Someday



「おい、ジロー、寝るのか書くのかはっきりしろって!」
「zzzz・・・」
「こんなに騒がしいのに寝られるとは、やるねーある意味で。ちょっとは彼が起きて居られますようにって書くべきかな?」
「俺はもう書かねえからな!亮と7年試したけどちっとも効きゃあしねー。」
「あらら。」

「宍戸君、もう書いちゃったのっ?」
「ああ。俺、大体毎年書くことは決まってるからな。健康と家の事とテニスの事と、犬の長生きと。」
「テストの事は書かんでええん?」
「・・・・・」
「ええん?」
「お、忍足君っ!」
「・・・書く。おい忍足、笑ってんじゃねえ!」
「堪忍。」

「あら、部長様は書かないの?」
「書くような願い事は特にねえからな。」
「1枚位書いたら?参加した事にならないわよ、ほらほら!持病の俺様が治りますようにとでも書けば良いじゃない?」
「誰の何が持病だ、アーン?」
「折角だし、樺地君も書きましょ?ね?」
「ウス・・・」

七夕当日。
今日の為に準備された放課後のイベントはあらかた終わってしまってるけど、部活の後でもライトアップはまだまだ終わらないし、短冊を吊るす時間も十分残されている。

皆思い思いの願いを書きつつ笹に吊るしに行く。
可憐は氷帝テニス部の全国優勝と、忘れてはいけないのがドジが治りますように、である。
因みに毎年願っている。成果はまだない。

「・・・・」
「向日君っ?なあにっ?」
「お前のドジって、完全に治るとヒヤッとするからよ。ほどほどになりますように、にしといたら?」
「嫌だよっ!?なあにほどほどってこの場合っ!」
「A〜?でも俺もドジしない桐生ちゃんってちょっと慣れないかも〜。」
「芥川君まで・・・!」
「ま、控えめになりますようにで良いんじゃねえのか。」
「跡部君もそういう事言うっ!私、減らしたいんじゃないのっ!ゆくゆくは完治したいのっ!」
「完治て。」
「もうすっかり病のカテゴリーね。」

可憐にとっては似たようなものである。
さっき網代が跡部に冗談めかして持病の俺様とか言っていたが、自分にとっては正しく持病。持病のドジ。誰か特効薬を開発してくれないだろうか。ノーベル賞間違いなしなのに。

「じゃあ普通程度になりますように、はどうだ?普通の奴でも、多少は失敗するだろ。」
「えー・・・」

宍戸の提案にも可憐は渋々顔である。

「それも嫌なん?」
「嫌っていうか・・・折角だから普通よりちょっと上を狙いたいのっ!茉奈花ちゃんとか、後千百合ちゃんみたいに隙の無い女の子になりたいっ!」
「「「「「・・・・・・」」」」」
「きゃあ嬉しい♪って、あら?何よ貴方たち、黙っちゃって。」
「いや・・・」
「まあ。」
「えー・・・」
「桐生。良いか、一つ後学の為に教えておいてやる。」
「?」
「高すぎる目標は、逆に目標にならねえんだ。「目の標(しるべ)」の文字通り、見える範囲を先ずはゴールに設定しろ。良いな?」
「嫌ーっ!」

跡部にこれを諭される絶望感は、跡部を知る者であればこそ余計に染み渡る。
そんな大偉業になるなんて信じたくない可憐はうっすら涙目になりながら短冊を吊るすのだった。


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