100話記念企画 No.033
「あはははは!それで、芥川君が俺は起きてる〜!なんて叫ぶ事態になっちゃったの、ね?」
部活後の部室で、網代はカラカラと笑った。
「でも早起きかあ・・・そういう事なら私もちょっと見たいけど、4時は結構厳しいわね。」
「茉奈花ちゃんならどうするっ?」
「うーん・・・取り敢えず順当に早寝かしら、ね。ほら!早く寝るのはお肌にも良いし♪」
「そっか。それが普通だよね、やっぱり普通に起きるのが一番良いのかなあっ?」
「まあ、人に頼るっていうのも手段としては王道且つ効果的と思うけど、ね。可憐ちゃん、一人で見るの?」
「えっ?」
「ほら、誰かと見晴らしの良いところまで行って見る・・・っていうんだったら、待ち合わせになるから起こしあいが出来るわよ?相手が待ってると思ったら、起きないとっていうエネルギーの元にもなるし。」
「た、確かにっ!」
「ああそれからそうね、やっぱり男子を入れるべきよね。」
「えっ?」
「だって、暁頃でしょ?まだ暗いから女子だけだと危ないわよ!やっぱり迎えに来てもらわなくっちゃあ、ね?」
「う、ううん・・・」
確かにそっちのが危なくないといえばそうなのだが、まさか自分の都合でそうしてくれとは言いづらい。
ちょっとなあ・・・と口ごもる可憐だが、網代は全く気にすることなく、あ!なんて声を出した。
「そうだわ、侑士君なんて丁度良いんじゃない?」
「えっ?」
「ほら、天体観測とか好きそうだし?頼んだらきっと付き合ってくれるわよ。ね?頼んじゃいましょ?」
「えええっ!う、ううんどうかなあっ。」
確かにやぶさかではなさそうだけど。
しかしこう言っちゃなんだけど、忍足はあまり適任ではなさそうというか、はっきり言って朝そんな強いイメージがない。低血圧っぽい印象があるというか。
夜には強そうだけど。
だから夜更かし付き合ってなら兎も角早朝付き合ってが通るかなあ・・・と言われると通らなさそう感が。
「お疲れさん。」
「あ!侑士君、丁度良いところに!ねえ、朝強い?」
「何の話?」
「ちょ、ちょっと天体観測をっ!」
「暁頃しか見られない星があるんですって。見に行きたいんだけど、ほら、ね?女の子だけで暗い時分は危ないじゃない?」
「ああ、お迎えな。」
まだそんな事まで言ってないのに、さらっとそこまで思い至る忍足は紳士というべきか。
「まあ俺もそこまで朝強い方やないけど、4時くらいやったらなんとか。」
「い、良いのっ?」
「ええで。星なんか久しく見てへんし。」
「因みに、侑士君流の早起き術は何かしら?」
「俺は・・・そうやな、起き抜けのブラックコーヒーやろか。」
いっぺんに目覚めるで、と言われても可憐はとても真似出来そうにない。
ブラック苦手。って口に出すのも子供っぽいけど。
「まあカフェインやとか栄養剤やとかに頼るのんは、健康的にはそんなに良くはあらへんさかい、偶にいうこと前提やけどな。」
「飲みすぎると効かなくなるとかって言うわよねー。侑士君なんてそれでなくても好きでブラック飲んでるじゃない?まだ効くの?」
「そこまでしょっちゅうは飲んでへんで。今の所は。まあ自分でも、大学とか勤務医になったらやばいんちゃうかなとは思うてるけど。」
「そうなんだ・・・私は逆に、苦手で自分じゃ飲まないから凄い効いちゃいそうっ。」
「そういうのも逆に困った事になるわよ〜?うっかり夜更かしの気もないのに寝る前にコーヒーとか気まぐれに飲んじゃって、思いがけず眠れない!みたいなパターンもあるから、ね?」
「ええっ!?でもそっか、そうだよねっ!気分で飲んじゃったりしたら取り返しのつかない事にっ!」
「まあコーヒー1杯くらいやったら大した事あらへんと思うけど。でも可憐ちゃんみたいなタイプは、それこそ栄養剤のタイプは気付けとかなあかんで?あれはもうそれ用やから、うっかりで3時とかまで起きる羽目になるさかい。」
「き、気を付けますっ!」
そう言って話している間にも、夏でゆっくりとはいえ空模様が変わっていく。
そろそろ夕暮れの時間も終わり。
紺とオレンジの境界線の所に、一番星一つ。
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