100話記念企画 No.089
「・・・・っていう夢を見たんだよねっ。」
「なかなか筋道だった夢やな。」
「えっ!?筋道立ってるかなっ!?」
「夢って大体もっとカオスなもんやと思うで。前後の脈絡なかったり、急に場面がころっと変わったり。」
「そ、そうかなあっ?言われてみるとそんな気もするけどっ。」
翌日の部活の空き時間。可憐が夢の話をしてみると、忍足は呆れるでも笑うでもなく普通の顔をして返事をくれた。
可憐は忍足のこういう所が好きである。
「でも中に入る前に目が覚めちゃってっ。」
「まあ夢あるあるやな、肝心な場面の直前で目が覚めるていうんは。今回の場合は認知の問題もあるかもしれへんけど。」
「認知・・・?」
「要は、入口までは写真見たから分かるけど、中の事までは想像がつかへんからそこで終わったんちゃうやろかていう話。もしほんまに行ったことがあったら、続きがあったかもしれへんし。」
「確かにっ!そっか、私の見る夢だから私がどう思ってるかとかそういう話になるのかなっ?」
「まあ車やとかドレスやとかそういうとこがその現れかもしれへんな。可憐ちゃんの中の、大人っぽくてムーディーなイメージていう感じで。」
「ああ、そうかも・・・」
そう言われるとなんだか安直で若干恥ずかしい気もするが、自分から出た発想と言われると頷ける。
ついでに。
「なんだか直前で見た物をそのまんま夢に見るっていうのも、我ながら私らしいって感じするなあっ。単純っていうか・・・」
「ふっ!でもまあ、見たものいうか寝落ちたんやろ?考えながら寝たんやったら、夢に見てもおかしないと思うで。」
「そうかなあ・・・」
なんて会話をしたからだろうか。
昨日と同じことをしながらも、可憐はなんだか昨日よりそわそわした気持だった。
昨日は結局ムーラン・ルージュの事を軽く見ただけで終わってしまったから、今日は2つめの風車について。
(ムーラン・ド・ギャレット・・・)
『ムーラン・ド・ギャレットは2つあんねん。』
『そうなのっ?』
『1つめは本物のムーラン・ド・ギャレットていう名前の風車。2つめは、ムーラン・ド・ギャレットていう名前のレストランにくっついてる風車やな。こっちの風車は、正式名称ラデの風車ていうんやけど、こっちのが有名やわ。』
「あ・・・こっちかなっ?」
ラデの風車。
ムーラン・ド・ギャレットのシンボルとなっていて、かつてはダンスホールであったが、現在はレストラン。
(ダンスホールだったんだ・・・キャバレーもそうだけど、こういう所が外国っぽいなあっ。)
画像検索をすると、写真に混じってちらほらと絵画の画像も出てくる。
ルノワールが描いた、かつてダンスホールだった頃の様子の絵。
こんなに人が沢山居たんだろうか。
そして皆で踊って、集まって、食事をして・・・いや、当時はレストランじゃなくダンスホールがメインだったから、食事はそこまで力を入れてなかったかもしれない。
「・・・・・zzzz。」
なんて考えている内に可憐はまた眠った。
こんな風に寝落ちるから昨日は夢を見たんじゃないかとわかっていても、授業に部活にと朝から夜まで勤しんでいればどうやったって疲れからは抗えない。
今夜も夢を見るだろうか。
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