100話記念企画 No.034
どうしてあんな夢を見たのか、紫希には心当たりがあった。
今日のこの授業のことを昨晩考えていたからである。
「えー、先日予告していた通り今日からの授業では、絵を書いてもらおう。前にも言った説明だが、画材は何でも良い。あるものは使って良いし、使わなくても良い。テーマだが、改めて書く。」
黒板に美術教師の天地俊彦が流暢な字で書いた。
「私の夢の場所、だ。」
そう。
紫希は先日も聞いたこのテーマについてどうしようかと考えて考えて、多分考えすぎてあの夢を見た。
「先生。」
真田が手を挙げた。
「真田。」
「夢というのは、どういった意味での夢ですか。」
「どういった意味でも良い。勿論お前のいう通り、夢という言葉には色んなニュアンスがあるが、そのどれでも今回は不問とする。目標という意味での夢でも良いし、自分の空想・・・夢見るという夢でも良いし。もしくは、実際に夢に見た所でも良いぞ。」
ただ先生にはその説明が出来るように、と聞いて隣の千百合があからさまに怠そうな顔をした。
「画用紙は此処にあるから取りに来い。画用紙が嫌というのなら申告の元好きにして良いが、サイズはA2。これは必ず守ること。では、始め。」
がやがやと皆が席を立つ。
今は画用紙の所が混雑しているから、少し後で行こう。
「あー、めんどくせ。紫希どうする?」
「あ・・・一応、考えて来たので。」
「マジか。えー、私どうしよ。」
こういう感性が物をいう授業が千百合は苦手だ。
気の毒になあと思いつつ手伝うには限界もあり、苦笑する紫希は画材を考え始めていた。
描く場所はもう決まってる。
(あ・・・でも。)
そういえばあの人は結局誰だったんだろう。
ちょっと描いても良いかなと思っていたけど、誰だかわからないのではそれも。
(ううん・・・まあ、今手を止めていてもどうしようもないですよね。)
取りあえず描きだそう。
話はそれからだ。
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