Escape 1
大好きな友達と、大好きな友達が居まして。
その大好きな友達はなんと!大好きな友達を好きなんだそうなんです。

そっか。

じゃあ私は、何をしてあげられるのでしょうか。

先日夕日の差す教室で聞いた、あの話。
もっとじっくり考えたいなと思いつつ、でも勉強か、もしくは部活かかのどちらかに時間を吸い取られて、まともに考える暇も無くて。

それでも隙間を見つけて、一度じっくり考えなきゃなあ。

なんて。

思って居たのに、さ。

「・・・・跡部君。」
「どうした?」
「今日って、木曜日だよね。」
「そうだな。」
「今、授業中でしょっ?」
「ああ。」

「どーして私、駅に居るんですかっ!」

何故だ。
どうしてだ、どうしてこうなった。

自分はいつも通り学校に来ただけだ。
いつも通り学校に来て、朝練して、さて今から授業に行くか、となったら急に王よりお呼びがかった。

行くぞ、付き合え。と。

「言ってなかったか?」
「ないよ!聞いてないよっ!」
「俺は家出をするんだ。」
「・・・へ?」
「家出をするんだよ。今日だけな。」
「え、えう、えっ?い、家出っ?」
「ああ。」

家出。
って、あの家出か。

向日がちょいちょいやっていると言う、親父の馬鹿やろー!分からずや!こんな家出てってやる!っていう、あれか。

(そ、そっかそうだよねっ!跡部君だってちゃんと両親と暮らしてるんだろうし、向日君みたく、分からず屋のお父さんが居てもおかしくないよねっ。あ!待って、待って、お母さんが分からず屋っていう場合も・・・)

「おい。」
「へ?は、はいっ!」
「お前聞いてなかっただろ、アーン?俺様の話を無視するとは、いい度胸じゃねーの。」
「ああっ!ごめんねっ!ええと、それで何っ?」
「行きてえ所はねえのか?」
「・・・行きたい所?」
「ああ。」
「それって、私が決めるのっ?跡部君の家出先なのにっ?」
「自分で考えると、逆に足が着くからな。」

成程。
探す側も跡部の行きそうな所、やりそうな事は熟知している、というわけだ。
ううん、これは結構本格的な家出である。

「・・・・何処でも良いのっ?」
「ああ。・・・いや、待て、一箇所だけNGがある。」
「?」

「大阪のひっかけ橋だ。」

そこ以外なら。
何処へでも。


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