Solicitation:4th game 5

「ううん・・・」

紫希は珍しくイライラと戦っていた。
目の前の花。絶対に知っているのにど忘れして、どうしても出てこない。

(なんでしたっけ・・・ああ絶対に聞いた事があるのに!千百合ちゃんに教えて頂いたのに・・・ええと、ええと、エーデルワイス・・・じゃなくて!ゼフィランサスでしたっけ?いえ、違います!そうじゃなくて、ええと、ええと・・・)

「プルメリアだよ。」
「ああ!」

背後からかけられた声に、紫希はパン!と手を打った。

「それ!それです!有難う御座います幸村君、すっきりしました。覚えていたのに、どうしても出て来なくて。」
「フフフ、どういたしまして。偶にあるよね、そういう事は。」

幸村には無い様な気がするが、まあそれは良い。
兎に角紫希は、漸く気持ち悪い思いを昇華する事が出来たのだった。

「確か、プルメリアは日本では育ちにくいんでしたよね?」
「そうだよ、寒さに弱いからね。最近では気温の上昇に伴って少しは育てやすくなっているけれど、それでも原産地のカリブ海周辺に比べればまだまだだ。」
「では、此処にこうして咲いているのは・・・」
「まだ辛うじて、温室として機能してる部分も残っているという事さ。この辺りは破損も少ないみたいだしね。」
「確かにこの辺りはちょっと暑いです・・・」

周りが植物だらけなせいで、此処は兎に角湿度が高い。
涼しい所もあるとは言え、気をつけなければ熱射病を引き起こすだろう。

そう。
ここは四方八方、何処を向いても植物。

「・・・壁って、何処にあるんでしょう?」
「壁?」
「はい。ヒントにあったと思うんですけれど、姫を捕えし壁がどうのっていう・・・」
「ああ、あれか。あれはあったよ。」
「えっ!?」

サラッと言う幸村。
あまりにも当たり前のように言うものだから、自分の頭がそんなにまでよろしくないのだろうか、なんて紫希はつい思ってしまう。

「ど、どこにあったんですか!?私も探して居ましたけれど、壁なんて何処にも・・・」
「ふふっ。正確には壁じゃないんだよ春日、あくまで「姫を捕えし壁」なんだ。」
「・・・・・?」
「まあ、俺もまだ確認を取ったわけじゃないから、かもしれないっていう憶測の話だけれどね。」

でもまあ、大凡当たりだろうとは思っている。

「それから、これも憶測なんだけれどね。」
「はい?」
「今回は、春日にめいいっぱい働いて貰う事になるかもしれないよ?」
「え”」

働くって、何をどうやって。
いずれにしろ出来る気がしないのだが。

「で、出来るでしょうか・・・!」
「まあ、あまり緊張しないで。大丈夫、俺は出来るって踏んでるからこうやって話を振ってるわけなんだし。」

ね?と言って微笑みかけてくる幸村の笑顔は、ホッとするような。しないような。
この男、稀に人に対して期待値を上げて話をしてくるので。

「ああ、そうだな。強いて心配な事を挙げるなら・・・」
「・・・挙げるなら?」

「多分、丸井と競る事になるね。」


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