5万打記念企画 No.095
タイムリーにも今日のLHRで図書室に連れていかれたので、半分以上の生徒がやる気なく適当に過ごす中、丸井は折角なので司祭さんシリーズの1巻を読んでいた。
が。
(・・・面白いけど、結構無茶苦茶すんな此奴。)
主人公の役職が役職なので、品行方正な性格かと思いきや、意外や意外。
物言いは結構ずけずけタイプだし、明るいのは良いが基本我儘で気分屋。
兎にも角にも自分がどう思うかが優先で、そこそこの小生意気加減。
優しくて正義感がある所はまあ主人公向きかもしれないが。
(どういう流れで此奴司祭になってんだろ・・・っつうか、春日はこういう主人公の話でも好きなんだな。意外と。)
明るくて我儘で気分屋で物をはっきり言うタイプって、どっかの誰かさんそっくりだな。
と、もし此処に親友の彼が居てくれたら教えてくれたかもしれない。
「あー!ブンブン司祭さん読んでるー!」
「おう。結構面白いな、これ。」
「そーなの?」
「え、そうなのって・・・お前知ってるんじゃねえの?」
「紀伊梨ちゃんねー、えーがは見たけど本は読んだことない!です!言葉がむつかしーから!」
「え、別に難しくなくねえ?」
「むつかしーよー!ってゆーかね、何かあんまり聞かない言葉ばっかり出てくるんだよー!えーがはほら、絵でせつめーしてくれるから、今何してるのかとかわかるけどさー!何かさ、ざんげ?とか、せんれーのぎ?とか!」
「ああ。まあそっか、そう言われたら此奴結構仕事はしてるんだな。」
丸井は桑原と仲がいい。
そしてその桑原は、日本に来る前バリバリのキリスト教圏で生まれ育っていた。
だから丸井も桑原も、クリスチャンではない人間にしてはキリスト教のあれこれにちょっと詳しい人種である。
懺悔とか洗礼の儀とか、詳しい事は分からなくても、何か大体ああいう事してるんでしょ?あれの名前でしょ?くらいの事はわかる。
(そう考えたら、彼奴やっぱ頭良いんだよな。)
これを前知識なしで小学生の時に読めって言われたら、自分は結構辛い。
6年生なら何とかなるかもしれないが、紀伊梨は懐かしいと言った。だから、多分もっと前から紫希はこれを読んでいる。そして、面白いと思っている。
ああ、何かそれこそちょっと似ている。
作中に出てくるのだ、紫希に似た穏やかで座学得意の読書家キャラ。
名前は何だっけ。確かーーーー
「あー、それ私も読んだ事あるー!」
意識が急速に引き戻された。
いつの間にかクラスメイトの女子が、丸井を後ろから覗き込んでいた。
「おー!そなんだ、面白かったー?」
「うん!お兄ちゃんに解説して貰いながらだったけど!あ、でも私あのキャラ嫌いでさー。出てくるとテンション下がるんだよねー。」
「およ?」
「あのー、えー・・・あ、そうだキイチゴの司祭!」
「あ。」
それ。それだ、それそれ。
「あ?あって何?」
「あ、いや。何でも?」
「そう?」
「えー、イチゴちゃん可愛くなーいー?」
「だってさー・・・何かとろいんだもんいちいち。弱いしさー。折角主人公の司祭さんが強いのに、足引っ張ってくんなよって感じ。」
「・・・そお?」
それにはちょっと、丸井は異を唱えたい。
というか、その言い分はあまりにキイチゴの司祭が可哀想。
「物理に物言わせるやつばっかり集めても、事件は解決しなくねえ?」
「それはそうだけど。」
「後、そもそもこの主人公が強過ぎなんだって。比べたら可哀想だろい。」
「それもそうだけど・・・え、何丸井キイチゴの司祭さん好きなの?」
「割と結構。」
「えええ、そうなんだ意外・・・・」
「意外ってどういう意味だよ?」
「いや、丸井って私と同じに明るいキャラのが好きかと思って。」
「別に嫌いじゃねえよ?どっちも普通に好きってだけ。」
「うんうん!どっちもかわいーよねー!」
「えー。」
丸井が目を本に戻すと、クラスメイトの女子はこれ以上会話を続けたい意志無しと見てか、すっと離れて行ってくれた。
正直助かる。
今ちょっと、なるべく読み切ってしまいたい気持ち。
「ねーブンブン、紀伊梨ちゃんも隣で読んでいーい?んでさ、せつめーしてくれやせんか!」
「ぜってー嫌。」
「ちぇー。」
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