My narrative



「従って・・・整理すると解の公式と言うのはーーーー」


「・・・・・・・」

手はノートを取っているが、可憐はほぼ頭に入っていなかった。

今日はもう3限になるが、1限からずっとこの調子。

(まだ夏は終わってない・・・んだけど・・・)

夏が終わってない。

だから、の先を可憐は今思いつけない。

夏が終わってないから、雪辱を果たす為に何かしなければいけない。
でもその何かが何なのか、可憐には皆目見当がつかないのだ。

このままではいけない。
それは間違いない。
あんなコテンパンにやられてしまったのだから、今と同じことを続けていたって敵いやしない。

でもじゃあ、だからと言ってどうする。
実力を付けると言ったって、そもそも今年の氷帝は跡部の力で劇的に実力を底上げされていたのだ。

(それなのに・・・)

ぐ、とシャーペンを握る手に力が入る。

今年は勝てると皆踏んでいた。
それなのに負けた。競れていたなんてとても言えないくらい惨敗した。


そう。
自分達は本当に精一杯やっていた。

これ以上頑張れないのにこれ以上頑張らないと勝てないのなら、一体何をどうせよというのか。


「・・・・・・」
「桐生さん。」
「・・・・・・」
「桐生さん・・・桐生さん。」
「・・・え?」

もしかして考え事している内に指されたか、と思って慌てて顔を上げると、数学教師は全く可憐の方など見ていなかった。
話しかけてきたのは隣に居たクラスメイト。

「え?えっ?な、何っ?」
「いや何じゃなくて、顔色が悪いからさ・・・大丈夫か?」
「えっ、」
「保健室に行った方が良いんじゃないか?俺は委員だし付き添うぞ?い、いや。別に無理にとは言わないけどな。まあ一応というか、クラスメイトの健康に気を遣うのは保健委員の義務だし・・・」
「顔色・・・・」

顔色、悪いのか。
自分だとわからないけど、保健室を勧められるレベルなんだろうか。
思っていたより自分は引きずっているのかもしれない。

(どうしよう・・・大丈夫なんだけどっ。)

ただ、それはそれとして今保健室はかなり魅力的だった。
授業に身が入ってないことは自分で分かっているし、保健室なら誰の目を憚ることなく考え込む事が出来る。

本来なら授業中は授業に集中すべきとわかってはいるのだが、さっきからどんなに頑張っても、どうしても集中出来ない。

「・・・うんっ。じゃあお願いしようかなっ。」
「よし、わかった。」



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