100話記念企画 No.069


「・・・で、招待状が終わった思うたら次はこれなんやな。」
「テーブルコーディネートって言ったって・・・どうしたら良いのかよくわかんないようっ!」

一難去ってまた一難。
2人の前には、今度は招待状のカタログの代わりに今度はテーブルコーディネートの為のカタログが置いてある。

「えーと、色を決めて、柄を決めてっ、」
「飾りつけ用の花と、まあ今回食器はもう一式あるからそれやな。それからメニューと・・・喋る話?」
「あっ、それっ!それが一番困ってるやつっ!」

古き良きイギリスのお茶会、というやつは、ある面では見栄の張り合いという側面も持ち合わせていた。
イギリス貴族の間で一種の社交界の場であったお茶会は、お茶会を通して自分の格をゲストに見せつけるという意味合いもあった。そのためホストは自分の優雅な生活ぶりを、あくまで上品に嫌味なく、かつ効果的にゲストに分かって貰う話題・話術が必要とされていたのだ。

流石に跡部だってそこまでしろとは言わないが、まあ振る話題くらい決めておいたって罰は当たらないだろうと言われ。
ただこればっかりはカタログから選ぶことすらも出来ないので、ある意味一番悩ましいのだった。

「まあ、これは最悪何や適当な話でも。」
「適当っ!?」
「ああ、ごめん。言い方悪かったやろか。別にええかげんに決めるて言うことやなくて、ええ塩梅の無難な話いう意味で、」
「そうじゃなくて、それが思いつかないのっ!適当にっていっても、適当にも思いつかない・・・」
「あんまり固く考え込まへんで。こだわったポイントとか、苦労したこととか話したらええんとちゃうやろか。」

まあ厳密に言うと拘りポイントは兎も角苦労エピソードに関してはマナー違反・・・というか「社交界」の話題としてはかなりタブーの感じもするが、まあそこはそれ。元々もっと軽い気持ちで始めたことだし、見栄張るような人呼ぶわけでもないし。

「それよりコンセプトの方やねんけど、シンプルでベーシックな感じでええんやろか?」
「うんっ!色々考えたけど、それが良いかなあってっ!後ちょっと可愛い感じでっ!」

色々考えた可憐だが、結局はそこに落ち着いた。
招待状もそうやって決めた。

「ほんなら、それで端から決めていこか。テーブルクロスなんかは、やっぱりスタンダードなのは白やろな。」
「えっ・・・あっ、そうかそうだよねっ!」
「?嫌なんやったら他のんでも、」
「違うのっ!嫌とかじゃなくてその・・・汚しそうだなあって・・・」
「それはまあ、汚すかも知らへんけど無礼講やろ。可憐ちゃんやのうても汚す奴居るから、大丈夫やで。」
「そうかなあああ・・・ああもう、何か今から既に怖いよっ!」
「気楽に気楽に。」



亀の歩みでもたもたと決定まで進んでいく2人を、ひっそりと部屋の外で伺う影が2つ。

「大丈夫かしら?」
「まあ忍足がついてるからそうそう妙な事にはならねえだろ。」
「それはそれとして、混ざっちゃダメ、かな?」
「駄目だ。」
「やっぱり?」
「出来る限り手も口も出さない。これはゲスト側のマナーだ、放っておけ。」
「部長様は良いわけ?」
「俺だってやりたくてしゃしゃり出てるわけじゃねえんだ。やり方がわからねえと言ってるんだから仕方がねえだろ。」
「ふうん・・・ま、そういう事ならじろじろ見るのは辞めて、大人しく楽しみに待つわ♪」
「ああ、そうしろ。」
「・・・それはそれとして。」
「アーン?」
「あの作業、2人で進めてるとあれにそっくりよ、ね?」
「まあな。」


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