Meeting 1
さて。
プレゼントを渡したら、いよいよ今日の本題である。
「ええと、相談したい事なんだけどねっ?実はそのう・・・私の友達の話なんだけどっ。」
「それって大概自分の話よねwふがっ!」
「煩い、くそ。話の腰を折るな。」
「棗君、推測で物を言うのは駄目ですよ!失礼です。」
「ち、違うよっ!?私、自分の話ならちゃんと、」
「うんうん!お友達の話だよね?そいで?お友達が?」
「ええと、その・・・友達が、居て。それで、その子には好きな子が居て、その好きな子も私の友達で、」
「おお!
紀伊梨ちゃん、それ知ってるお!三角関係っていうんでしょ?」
(・・・・さ、)
三角関係。
・・・い。
いや。
いやいや。
「ち・・・違うっ!私は別に好きじゃないっていうかっ!あ、好きなんだけど!でも恋はしてないからっ!」
「えー?そーなの?」
「お前も勝手な事言うの止めろ。」
「紀伊梨ちゃん、一先ず最後まで聞きましょう?すみません可憐ちゃん、続きを・・・」
「ああうん、ええと!要はその、片思いの友達の応援をしたいんだけど、私、何が出来るかなって!私そういうの疎いし、皆なら分かるかなって思って。それに、学校が違うから忌憚ない意見が貰えるかも、って。」
「ねえ紫希ぴょーん。」
「ええと、「疎い」というのは簡単に言うと、あまり詳しくないという意味です。「忌憚」というのは、遠慮の事です。」
「ほうほう!つまり可憐たんは、あんまり恋の事はよく分かんないから、私達に聞きたいって事ですな!えーと、遠慮のない意見を!」
「うんうん!そんな感じっ!」
「遠慮のない意見てw」
「う、ううん・・・でも他に、なんて言えば良かったんでしょう・・・」
「まあ、意味合い的には間違ってないし良いんじゃない。」
などと言いながら、出されたお茶を徐に千百合は飲んだ。
いや、正確に言うと飲みかけた。
「千百合ちゃんはもう、彼氏さんが居るもんねっ!私より断然恋愛経験豊富だし、頼りにしてますっ!」
「エホ!」
噎せた。
「おい、頼りにされてるぞ妹w頑張れよw」
「煩い!死ね!」
「あ、あの!可憐ちゃん、その、あのう、千百合ちゃんは確かにお付き合いしてる人が居るんですけれど、」
「えっ?あ、ごめんっ!私何か悪い事言ったかなっ?」
「いえ、あのう、そのう、悪いわけでは無いんですけれど、なんというか・・・」
「千百合っちは照れ屋さんなんだよー!あんまりゆっきーとどうラブラブしてるかとか、教えてくんないんだよねー!」
千百合は基本、惚気ない。
惚気る材料が無いからじゃない、恥ずかしいからだ。
「そうなのっ!?ヘリの時に仲良さそうだったから、千百合ちゃんはそういうの恥ずかしくない人だと思ってた・・・」
「あれは向こうがやってくるの。私が進んでやってるわけじゃない。誤解しないで。」
「ご、ごめんっ!」
「えー、でもお前はそれに甘えてんじゃんか。向こうが愛情表現してくれるからってさー。」
「るさい!」
「ま、まあまあまあ、2人ともその辺で!あの、今日は可憐ちゃんの話ですから、」
「ゆっきーってはっきりしてるもんねー。」
「はっきり・・・?」
「うん!ゆっきーは、好きなら好き!って言っちゃうせーかくだからねっ!あんまり恥ずかしがったりしないしー。」
「そうなんだ。凄いねっ!」
度胸があるというか、なんというか。
優しそうな人だったけど、やっぱり網代の言うように情熱的なんだな、と可憐は思う。
「そういえば、その可憐ちゃんの協力したいお友達さんと言うのは、どんな方なんですか?」
「え?」
「もしその人が幸村君みたく、意見のハッキリしている方なら、ですけれど・・・特別沢山お手伝いしなくても、ご自分からその内告白されると思うんです。」
「確かにね。」
「彼奴は決断してから行動に移すまで早いからなあw」
「ああっ!そういう事だねっ!ううん、でも・・・」
忍足が、意見のハッキリしてる方かと言われると。
いや、意見がブレる方ではないけれど。
「・・・どっちか、っていうと、告白やなんかには慎重かなっ。」
「ほうほう!もじもじさんタイプですなっ!」
「いや、ていうかそれが普通よ。」
「えー?そっかなー?」
「あんたも精市も口に出し過ぎなのよ。あんた達はもう少し恥ずかしがれ。」
「えー!」
「まあでも確かに、千百合の言う通り普通の人でも多少は躊躇うけどねw」
「その人は普通以上に慎重派、という事で良いんでしょうか?」
「うんっ!そんな感じっ!」
少なくとも、大胆で危ない橋を進んで渡るタイプではない。
どちらかというと、石橋を叩いて渡る方だ。
(・・・でも、その割に電車間違ったりもしちゃうよねっ。)
肝心な時にミスしないから、抜けてるとまでは言わないが、忍足もちょくちょくボーッとしてる時もある。
