5万打記念企画 No.057
「ううん・・・・」
1時限目の理科室で、可憐は後ろの方の席なのを良いことに、貰ったクッキーを机の陰に隠しながらしげしげと見ていた。
ご丁寧に型抜きまでされている。
チョコチップとかアイシングとかそういうことまではされていないけど、クマの形に目をつけるとかそういう事はちゃんとされている。
出来が良い。いや、そうじゃなくて。
「何見てんの、可憐?」
「あっ、瑠璃っ。あのう、実はこれをっ。」
「何それ・・・あ、クッキーじゃん。結構綺麗。可憐が焼いたの?」
「ううん、忍足君のを貰っちゃって・・・」
「は?え?」
?な顔になる隣の席の伊丹に、可憐は小声で朝の事のあらましを話した。
「それで、取り敢えず持ってきちゃったんだけどっ。」
「んー・・・普通に考えたら友達と口喧嘩して、仲直りの印にクッキーを焼いて、終わった所で鉢合わせた・・・・ってパターンが一番分かりやすいけど・・・何かしっくり来ないなー。」
「そうだよねっ。辻褄が合わないなあって私も思っちゃってっ。」
そもそも、仲直りにクッキー焼くというそこからして何かおかしい。しっくり来ない。
別にあり得ない話じゃないが、「忍足が」それをやってると言うのがいかにもおかしい。仲直りするにしたって、その手段は取らないだろうと思われる。
「それに仲直りって言うんだったら、消費も何もその人に普通あげるもんじゃないのかなあって言うのも気になっちゃって。」
「確かにねー。可憐にあげたりとか1人で消費に困るとか、そもそもなんで作る量セーブしないの?って感じだし。忍足君基本的にその辺周到だもんね。」
そう、忍足は周到である。
基本的に物事に対して行き当たりばったりな事をしないし、持て余すと言う事が少ない。そんな忍足が処理しきれない程のクッキーをいたずらに作るとか、そんな事をするだろうか。
そもそもだ。
百歩譲って、口喧嘩の中身としてクッキーという形で謝罪せねばならなかったのだとしても、学校で作らなくて良くないかという部分も引っかかる。
それこそ、失敗したら遅刻は確実みたいな状況を何故選ぶのだろうか。忍足らしくない。
クッキー作るにしても家でするのが普通であろう。
(やっぱり何か、色々と納得いかないなあ・・・)
「桐生さん、教科書の45P目2行目からお願い。」
「わっ!あ、ああはいっ!」
2/4
[*prev] [next#]
[page select]
[しおり一覧]
番外編Topへ
TOPへ