Well done 3


「はれて望み通り投げたボールが♪向こう岸に届いた♪」

千百合がはた、と我に返った時には、幸村の歌う「運命の人」は既に2番に入っていた。

「幸村君の声って通るよなー。」
「わかるw不思議とよく聞こえるw」
「部活でもそうですね。」
「うむ。確かに、幸村の声は左程大きいというわけでもないのに聞こえてくるな。」

「ってゆーか、ゆっきーの声って聞いとかないといけない感ちょっとあるよねー。」
「ああ、それも分かる・・・」
「聞き逃すとえらい目に遭いそうな気はするの。」

「幸村君のスピッツ久しぶりです。ね、千百合ちゃ・・・千百合ちゃん?」
「ん?ああ。うん。」
「あの・・・どうかしましたか?」
「え?」
「さっきから眉間に皺が寄っているぞ。何か不愉快なことを思い出している確率は98.40%だ。」
「ああ・・・ちょっと思い出しムカつき的な。」

(ムカついてるんですか・・・?)
(ムカついているのか。)

幸村の歌声を聞いて何をムカつくことがあるんだろうかと思われてる事は千百合にも伝わったが、本当なんだから仕方がない。

幸村にというよりむかついてるのは自分になのだが。
今にして思うと、たかだか声変わりの一つや二つでなにを面倒な事をぐだぐだ考えていたんだろう。昔の幸村との思い出は、幼かった自分が馬鹿なことしてる(考えている)記憶でもある。

「I need you♪いつか躓いた時には♪」

貴方が必要だって。いつか躓いた時にはだって。
相手が必要なのもいつか躓くのも、多分どっちかというと幸村よりも自分の側だ。

人のセリフ丸々パクったみたいな選曲だなと思いながら、またアイスティーを一口。



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