そういう所がちょっと、なんというか可愛げがある。
男に向かって可愛げっていうのもなんだけど。
「・・・あははっ。」
「可憐ちゃん?」
「あ、ごめん違うよっ!ちょっと、思い出し笑いでっ。」
「しかし、慎重派かw」
「っていうか、そもそも論なんだけど、そいつは告白したがってんの?」
「およ?なんでなんで?好きな人が居るんっしょー?それって告白はしたいんじゃないのー?」
「いや、限らないでしょ。」
千百合的には、先ず其処と思う。
「まあ誰だって振られたくはないわなー。」
「確かに慎重派な方なら、成功率が低いと踏んだら引っ込む場合がありそうですね。」
「成程・・・ううん、それは聞いた事ないなあっ。」
確かにというか、其処は今言われるまで分からなかった盲点であった。
好きな人が居ると、告白したいは必ずしも繋がらないのだ。
「んん、いやでも待てよwその慎重派な友達は「好き」って言ったんっしょ?」
「うんっ。」
「そんなら、付き合いたいっていう希望はあるんじゃないのw付き合いたくない慎重派なら、そもそも口に出しては言わんと思うしw」
「まあね。あわよくば感はあるわよね、打ち明けてる時点で。」
「そ、そうかなっ?」
「はぐらかす方法なんて、幾らでもあるし。」
「あわよくば?って何?」
「上手くいけば、という意味です。そんなに期待はしていないけれど、もしも希望が叶いそうなら、という運に任せるようなニュアンスが強いです。」
「ほうほう!上手くいきそうなら、ね!」
「そうそう、だから心のどこかで期待はしてるっしょ絶対w」
(・・・だよね。そうだよね、期待はしてるよね・・・)
当たり前だ、そんなの。
普通、好きな人が居るならその人と付き合えればと思うのは当たり前。
好きだけれど付き合いたくないという方がレアケースだろう。
そう、そんなの当然。
当然なんだ、けど。
「じゃあさじゃあさー!つまり、告白させる為には、その友達に「イケそう!イケる!」って思わせたら良いんですな!」
「まあ、告白っていうのは大体そうよw」
「まあね。振られるって分かってて突っ込んでいく奴なんてあんまり居ないよね。」
「そうですね、脈アリと如何に本人が信じることが出来るかが肝心です。」
「うん・・・」
紫希が手元のノートに分かったことを書き込んで行くのを、可憐はなんだか身の入らない視線で見つめた。
入れなくちゃと思うのに、「成功確率高!」という字面を見ていると、なんだか頭がぼんやりしてしまう。
「ていうか、聞くまでもないと思ってたけど一応確認していい?」
「・・・・・」
「ねえ、可憐?」
「・・・えっ!?あ、は、はい!何っ?」
「実際問題、脈はあんの?無いの?」
「え!えーと、えー・・・脈、は・・・」
この場合脈と言うのは、網代が忍足から告白された時、OKする確率は如何ほどか、という事。
となると。
「・・・確認は取ってないけど、ほぼほぼ大丈夫なんじゃないかって思うな。いつも一緒に居ると楽しそうだし、良く2人で居るし、単純に一番長く一緒に居る異性ってその子だと思うしっ。この前も、2人で屋上にサボりに行って・・・あ!それは校則違反だけどっ!でも楽しかったって、普段2人とも真面目で、そういう事しないから・・・」
「おーw良いね良いね青春だねーw」
「だよねだよね!良いなー、屋上エスケープ!紀伊梨ちゃんもやりたーい!」
「あんたは普段不真面目なんだからすんな。」
「えー!」
「ううん・・・でも、本当は本人の口から聞くのが一番ではないでしょうか?雰囲気で判断するのはちょっと怖いのではと、私は思うんですけど・・・」
「うん・・・そうだよねっ!それは私も、」
「いや、それは関係ない。」
バッサリ言うのは千百合である。
「そうなんですか?」
「だってさ、脈がどれくらいアリなのかは置いといて、実際問題その友達はもう一人の友達が好きなわけじゃん。脈ありませんよ、って言われた所で、「じゃあ諦めるわ」とか、そんなんあり得る?」
「そ・・・」
「れ・・・」
「は・・・」
「いや、それに関しては諸説あるでしょw」
これは棗のツッコミが入った。
「はあ?なくね?これこそなくね?」
「あるよw例えばの話、世の中には恋人持ちを好きになる人だって居るわけじゃんw」
「た、確かにっ!今回たまたまそうじゃないけど、それは本当にたまたまで・・・」
「そうなると、確かに諦めざるを得ないというか・・・諦めないといけませんよね。基本的には。」
「・・・・・」
「ねえ、紀伊梨ちゃんはどう思う・・・紀伊梨ちゃんっ?」
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