100話記念企画 No.063



「千百合ちゃん、それは・・・」
「サプリ。」

今日は月曜日。
この日はたまたま、金曜日に部活の用事が入ったと幸村が言うので、集まる日を月曜に移動させたのだった。

いつもみたいにお弁当広げて、食べて、片付けの前に千百合が徐に取り出したそれを全員が見た。

「お前そんなの飲んでたっけかw」
「昨日貰った。試供品。」
「おかーさんも偶に飲んでるお!でも高いんっしょー?千百合っち、ラッキーですなあ!」
「高い・・・」

高いのか。
まあ確かに、わざわざ買おうと思ったことないから知らなかったけど、まともに買うと高いのかも。

「何を飲んでるんだい?ビタミン?」
「ううん、ミネラル。」
「おー、ミネラル!ミネラルウォーターに沢山入ってるやつだー!」
「ここで豆知識wミネラルウォーターにミネラルはw沢山は入ってませんw」
「えー!?ミネラルウォーターなのにー!?」
「そうなんですか?」
「ミネラルウォーターは、品質の為にミネラルを調整してある水の事だからね。勿論、全然入ってないというわけじゃないんだけど。」
「すんごくちょっとしか入ってませんw残念w」
「そーなんだー!紀伊梨ちゃん、あの中にミネラルがいーっぱい入ってるんだと思ってたのにー!」
「ふーん。」

なんて言いながら、今日のミネラルを一粒。
ガリ。

「お水は要らないんですか?」
「うん。噛んで飲めるタイプ。」
「苦くにゃいのー?」
「フルーツ風味にしてあるし、食えないって程じゃ。食べる?」
「やたー!頂きまーす!」
「良いのかい?」
「家に同じのがもう1個あるからね。」
「めっちゃ持ってるw」
「結構ありますね。試供品にしては多いと思いますけど・・・」

紫希の言うことは千百合も思った。
一袋に割と入ってる方で、これで10日は持ちそうだ。
それが2つなので20日分。採算取れるんだろうか。

「商売下手なのかもね。」
「いや、こうして話題になってるわけだから上手とも言えるんじゃないかな。」
「俺にも頂戴w」
「お前にはやらね。」
「ひでえ・・・・」
「紫希要る?」
「有難うございます、じゃあお一つ。」
「・・・・・」
「紀伊梨ちゃん?」
「・・・あんまり美味しくなーい。」
「サプリだからね。」
「お前、ラムネのつもりで食ってんじゃないだろうなw」
「サプリにしては甘い方だと思いますけど・・・」
「紀伊梨が子供舌なんでしょ。」
「えー!そんなことないもーん!」
「千百合、俺にもくれるかな?どんな味か食べてみたいんだ。」
「・・・・・」
「?」
「・・・・嫌。」
「え。」

え、と言ったのは幸村ではなくて棗。

自分はともかく、幸村の頂戴を千百合が断ると思っていなかったのだ。

「えー!なんでー?」
「なんでも。」
「わ、私貰ってしまって良かったんでしょうか・・・」
「いや、紫希は良いよ。」
「わけがわからんwやれよお前、ケチだなー。」
「良いんだよ、棗。千百合のものなんだから、どうしようと千百合の自由だよ。」

気にしないで良いよ、とでも言いたげににっこり笑う幸村に、千百合は若干居心地の悪さを感じながら弁当を片づけた。


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