Solicitation:4th game 9

さて。
現在、迷路内にはAチームもBチームも全員入った状態になっているわけだが。

(ガチで暗いな・・・)

性根が慎重な桑原は、早くも想定以上のこの暗さに焦りを感じつつあった。

チーム内の誰か1人でもゴールを見つければ、次の手を考えられる。
だからと言ってバラバラになったは良いものの。

(バラバラになるべきじゃなかったのかもな・・・こんなに暗いと、幾らライトがあったって迷う。どっちから来たのかも、もうーーー)

「あのう・・・どなたですか?」

闇の中から聞こえた声。
聞き覚えのある声の方に、ライトを向けると。

「・・・春日?」
「あ、桑原君・・・」

紫希は壁際に蹲って居た。

「おい、どうした・・・というかお前、」

近づくと、桑原は気づいた。
紫希は、手ぶらだ。

「ライトは?」
「持ってなくて・・・」
「持ってない!?落としたのか!?」
「いえ、そういう作戦で。私、ライト無しで動かなくちゃいけないんです。」
「は・・・」

無茶な。
こんな場所でそんな事要求されても、ろくすっぽ動けまい。

「それで、少し疲れたので此処で休んでいて。」
「そ、そうか・・・しかしなんというか・・・」

大変だなという言葉では片付かない大変さであろう。
1歩1歩いちいち気を張りながら進んでいる筈だ。
おまけに壁に手を付いてはいけないというルールまである。

本来これは、迷路をさくさく解かれるのを防ぐ為に設けられたものであろう。
しかし今それは、全く新しい効果を以て紫希に襲い掛かっているわけだ。

「・・・・・・・」
「・・・あの、桑原君、」
「なあ、春日。」
「はい?」

「一緒に行くか?」

「え?」

あーあ、言ってしまった。
桑原は半ば諦めの気持ちで苦笑した。

「半端な暗さじゃないし、動けって言われたって動けないだろ?」
「それはそうですけど・・・でも、桑原君にご迷惑が、敵を助けるわけですし・・・」
「良いよ、それはもう。どっちみち一緒だ。」
「一緒?」
「俺が此処で助けなかったら、後後ブン太が助けるだけさ。」
「どういう事ですか・・・?」

紫希の疑問は尤もであろう。
丸井が助けるとさも当然みたく言っているが、助けるかどうかも分からない以前に、そもそも出くわすかどうかも分からない。
そんな不確定要素だらけの事を、何を確定事項の様に、と訝る紫希の気持ちは分かるが、残念ながら桑原の方が丸井をより深く知っている。
だから分かる。あの運の良い親友は、その手の偶々はするっと乗り越えてしまうのだ。

いずれ紫希は助かるだろう。
だから、今助けたって同じ。

「そういう事だ。さ、行くぜ。」
「あ!ええと・・・あ、有難う御座います!」
「ああ。」


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