園芸用とすると見上げた規模だ。ザッとみた床面積と最高高さから考えて、およそ延べ床面積のu数が、」
「む・・・温室という割には、然程暖かくも無いようだな。」
「はい。結構あちらこちら壊れて穴なんか開いているみたいなので、温室としての効果は今はもう、あまり機能していないのかも・・・」
「ま、涼しい事は良い事だろい。この良い天気で温室でゲームなんて、ドリンクが幾らあっても足りねえし?」
そう、今日は良い天気。
温室の効果というのは天気が良ければ良いほど良く働くので、多少壊れて機能してない位が人間には丁度良い。
「しかし、これで3ヶ所目になるのう。」
「そろそろ、お互いにお互いを突き放したい所ではありますね。」
「・・・・・」
「・・・・・」
「あ、あの、こういうのは相手のペースを気にしないようにするのも大切なのでは・・・」
「紫希、放っとけ。兄貴の策略にまんまと嵌ってるだけよ。」
「なっちん凄いよねー!こんな事でそんな風になるかなーって思ってたのに。」
探索場所をいちいち同じにする。
これにより、遅れると焦りや油断が生じる事は皆一目で感づいたが、逆にずっと似たようなペースの場合、お互いにお互いを邪魔に思うようになるはず。
というのが棗の考えだった。
「お前そろそろ遅れをとっても良いんじゃないの?」「何を仰るうさぎさん、そのセリフそのまま返すぜ」、そんな風に火花散らすのも一興でしょ、と棗は言っていて、そんな上手い事運ぶのかしら・・・なんてビードロズ女子3人は思っていたのだけど。
「男子ってこういう時、喧嘩したがりだよねー!仲良くすれば良いのにー!」
「ううん・・・こういうのも、男子なりの仲良くの形だったりするんでしょうか?」
「単純なだけでしょ。挑まれたら流せないのよ。」
「千百合っちもけっこーそーいうとこあるよね?」
「ねーよ。」
「う、ううん・・・」
「ちょっと何、紫希まで。」
「だって千百合っちって、何か嫌な事されたら無視しないで言い返すじゃーん。」
「・・・・・・」
それは当たってる。
自分から喧嘩は売らないけれど、喧嘩を売られたら基本的に千百合は無視しない。
相手するのも怠いけど、断続的に嫌な思いさせられ続けるのはもっと怠いからだ。
「ね?」
「あーもう、煩いな。・・・紫希?」
「紫希ぴょん?」
「・・・・・・」
嫌なことされたら、言い返さないではいられない。
そう、千百合はそういう性格である。
棗曰くそれは昔からとの事だが、紫希はその事について疑問を抱く事もあった。
紀伊梨は何かされても、スマートな返しが出来ないでやり込められてしまう事がある。
自分はもう、典型的な言い返せないタイプ。怒りより悲しみが先に立つ。
だから千百合は自分達の分まで、言い難い事を言う憎まれ役になる事を、「それが自分のポジション」として半分かって出てるような所がある。
気がしていた。いや、今でもしている。
一時期それをどうにかしようと、もっと言われたら言い返す練習でもしようかと紫希は真剣に考えた事もあった。
「紫希ぴょん!」
「紫希!」
紫希はハッとした。
「ご、ごめんなさい!ちょっと考え事を・・・なんですか?どうかしましたか?」
「それはこっちが聞きたいんだけど。」
「どったの?お腹痛いの?一緒にトイレ行く?」
「お前じゃないんだから。」
「お腹痛い事位誰だってあると思うんですけど!?」
「・・・ふふ。」
知らず笑みが零れてしまう紫希。
「なんでもありませんよ。」
「そなの?どこも痛くない?」
「ええ、有難う御座います紀伊梨ちゃん。千百合ちゃん。」
「しんどくなったら言いなよ。体力無いんだし。」
「はい。」
「そだ!しんどくなったら、真田っちにおんぶして貰ったら良くない?きっとそのくらい、真田っちなら楽勝だよ☆」
「そ、それは悪いので遠慮します・・・!」
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