5万打記念企画 No.055
『話しかけて、此奴あほだなとか思われたらどうしよう・・・』
『怖いんだもん!』
『軽い冗談とか話題とか気軽に振りづらいみたいな印象はあるよ。』
『隙がなさすぎなんだよ〜・・・』
「・・・・・」
可憐は、「坊ちゃん」を読みながら昼休みの会話を思い返していた。
今は5限。
だが教師が体調不良になったとかで、代理の教師がいるもののプリントをやり終わったら自習ということになり、席こそ立たないが皆結構ノートに落書きしたり、スマホを見たりしている。
折角なので坊ちゃんを読み進めているわけだが、さっきの会話が気になって意識がちらちらそっちへ行ってしまう。
(忍足君ってそんなにこう・・・近づき難いかなあっ?)
少なくとも、今読んでいる坊ちゃんの主人公の「坊ちゃん」よりはうんと親しみやすいと思うのだが。
こんな喧嘩っ早くないし、そそっかしくもないし。極端に実直すぎて本音も建前も無視するような性格じゃないし。
なのに忍足は何故ーーーー
「・・・・人間ほど、あてにならない、ものは・・・」
それは読み進めてきて、目に飛び込んできた一文だった。
本当に人間ほどあてにならないものはない。あの顔を見ると、どうしたって、そんな不人情なことをしそうには思えないんだが――うつくしい人が不人情で、冬瓜の水膨れのような古賀さんが善良な君子なのだから、油断ができない。
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