5万打記念企画 No.015
その日の放課後、ビードロズで集まった際に紀伊梨はそれを皆に見せた。
U字が書いてあり、そのU字に蓋をするように横線が引かれている。
更にその横線の真ん中からU字の中心に向かって縦線が一本。
「ベロでしょこれw」
棗は見た瞬間言った。
「「ベロ?」」
「舌・・・っていう事ですか?」
「そうwあっかんべーの舌っていうかさ、こう口から出してる舌の絵じゃないのw」
べ、と舌を出して見せる棗に、紀伊梨は納得した。
なるほど。確かにそういう状態の舌を絵に描くとこうなる。
「なるへそー!でも、誰がなんでそんなの描いたのかなー?」
「落書きでしょ、ただの。書いてる方も、わざわざ理由とか付けるもんじゃなくね。」
「でも、なんだか舌だけって珍しいですよね。」
紫希が呟いた事が、何故かその時紀伊梨の耳に残った。
「めずらしーの?」
「え!あ、ええと、イメージなんですけど・・・こう、落書きなら顔のマークとかを書くのが多いんじゃないかと思ったんです。目もかかないで舌だけって、ちょっとあんまり見ないかなと思って・・・」
「ああでも、舌じゃなくてキスマーク的な落書きなら多いかもよw」
「ああ確かに、それならまあまあ見るかも。」
「・・・・・」
そんな話を聞いたからだろうか。
「ふっふふーん♪えーと?きのーのとこは・・・お!あったあった!」
次の日の朝休み、紀伊梨は教室のチョークを持ってあのコンクリート塀にもう一度訪れた。
そこには昨日と変わらず、べーと出された舌が書かれていた。
「よーし、行くぞー!」
紀伊梨は塀に手をつく。
コンクリート特有のひんやりした感じがした。
そしてついていない方の手でチョークを持ち、舌のマーク?の少し上に、丸を一つ。そしてもう一つ。そして塗りつぶし。
「よいしょ、よい・・・うん!出来たー!」
顔。
舌しかなかった落書きが、顔の落書きになった。
コンクリート塀に描かれた、あっかんべをしている顔のマークに、紀伊梨はとても満足した。
「へっへっへー!」
ついでだ。もう少し書こう。
コンクリートに綺麗なカーブを書くのはちょっと難しいけど、まあ落書きだから良いや。
(ピンクのチョーク持って来たら良かったなー!)
まあ次に来た時に塗りつぶせば良いかな。
そう思って、紀伊梨は顔の横にハートのマークを書いた。
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