100話記念企画 No.081



「本当に申し訳ございませんでした。」

放課後音楽室に来た青木は、深々と頭を下げるを通り越して、土下座して額を床に擦りつけていた。

「およ?何これ?」
「ちょっと、今日の5限後に色々ありまして・・・」
「謝罪させて頂きたく思い、参りました。」
「謝るってレベルなのコレw」
「いえ、こんなものでは足りないことは重々承知しております。靴を舐めろというなら舐めますし舎弟になれと言われたならなりますから、どうか平にご容赦を、どうか。」
「逆に鬱陶しい。」
「そんな!お慈悲をーーーい、いや、私がいけないんですよね、お慈悲なんて求めていい身分ではないんですよね、そうなんですよね・・・」

(精市、何言ったんだろ。)

自分があの場から引っ込んだ後も、何がしかを幸村が言った事だけは想像がつく。
しかしそれを差し引いてもこの変わりよう。掌返しってレベルじゃねえぞ。

「何があったんだか知らないけど、お前はどうなのw許せる感じなのw」
「許せる許せないっていうか、まあ・・・・」
「まあ?」
「・・・・・・」
「どーですかい、千百合っち?」

本当言うと。
本質の所は、目の前の青木に対して不愉快だとか愉快だとかそういう話じゃない。ただ、それはそれとして青木は痛い所を用もないのに突いてきた人物ではあった。

「・・・・微妙。」
「ええっ!?そ、それは困る!困ります!どうにかして許してくれないと、私の報道部人生終わっちゃうよう!」
「そもそも謝らないといけないような事しないって発想はないわけ。」
「ぐ!そ、それを言われると・・・」

「結局何なのー?千百合っち何されちゃったの?」
「あ、あの、えーと・・・」
「飛ばし記事でも書かれたかw」
「ううん・・・どっちかと言いますと、でっちあげ記事が近い、ような・・・」
「尚ひでえやw」
「い、一応未遂ではあると思います、多分・・・」
「??とばし?でっち?飛ばしって新聞とかをびゅーって投げたりするの?」
「ええと、飛ばし記事というのはーーーー」


「千百合。」


どうして幸村の声は、わあわあ数人が騒いでる時でもこうして通るのだろう。
別にそんな大声というわけでもないのに不思議だ。

「あ、精市。」
「ひいい・・・!」
「うん?ああ、青木さん、来ていたんだね。」
「は、はい!謝罪をさせて頂こうと、その・・・!」
「本当かい?」
「ああ、うん。何かさっきから、えらいへりくだって謝ってるけど。」

(超縮こまってんじゃんw)
(ねーねー、結局あの子なんで謝ってんのー?)
(それはその・・・何から話していいかというか、そもそも話していいものかどうかというか・・・)

「ちょっと千百合を借りて良いかな?」
「良いよー!」
「紀伊梨が返事すんのおかしくね。良いけどさ。」
「あ、あのう、私は・・・」

結局許されたのか許されてないのか。
微妙とだけ言われて放置されている青木は、それでもこの状況で会話に割って入るのが怖いのだろう、びくびくしながら処遇を尋ねた。

「ああ・・・まあ、そもそも私が謝られる理由ないっちゃないし。」
「い、いえ!不愉快な思いをさせてしまって、真に申し訳なく・・・」
「まあもうしないだろうし、その点は大丈夫だと思うよ。誰だって命は惜しいだろうから。」

((((命?))))

びく!と青木が肩を揺らした。

それを一瞥すると、幸村は行こうか、とあっさり言って千百合の手を引いて出て行った。
どうやらまだお腹立ちのようだ。ああいう時の幸村は下手に触らないに限る。

「・・・・・はあ〜〜〜〜・・・・!」
「おたくさんは一体何をやらかしたんだw」
「まあまあ、そういう話は本人が居ない場所では・・・」
「千百合っちはそんな怒ってなかったよね?ゆっきーの方?」
「はい・・・」
「それこそさっき命がどうのとか言ってたけどw彼奴を怒らせるとは命知らずねw」
「はい、もう懲りました・・・」

本気で懲りていることは、そのか細い声音から十分分かった。

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